死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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合宿編が終わらないことに気づいたため、今回で終わらせます

それではどうぞ


第40話

夏合宿最終日、今まで使っていなかった3つ目の1番大きいスタジオを使うことにした。今日はお互い1曲ずつ披露してそれぞれの足りないものを確認しようということになっている

 

「さて、どっちからやる?正直どっちでもいいが」

 

「あたしたちからやるよ。早く緊張解きたいし」

 

「よし、それじゃあ準備しろ。Roseliaはクローゼットの中の椅子を持ってこい。俺たちの分も頼む」

 

奏斗からはAfterglowが何をやるのかは聞いていない。この2週間でどれだけ成長したのか、結構楽しみにしてたりする

 

Afterglowの準備が整い、いよいよお披露目会が始まった

 

「それでは聴いてください。Hey-day狂騒曲(カプリチオ)」

 

〜♪〜

 

「ふぅ...どうでしたか?あたしたちの『いつも通り』は」

 

「とても良かったと思うわよ。そうね...」

 

「待て、評価は後でお互い聞けばいい。その前にRoseliaのお披露目といこうか、友希那たち準備しろ」

 

「分かったわ。みんな、すぐに準備して」

 

友希那の一言で他のメンバーも準備にかかる。みんなどこか張り切っているように見える。特に友希那は1番気合が入っているようだ

 

そしてRoseliaの準備が終わり、始まった

 

「お待たせしました、それでは聴いてください。Sanctury」

 

〜♪〜

 

「どうだったかしら?」

 

「今までで1番良かったと思うぞ。それじゃあ意見交換と行こうか」

 

それからRoseliaとAfterglowの間で意見の交換をした。俺たちXaharは両方にアドバイスを送り、お披露目会は終了となった

 

「さて、これにて夏合宿終了!どうする?今日帰るか泊まってくか」

 

俺としては正直どっちでもいい。花音には正確な日時を伝えていないし、今日帰ろうが明日帰ろうが変わらない

 

「今日は折角なので打ち上げみたいなのを上げませんか?お互いに成長した祝いとして」

 

提案したのは柏だった。ふと周りを見ると今井やあこ、ひまりなどの目が輝いていた。これはやるしかねえな...

 

「反対意見はないな。琉太、買い出し行くぞ」

 

「了解。みんなは何が食べたい?」

 

「外でバーベキューしようよ!広い庭もあるんだし、そこ使ってやろうよ!」

 

「おっそれいいね!それじゃあ2人とも、いってらっしゃい!」

 

なんと発案者はひまり。仮にも女子がバーベキューとかもう少し気にするものがあるんじゃないのか?ていうか華蓮、お前も来いよ

 

「私はこっちで準備するから無理!花梨もこっちに残すから」

 

「心を読むな。気味悪りぃ」

 

そうなるとまた2人で行くのか...いくら俺たちでも重いんだよなぁ。途中坂道もあるし

 

「私も行くわ。いつも2人ばかり買い出しに行かせるのは申し訳ないもの」

 

「湊さんが行くなら私も同行します」

 

友希那と氷川が一緒に行くと言ってくれた。この2人なら安心だな...問題起こさないし

 

「...あたしも行きます」

 

「あたしも〜。蘭だけだと心配だからね〜」

 

「ちょっと、子供じゃないんだから...」

 

更にはモカや蘭まで行くと言い出した。こちらとしては助かるのだが、前の2人が妙に嫌そうな顔してるんだよな。何があったし

 

「メンバーも決まったし行くか。モカ、ちゃんと荷物持ちしろよ?」

 

「分かってる〜。しょ〜君のためだもんね〜」

 

こいつは何を言ってるんだ?俺のためとか意味分からんし...こら友希那、余計に嫌そうな顔してんじゃねえ。モカはお前で勝ち誇ったような顔を友希那に向けるな。喧嘩売ってんのか。というかお前らどういう関係だよ?

 

「なんでもいい、早く行くぞ」

 

色々疑問を残しながらも俺たちは6人という妙に多い人数で買い出しに行くことになった

 

友希那side

 

新曲、Sancturyを披露し2週間に渡る合宿は終わった。花梨の提案により今晩は打ち上げでバーベキューをすることになった

 

翔と琉太が買い出しに行くと言ったので私も行くことにした。いつも2人ばかりでは申し訳ないというのもあるが、翔と一緒にいたいというのが本音だった。紗夜も行くことになり、早速行こうとしたところで

 

「...あたしも行きます」

 

「あたしも〜。蘭だけだと心配だからね〜」

 

美竹さんと青葉さんも行きたいと言ってきたのだ。折角彼と話がたくさんできるというのに彼女らがいてはやりにくい。それは紗夜も同じのようで少し嫌そうな顔をしている

 

以前紗夜は美竹さんに宣戦布告をした為、気まずくなるのは目に見えている。私にとっても、青葉さんは警戒しなければならない。さっきは美竹さんが心配だと言っていたが、実際は翔と行く為の口実なのではないかと疑ってしまう。まぁ、私もそうなのだけど...

 

「メンバーも決まったし行くか。モカ、ちゃんと荷物持ちしろよ?」

 

「分かってる〜。しょ〜君のためだもんね〜」

 

よくもまぁそんな恥ずかしいことが言えるわね...鈍感な彼なら気付かないだろうけど。青葉さんはちらっとこちらを勝ち誇ったような顔で見てきた。まるで、貴女にこのような言葉が言えますかと言わんばかりの顔だった。私は顔が引き攣りそうになるのをなんとか抑えた

 

隣では紗夜と美竹さんが睨み合っていて、その横では翔と琉太が状況を飲み込めていなくて不思議そうな顔をしていた

 

「なんでもいい。早く行くぞ」

 

無事に買い出し終わらせられるかしら?少し不安に思いながら私たちは買い出しへ向かった

 

紗夜side

 

私は琉太たちと一緒に買い出しに行っている。材料などは男子2人に任せてあり、私たちは荷物持ちである。本来は逆なのだろうが、普段料理をしない私からしてはあまり何を使うのか分からないのでこちらの方がやりやすい

 

翔さんと湊さん、青葉さんの3人は肉や焼肉のタレなどを、琉太と美竹さんと私で野菜を買いに行くことになった

 

私たちの間には会話はほとんどない。というか、話せるような空気ではなかった。折角琉太と2人でいれるチャンスがあったというのに美竹さんに邪魔されてしまい、私は機嫌が少し悪かった

 

「美竹さん、もう少し右に行けるかしら?琉太が狭くなるでしょう」

 

「氷川さんこそ、もっと左に行ったらどうですか?少し寄りすぎだと思いますよ」

 

「お前ら、ただの買い出しで喧嘩なんてす」

 

「「貴方は(あんたは)黙ってて」」

 

「...ハイ」

 

ハァ...こんなとき、今井さんがいればこの空気をなんとかしてくれるというのに...私ではなんとかするどころか、より険悪な雰囲気にしてしまった。彼に迷惑をかけたくないのに...

 

それからというもの、私たちの間に会話は一切流れなかった。湊さんたちと合流したとき、私たちの空気を察したのか特に話しかけてくるということはなかった

 

会計を済ませスーパーを出ると、急に琉太と翔さんが立ち止まった。どうしたのかしら?

 

「全員俺たちから絶対に離れるなよ。離れたら死ぬと思え」

 

琉太からそんな忠告を受けた。それに、2人の顔がとても険しい。まるで敵が近くにいるのが分かっているかのような...

 

慎重に歩き、彼らから離れないようにみんなで寄りながら別荘へ戻る。本当に何かあるのかと疑ったそのとき

 

「伏せろ!」

 

琉太に方を掴まれ思い切りしゃがみ込む。先程まで私たちの頭があった場所にはギラリと輝く刀があった

 

刀の持ち主は黒いハットを深く被り黒いコートを着ていた

 

「全く...こんなときに襲って来るんじゃねえよ。こっちは連れがいるってのに」

 

その謎の人物はその言葉を無視して再び襲いかかってきた。それを翔さんが前に出て受け止めてくれた。どうやって?素手で刀を受け止めるなんて...

 

「翔!」

 

湊さんも思ったのか、彼の名前を叫ぶ。しかし、彼は平然とした声で

 

「心配すんな。幾ら何でも素手じゃ無理無理。ちゃんとナイフ使ってるよ」

 

何故そのようなものを持っているのだといつもなら注意していたところだが、今はそれどころじゃなかった

 

「それで、何の用だ?気配からしてお前1人しかいないみたいだが、たった1人で俺たちに勝てると思ってるのか?」

 

「...」

 

謎の人物は琉太の問いかけに答えず再び襲いかかってきた。2人はひょいと躱し、私たちを下がらせた

 

「友希那、みんなで固まっとくように見とけ」

 

「わっ分かったわ」

 

「さて、どうする?下手に手出しはできないぞ」

 

「手足を折る。その後は警察に任せよう。紗夜、警察呼んどけ」

 

彼に指示され私は警察に連絡する。場所を伝え、早く来てもらうようにお願いする。彼が死んでしまう...そう思わずにはいられなかった。しかし、それは意味のないことだった

 

2人は一瞬で黒いコートの人物に詰め寄り手に持っていたナイフで膝の関節を切り裂いた。そして倒れたところを狙い足の骨を折り、続いて両腕の骨も折った。その光景を見て私は立ちすくんでしまった

 

誰でも目の前でこんなものを見せられればそうなるだろう。だが、それだけではなかった。琉太の殺意に満ちた目を見て恐怖を覚えた

 

「ふぅ...悪い、変なもん見せたな。しばらく此処にいさせてくれ。こいつを警察に引き渡す」

 

最早何を言っているのか分からなかった。今私を支配するのは恐怖のみ。先程まで命を狙われていたという恐怖と、琉太のあの目に対する恐怖の2つだった

 

20分くらいして警察の方が来て、犯人は逮捕された。翔さんが事情を話し、終わると警察は帰って行った

 

「すまん、待たせたな。折角の打ち上げなのにこんなことになって悪かった。さぁ、戻ろう」

 

何も頭に入って来なかった。あれを見て平然といられる方がおかしいが、今の私は明らかに異常だった

 

「大丈夫だ。俺がそばにいるから、安心しろ」

 

「...ありがとう」

 

さっきまでの顔が嘘のように今の彼の顔は優しかった。お陰で少しだけ安心することができた

 

別荘に帰ると、既に準備は終わっていて早速打ち上げが始まった。料理のできる今井さんも加わりXaharの4人が次々と肉や野菜を焼いていった

 

「はーいできたよー!みんなじゃんじゃん食べちゃって!」

 

祐奈さんの一言でみんなが一斉に食べ物を取って行った。焼き加減が絶妙でとても美味しい。普段そこまで多く食べるわけではないが、今回はたくさん食べれてしまった

 

それからは時間を忘れ打ち上げを楽しんだ。みんなが食べ終わると、祐奈さんがバレーボールを持ってきてバンド対抗でバレーボールをすることになった

 

結果は私たちRoseliaの勝ち。翔さんと花梨さんの連携がとてつもなく、どちらかがスパイクを打てば必ず点かとれるという異常な試合だった。琉太と祐奈さんも相当なものだったが

 

遊び疲れたところで片付けが始まり、それぞれで分担しながらやった。洗い物を除いて片付けは10分程で終わり、10分後には洗い物も終わってしまった

 

これで終わりかと思った矢先、美竹さんの一言で場の空気が凍りついた

 

「ねぇ、聞きたいんだけど...さっき私たちを襲ってきたやつは誰?」

 

「「「!?」」」

 

祐奈さんに翔さん、琉太の3人はまさかそんな質問が飛んでくるとは思っていなかったのか驚いていた

 

「襲われた?どういうことだよ蘭」

 

「買い出しの帰り、急に変な人が刀を持って襲ってきた。普通焦るよね?にも関わらず2人は落ち着いてた。てことは襲われるのを知っていたのか、相手が誰なのか分かっているのかのどっちかでしょ?」

 

随分と勘がいいみたいね。彼らが命を狙われていることは知っている。だが、それを教えてくれるわけがない

 

「知る必要はない。事情が知りたいんなら友希那か氷川さんに聞くんだな。最もほとんど知らんけど」

 

「ちょっと翔、そこで私たちに振るのはやめてくれないかしら?私たちだって何も知らないのよ?」

 

「何であんたはそういう言い方しかできないのよ...悪いけど、貴女たちには関係ないことだから」

 

「実際に襲われたのに関係ない?そんなわけ...」

 

「最後の忠告よ。この件には一切関わらないで。無駄な詮索はしないことね。死にたくないなら」

 

絶対零度の如く冷気を帯びた祐奈さんの声は一瞬で美竹さんを黙らせた。他のみんなも何も言えなくなっている

 

「お姉様、少し言い過ぎです。これは貴方たちのためでもあります。ここは引き下がってください」

 

楽しいはずの打ち上げはこんなにも締まらない形で幕を閉じた

 




読了ありがとうございました

☆10評価をくださったyosito555さん高評価ありがとうございます!

次回からは花音とイヴを少しずつ出して行こうと思います
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