というわけでリクエスト等あれば活動報告の方に返信よろしくお願いします
それではどうぞ
友希那side
午前中の練習を使い、なんとか曲を完成させることができた。それを翔に渡し、彼の作った歌詞と合わせてみると思った以上の仕上がりだった
「ふ〜ん...なかなか良いできじゃないのか?」
「そうね。軽く調整すれば完璧だと思うわ。それじゃあ、後はお願いするわね」
「了解した。今日中に完成させてやる」
そこまで急がなくていいのだが、初めて彼と2人で作った曲だ。早く歌いたいという気持ちもある
「それじゃあ俺は練習に戻るから、お前らも頑張れよ」
「えぇ、楽しみにしてるわよ。少し胃もたれがあるけれど...」
「あれはもう地獄みたいなもんだろ...作るだけで胃が痛くなったわ」
朝の件があり、昼食には大量のフライドポテトが出てきた。いつもファミレスでフライドポテトをたくさん食べる紗夜だが、流石に食べ切れず結局みんなで食べることになった。その結果、全員の胃がもたれるという散々なことになってしまったのだ
「まぁ無理はしないことだな。それじゃあまた後で」
「貴方も、無理はダメよ」
「分かってるよ」
そろそろ休憩も終わる頃だろうと思いスタジオに戻ると、何故か全員が座り込んだり倒れたりと不思議なことが起こっていた
「...何があったの?」
こういうときこそ冷静に対処しなければならないと思い訪ねると、最初に花梨から返事が来た
「友希那さんでしたか...ごめんなさい、あと10分だけ休憩をくれませんか?うっ...」
「だっ大丈夫なの?それより何があったの?」
「みんなフライドポテトの所為で酷いことになってるんですよ。というわけでお願いします」
まぁ実のところ私もきつかったし、丁度良いだろう。紗夜は特にダメージが大きいみたいだし、少し増やした方がいいわね
「分かったわ。各自回復したらまた再開しましょう」
それから10分程したところで全員ある程度は回復したので続きをやることにした。花梨の提案でもう1度合わせてやることになった
「皆さん朝の反省を生かしてやれるようにしてくださいね。それではDetermination Symphonyよろしくお願いします」
〜♪〜
「今日はここまでにしましょう。私は晩御飯作ってくるので片付けはよろしくお願いします」
「分かったわ。琉太、貴方も少し手伝ってちょうだい」
「了解しました。紗夜!ギターの片付けやるぞ!」
今日の練習はいつもと違った感じで良かったわね。特に紗夜は今回でまた一段と上達したみたいだしこの調子でいけば...
スタジオの片付けを済ませ、みんなで浴場に向かうと丁度のタイミングでAfterglowと鉢合わせた
「あら、そっちも終わったみたいね。彼の指導はどうだったかしら?」
「つぐみたちが特に上達しましたよ。普段と違った練習ができたので良かったです」
どうやら翔の指導は好評みたいね。まぁ当たり前なのだけれど...
「お風呂に入るなら先に入っていいわよ。少し翔と話したいこともあるから」
「翔ならとっくにお風呂に向かいましたよ。面倒なので一緒に入りませんか?その方が色々節約にもなるし」
「そうね...そうさせてもらうわ」
確かに別々で入ればその分電気代などもかかってしまうからその方が効率はいい。幸い浴場は私たち10人が余裕で使える程に広いし、彼らには此処を使わせてもらってるのだからなるべく節約する必要がある
「彼らは長風呂だから、少しゆっくり入りましょうか。今日はポテトの所為で色々あったし、疲れているでしょう」
「そだね。じゃあアタシイッチバーン!」
「あ〜ずるい!あこも!」
「2人とも走らないでください!」
「...私たちは普通に行きましょう。燐子はあこのことお願いね」
「はっはい...分かりました」
全く、昼間にあんなことがあったというのにどこにそんな元気があるのよ。紗夜なんかは1番食べていたというのに
「そういえば、Afterglowのみんなは大丈夫だったかしら?昼間のポテトで胃もたれとかなりそうだけど」
「おかげで練習どころじゃなくなりましたよ。特に翔が作るだけで気持ち悪かったとか言って酷かったです」
「確かにそんなこと言ってたわね。一体どれだけのジャガイモと塩が使われたのかしらね?」
脱衣所で服を脱ぎながら美竹さんと話す。やはり彼女とは気が合うみたいだ。私は少し気になっていたことを聞くことにした
「美竹さんって琉太のこと好きなの?」
「ぶっ!?」
丁度水を飲んでいたところだったので、彼女は盛大に吹き出してしまった
「ゴホッ!ゲホッ!なっ何でそう思うんですか?」
「翔と琉太をトレードすると祐奈さんが言い出したとき貴方の機嫌があからさまに悪くなっていたから、案外分かりやすかったわ」
「それ、前に氷川さんにも言われましたね...そういう湊さんこそ、翔のこと好きなのでしょう?昨晩あんなことするくらいだし」
「...忘れてちょうだい///」
もうこれは一生言われ続けるかもしれない
「意外ですね。貴女がこんなに大胆なことするなんて。それ程までにも彼のことが大事なんですか?」
「当然よ。彼は大切なことに気づかせてくれた。私をたくさんいた不良から守ってくれた。マネージャーになってから何度か衝突はあったけれど、それでもそばにいてくれた」
「彼は今まで会ってきた中で最高のパートナーよ」
それに、私は祐奈さんと約束したのだ。翔を救うと。彼の感情を取り戻すと
「パートナーですか...いいですね、そういうの」
「貴女と琉太もいいコンビだと思うわよ。紗夜もこれはなかなか難しそうね」
「昨日、氷川さんに宣戦布告を受けたんです。どっちが先に琉太を落とせるかって」
「...紗夜も案外大胆なことするわね」
「正直言って怖いです。あたしなんかじゃ氷川さんに勝てる要素なんて殆どない。とても綺麗で真面目で、ギターに熱心で...でも、彼に対する想いだけは負けたくないんです」
「だから...この勝負は絶対に勝ちます。湊さんも、ボーッとしてたら取られちゃいますよ?」
「青葉さんのこと?確かに彼女は警戒しなければならないわね。最近翔毎晩誰かと電話してるみたいだし、相手によってはその人も気をつけないと...」
「まぁお互い頑張りましょう。いつまでも彼らといれるためにも」
「美竹さん...」
「何ですか?」
彼女は知っているのだろうか?彼らと一緒にいるのはリスクがあることを。彼らが誰かに命を狙われているということを...もしかしたら知らないのかもしれない
「いえ、なんでもないわ」
もしものことを考えて、話すのはやめておいた。知ったらもう引き返すことはできないのだから
「じゃああたしは先に上がりますね。これ以上浸かってたら流石にのぼせそうですから」
「私はもう少しだけいるわ。どうせあの2人長風呂でまだ出てないでしょうから」
「分かりました」
ふと周りを見てみると、既に他の人たちは上がっていた。今この場にいるのは私だけだ
「のぼせる前に上がった方がよさそうね...流石に彼も上がった頃かしら」
新曲について話したいのだが、さっきまで美竹さんと話をしていた所為で無性に彼と話したかった
とりあえず風呂から出てパジャマに着替え、翔の部屋に行ってみると案の定彼は新曲の仕上げをしていた。ドアを開く音に気づいたのか、顔をこちらに向けて
「友希那か。ナイスタイミングだな、たった今新曲が完成した」
「聴かせてもらっていいかしら?」
「夜は付き合うからそのときにな。タイトルはSanctury」
「素敵な名前ね。作ってくれてありがとう」
「お安い御用さ。美しき歌姫様のためにかなり仕組んであるが、気に入ってもらえることを祈ろう」
「...///」
何故彼はこうも常人が恥ずかしがるようなことを平気で言ってのけるのだろう?顔が熱くなってゆくのが嫌という程分かった
「急にそんなこと言わないでくれるかしら。恥ずかしいわよ」
「?よく分からんが気に障ったならすまん」
「ただ...恥ずかしいだけで嬉しいのも確かだから///」
「そっそうか...」
「隣、いいかしら?」
「あぁ。こんなところをモカに見られたらパン10個くらい奢らされそうだけどな」
「ふふふ、そのときは2個くらいは負担してあげるわ」
「助かる。でも今日はどうした?いつもならこんな時間に俺の部屋には来ないだろうに」
「貴方と話がしたかった、からではダメかしら?」
「さいですか。なら俺は気の済むまで歌姫様の話に付き合わなきゃな」
「ありがとう」
それから私たちは色々な話をした。毎晩誰と電話しているのかなど、気になること全てを聞いておいた。案外素直に話してくれたが、よかったのだろうか?急に気が引けてくる
「時間が経つのは案外早いものだな。もう4日目が終わるなんてな」
「それだけ楽しめているということなんじゃないかしら。貴方にもそう感じられるということよ」
「そうなったのも全部友希那の所為と言うかお陰と言うか...まぁありがとな」
「約束だもの。貴方の感情を取り戻すと」
「あれ本気だったのかよ...んじゃ、気長に待つとしますかね」
「えぇ、必ず貴方の感情を取り戻してみせる。そうなったときは私の話をじっくり聞いてもらうわよ」
「へぇ、そいつは楽しみだな」
そのときにでも告白しようかと考えているが、正直言って不安だ。本当に私なんかで彼の感情を取り戻せるのか?余計なお世話ではないか?微かにそう思ってしまう自分がいることが実に情けない
「さて、そろそろ飯もできることだろう。早く食べて新曲の練習でもするか」
「そうね...この香りは何かしら?」
「柚子でも使ってるんじゃないか?花梨が好きだし」
「あの子、意外に大人なのね。柚子が好きな中学生ってあまり聞いたことがないわ」
「そうなのか?案外いるもんだと思ってた」
少なくとも私は初めて見たわね。もっとも、私は他人に興味がなかったから知らなかっただけなのかもしれないけれど
雑談をしながら食堂へ向かうと既に全員集まっていた
「おっやっと来たね。季節は違うけど、柚子鍋作ったからみんな熱いうちに食べちゃって!」
『いただきます!』
白菜を試しに口に入れると、ほのかな柚子の香りと味が広がってとても美味しかった。今まで食べた鍋の中で1番好きかもしれない
「今日は随分と凝ったものを作ったな。さっさと食べようにも食べれないな」
「私としては味わって食べていただけると嬉しいな。そもそもあんた熱いの食べれないでしょう」
「うるせえ」
早く食べて練習するつもりだったが、あまりにも美味しかったのでついいつもと同じになってしまった
「ハァ...美味かった、ご馳走様」
「お粗末様です。ほら、片付けはやるから練習に行って来なさい」
「ありがとな。夜はRoseliaに戻るよ」
「分かったわ。みんなに伝えとく」
「翔、準備はいいかしら?」
「あぁ」
「みんな、今晩は新曲やるわよ」
私の一言で全員に火がついたみたいだ。Sanctury...どんな曲になったのか楽しみね
読了ありがとうございました
☆8評価をしてくださった水原さんありがとうございます!