死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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遅れて申し訳ありません

姉の引越しの手伝いで書く暇がありませんでした


第44話

午前の授業が終わり、俺はイヴと一緒に花音の元へ向かう。花音のいるクラスは知っているし、髪の色も目立つからあまり困らないだろう

 

...周りの視線が痛い。廊下を歩いているだけでめちゃくちゃ見られるし、チラッと見るとキャーとか歓声が聞こえるんだもん。怖い

 

「早く花音探して別の場所に移動するか。おっいたいた、かのーん!」

 

「ふぇ?しょっ翔君!?」

 

名前を呼んだら驚かれた。俺そんなに影薄いかな?気配消すのは得意だけど

 

「昼飯一緒に食べようぜ。イヴもいるけどいいか?」

 

え?松原さん神道君と仲良いの?

 

隣にいるの1年の若宮さんだよね?やっぱ美男の近くには美女が寄るんだね

 

いいな〜私も一緒にお昼ご飯食べたい!

 

外野うるせえぞコラ

 

「勿論!千聖ちゃんもいるけどいいかな?」

 

白鷺か...彼奴はどうにも信用できないんだよな。女優をやっているせいで演じるのが上手い。どれが本当の彼女なのか分からないから迂闊に関わりたくない。まぁそこまで害はないので

 

「構わんぞ。俺は此処で待ってるから呼んでこい」

 

「ちょっと待っててね」

 

 

 

「お待たせ。それにしても貴方だったのね、此処に来る男子って」

 

「俺も先週聞かされたばっかなんですよ。まぁイヴがいたおかげでなんとかなりましたから」

 

「そう。それじゃあ行きましょう。私たちがいつも食べてるオススメの場所があるのだけど、そこでいいかしら?」

 

「勿論」

 

「そういえば、翔君といつも一緒にいる子は誘わなくて大丈夫なの?」

 

「彼奴はおそらく氷川さんと食べるだろ。それに白金さんもいるし」

 

本当に奏斗に関しては御愁傷様としか言えない。同じクラスに弦巻がいるとか終わりだろ。俺も戸山とか面倒なのいるけど

 

「それじゃあ早速参りましょう!」

 

「焦らんともその場所は逃げんよ」

 

イヴってどこか子供っぽいところがあるよな。日本の文化に憧れるのはいいけどなんかズレてるとこがあるっつうか

 

「?どうしました?」

 

「ん、いや、なんか可愛らしいなぁって思ってた」

 

「かっ!?///」

 

あれ、イヴの顔が赤くなっちゃったよ?これどうしよう...俺が狼狽えていると右足に強い衝撃が走った

 

「イッテェ!なにしやがる花音!」

 

何故か足を思いっきり踏まれた。校内靴って案外硬いから余計に痛い。オッカイシイナ、痛みには鈍くなってるはずなのに

 

「ふんだ!翔君のバカ!」

 

そう言うと花音は先に行ってしまった。おい待てお前が先に行ったら迷うだろ止まれ

 

「ハァ...天然のたらしに究極の鈍感。貴方最悪ね」

 

「ちょっと待ってくださいそれどういう意味ですか?前々から思うんですけど、鈍感ってなんですか?俺よく姉貴や妹からも言われるんですけど」

 

「言葉通りの意味よ。自分で考えなさい」

 

女子ってめんどくさ

 

「今思ったことは花音に報告しなきゃならないわね?」

 

「心を読むのやめてくださいごめんなさい」

 

どうして俺の周りの人はみんな心を読むのだろうか?読心術俺も使ってみてえ

 

そんなとき、俺のスマホに着信が来た

 

「誰だこんなときに...げっ」

 

マジかよあのクソジジイじゃねえかよ

 

「どうしたの?」

 

「すみません、先に行っててください。花音が迷子になる前に速く」

 

「わっ分かったわ。イヴちゃん、行きましょう」

 

「うぅ...///」

 

2人が行ったのを確認すると俺は物置部屋に入り電話に応答する

 

「何の用だ?あまりこの時間に電話はかけて欲しくないんだが」

 

『なら他の時間ならいいの「黙れ」ふん、随分と生意気だな』

 

「要件を言え」

 

『今やあちこちで組織の目撃情報が入っている。既に犠牲者が数人ほど出ている』

 

「みたいだな。これじゃあ10年前みたいに国が混乱することになるな」

 

『あぁ。お前も警戒を怠るな』

 

「わーってるよいちいちうるせえな。切るぞ」

 

不味いな。このままだとマジで友希那たちに被害が及びかねない。そうなったら洒落にならない。約束を破って早めに断ち切るか...

 

「流石にダメだよな。守ると言ったからには死ぬまで守らねえと」

 

そうなると近いうちに死ぬかもな。形見の品でも作っとくか

 

 

奏斗side

 

 

昼飯咲夜も誘おうとしたら彼奴は既に教室からいなくなっていた。松原さんでも誘いに行ったのだろうか?そうなるといよいよ食べる相手が紗夜しかいなくなる

 

「仕方ない。今日は2人で食べるか...」

 

今朝華蓮さんに作ってもらった弁当を持ち教室を出る。途中30人くらいから誘われたが先客がいると言って全部断った

 

「どうせ紗夜のことだし1人で食べてるだろうな...」

 

「私のことだというのはどういうことかしら?」

 

「ひょわ!?なんだ紗夜かよ、脅かすなっつうの」

 

「あっごめんなさい。それより、何故私が勝手に1人で食べていることになっているのかしら?」

 

「えっだってお前あまり友達いなさそ...痛い痛い!無言で指折り曲げんな!ごめんなさいごめんなさい!折れる!」

 

俺の必死の謝罪で紗夜はなんとか離してくれた。こいつ案外力強い「何かしら?」「ごめんなさい」

 

「全く...どうしたのよこんな所で。貴方1年でしょう?」

 

「紗夜と昼飯食べようと思ってきたんだよ。翔は他と食べてるし、久し振りに紗夜とたくさん話したかったからな」

 

「そっそう...///」

 

なんか顔赤いけど聞いたら殺されそうなのでやめておこう

 

「それなら白金さんも一緒にいいかしら?多分先に屋上に行ってると思うから」

 

「分かった。とっとと行こうぜ」

 

でないと周りからの視線が痛いからな。俺と紗夜が知り合いなのが余程びっくりらしい。やっぱりこいつ友達いないんじゃ

 

そう考えてると紗夜に足を踏まれた。痛い

 

「周りの連中相当驚いてるな」

 

「女子校育ちの人がここまで男子と仲いいのはまずないだろうし、当然といえば当然でしょう」

 

「休み時間の度に質問攻めにあうから本当に疲れるよ。彼女いるのか聞かれたからいないと答えたらその瞬間告白だし訳分かんねえ」

 

よく初対面の相手にそんなことできるよな。俺だったらまず手足の骨を折って抵抗できないようにするな

 

「それほど珍しいのよ。どうせ全部断ったのでしょう?」

 

「当たり前だろ。初対面の人を信用できるほど俺は心は広くないし、なんなら骨折って尋問してやるよ」

 

「捕まるからやめなさい」

 

こんな他愛のない会話も楽しく感じてしまう。今頃蘭はどうしてるかなぁ。暫く花咲川に行くと言ったら毎晩電話しろと言われた。子供が彼奴は

 

「それで、さっきの話の続きなのだけれど...本当に彼女はいないのよね?」

 

「いるわけないだろ。そもそも俺にそんな資格ないし」

 

彼女作ってのうのうと生きてるなんて世間に知れたら社会的立場がなくなる。えっ既にないって?それを言ったら終わりさ

 

「じゃっじゃあ、すっ好きな人は?美竹さんとか」

 

「好きな人もいないし、蘭はそんな目で見てないよ。そもそも俺そういう経験ないから知らんけど」

 

「そう...」

 

「紗夜がそんなこと聞いてくるなんて珍しいな。そういう紗夜はいないのか?好きな人とか」

 

「いるわよ。バカで鈍感でこっちが露骨にアピールしてるのに全く気づかない、でも危険なことがあると必ず守ってくれる、そんな人よ」

 

「もしかして翔?」

 

「...」

 

俺の名推理による結論を聞かせるとゴミを見るような目で見られた。えっ違うの?

 

「貴方は1回人生をやり直してきた方がいいと思うわ」

 

「仮にも風紀委員のお前がいう言葉じゃねえだろおい」

 

「ハァ...もういいわ。こっちから仕掛けないと無駄だということも改めて確認できたし。それに今なら距離を縮められるチャンスだから」

 

「よかったじゃん。頑張れよ」

 

また呆れたような視線を送られたがもうどうしようもない

 

「そういえば、今日は個人レッスンできそうだが来るか?」

 

「そうなの?なら、行かせてもらうわ」

 

「スタジオに時間入れておくから帰り一緒に行くか。今日は翔もいないし」

 

紗夜と話しているうちに屋上についた。羽丘より少し狭いがそれでも十分な広さだった

 

「あっ氷川さん...と妹尾さん?」

 

「どうもです白金さん。お昼、ご一緒させていただきますね」

 

「はい...」

 

それから弁当を食べた。紗夜の奴を少しもらったがどうやら彼女の手作りらしくめちゃくちゃ美味かった

 

 

咲夜side

 

 

学校が終わると俺はショッピングモールに来ていた。近いうちに死にそうな予感がしたので形見の品を作りにきたのだ。我ながら盛大にフラグ立てたと思う

 

「何がいいかな......肌に持っていられる奴がいいよな。そうなるとやっぱりアクセサリー。ネックレスとかかな」

 

正直俺はそういうの分からないのでもう適当だ。因みに作りに来たというのは此処にある店でアクセサリーをオーダーメイドで自分のアイデアを元に作るというものだ

 

「4人分だよな。友希那にモカに花音にイヴ、見ただけで俺のだと分かるようなアイデアがいいな」

 

1番最初に浮かんだのは死神。これは死を連想させてしまうので却下だ。そして次に浮かんだのが

 

「...月」

 

俺たちのバンドの名前にもなっている月。更には俺の本名にもついている

 

「決まりだな。すみませーん、オーダーメイドのアクセを作りたいのですが」

 

「かしこまりました。それでは彼処の机にてアイデアをまとめておいてください。いくつお作りになりますか?」

 

「5つで。1つだけ違うものですが」

 

「かしこまりました。ではこちらへ」

 

店員に案内され紙の置かれた机へと向かう。そしてある程度説明をすると持ち場へと戻っていった

 

「さて、早速取り掛かりますかね。なるべく綺麗に描かないと」

 

何故5つと言ったのか。それは簡単な話だ、1人だけもう1つ別で作るからだ。俺に道をくれたあの人に送る最高の品を

 

 

 




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