死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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こんばんは

本当はもう少し書くつもりでしたが、とてつもなく長くなることに気がついたので今回は少し短いです


第45話

3日後

 

 

オーダーした品が完成したとのことで俺はショッピングモールに来ていた。あのときはデザインを考えるのに1時間くらいかかって終わったときの疲労感が半端なかった

 

「上手くできてるといいんだがな......ネックレスの方はシンプルだしいいけどもう1つの方がな...」

 

大きさとデザインの細かさの比が全然合ってなくて見せたら店員は顔を引き攣らせていた。マジで申し訳なかったと思う

 

「気に入ってくれるといいんだがな...こればかりは祈るしかないな」

 

なんてことを言っているうちに店に着いた。カウンターに近づいたら何も言っていないのに店員が例の品を持って来た。よくよく見たらこの人俺がデザイン案の紙を渡した人だった。多分髪の色で俺のこと覚えてたんだな

 

「お待たせしました。こちらが今回出来上がった物になります。1度ご確認ください」

 

「ありがとうございます」

 

さて、仕上がりは如何かな...って凄!?えっネックレスも良くできてるけどもう1つのやつ完璧なんだが!?

 

「よっよくここまで再現しましたね...我ながら物凄く難しいデザインだった気がするのですが」

 

「我々の職人にかかればなんとかなります。それより、品質やデザイン等にご不満はありませんか?」

 

「大丈夫です。ありがとうございます」

 

「それはどちら様にプレゼントされるのですか?」

 

「いつもお世話になっている人たちに送ろうかと。中でも特に世話になってる奴にはこの別に作った物を渡すつもりです」

 

「そうでございますか...頑張ってくださいね」

 

「?はっはい」

 

頑張るって何を?そんな特に頑張るようなことはないと思うんだけど...渡すだけだし

 

会計を済ませバイト先であるCiRCLEへ向かう。今日は友希那が1人で練習するとのことなので休憩時間を使い付き合うつもりだ。今日渡してもいいのだがなんとなく最後に渡したいので明日にしよう。明日はRoselia全員で練習だし

 

シフトの時間が迫ってきたので本気で走る。体力には一応自身はあるし、足も速い方だと思うのでなんとか間に合うだろう

 

と思ってたら信号に引っかかりまくり遅刻したのは別の話

 

明日は花咲川にいられる最後の日だしそのときにイヴと花音に渡すとしよう

 

 

イヴside

 

 

今日は翔さんがここにいられる最後の日。少しでも距離を縮めようと思うのですが...方法が全然分かりません

 

私自身このような想いを抱くのは初めてだし、チサトさんに相談したけど話す機会を増やすしかないとしか言われていない

 

「ハァ...」

 

「どうしたイヴ、ため息なんかついて」

 

そのため息となった元凶、私の想い人である翔さんが聞いてきた。貴方の所為だと言いたいが、チサトさん曰くドンカン?だから言っても意味ないとのこと

 

「いえ、最近ちょっと疲れてて」

 

嘘は言っていない。嘘はブシドーに反することだ

 

「そうか、あんま無理はすんなよ。でないと妹みたいに倒れるからな」

 

「翔さん妹さんがいらっしゃるのですか?」

 

「あれ、言ってなかったっけ。昔過労で倒れた馬鹿が1人な」

 

「そうなんですね。そのお弁当は妹さんの手作りですか?」

 

「これは俺が作ったやつだ。今日の担当が俺だったからな」

 

翔さん料理できるのですね。少し食べてみたいです

 

「今から昼休みだしまた花音誘って行こうぜ。食べたきゃ何かやるよ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

正直なところ翔さんと2人きりで食べたいが、彼の希望なので仕方ない

 

「今日はチサトさんいないみたいですけど、いつもの場所にしますか?」

 

「なんだ、千聖さんいないのか。まぁ場所を変えるのもだるいしいいだろう」

 

お弁当を持ち2年の階へ移動する。翔さんと一緒にいると周りから異様な目で見られる。時には殺意のこもった視線も受けることがある

 

「あんま周りは気にすんな。何故にこっちを睨むのか知らんが、まぁ女子校に男子がいればこうなるか」

 

そうこうしている内にカノンさんを見つけ合流すると、普段昼食をとっている学校の庭に移動する

 

「にしても、今日で最後か。羽丘とまた違って良かったな」

 

「翔君は普段羽丘では誰といるの?」

 

「まぁ基本は琉太といるな。あとはAfterglowの面子に友希那やリサさんとか」

 

「翔さんはモテモテですね!」

 

「いやいや、周りに女子しかいないんだからしょうがねえだろ。まぁ中学の頃は1日3回は告白されてたけど」

 

「「えぇ!?」」

 

「そっそんな驚くことか?お前らだって可愛いし彼氏の1人や2人いそうだけどな」

 

「「かわっ!?///」

 

何故この人はこんなにも女性が恥ずかしがるようなことを言えるのでしょうか?最近こんなことばっかです

 

「あっそうそう、お前らに渡す物あったわ」

 

思い出したようにそう言った翔さんは、制服の懐から2つ紙袋を取り出し私たちに渡してきた

 

「これは...何でしょうか?」

 

「開けてもいいかな?」

 

「勿論。むしろ気に入ってもらえるか心配だしこの場で開けてもらえると助かる」

 

紙袋を開けみると中には三日月の形をしたネックレスが入っていた

 

「綺麗...」

 

カノンさんはあまりの綺麗さに無意識に言葉が出てしまったようだ。私はというと最早言葉が出なくなっていた

 

「日頃世話になってる人にプレゼントしようと思ってな、オーダーメイドで作ったんだ。特にこの1週間は本当に助かったよ」

 

「これ、私たちにくれるの?」

 

「当たり前だ。あと2人それと同じやつを渡すつもりだが、それは花音とイヴを含めた4人の為に作ったものだ。他に誰に渡すんだよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「ありがとう、翔君」

 

「まぁ俺からの礼として受け取ってくれ。こちらこそ、いつもありがとな」

 

「つけてもいいかな?」

 

「あぁ」

 

翔さんにもらったネックレスを首につける。鉄の冷たさが首に伝わって気持ちいい。何より太陽の光を反射して輝くネックレスがとても綺麗だ。まるで本物の月のようだ

 

「似合ってるかな?」

 

「あぁ。凄い似合ってるよ。2人ともモデルみたいだってイヴはモデルか」

 

「本当にありがとう!大切にするね!」

 

「形見として待っててくれ」

 

「えっ縁起悪いよぉ〜」

 

「そうですよ!そういうのをフラグと言うんですよ!」

 

「あはは...さっちゃんと渡せたしそろそろ飯食うぞ」

 

「みんなでお弁当交換しようよ!今日のは私の手作りなんだ!」

 

「私も自分で作ってきました!」

 

「おぉ、実は俺も。イヴは知ってるだろうがな」

 

お2人のお弁当はとても美味しかったです。それに翔さんにもらったネックレスも、今日は最高の1日でした

 

 

友希那side

 

 

今週はなんだかいつもよりつまらなかった。理由は明白だ、翔がいないからだろう。お陰でリサにからかわれるし

 

昨日久々にCiRCLEで彼に会い、私の個人レッスンに付き合ってもらった。花咲川では若宮さんや松原さんなど知り合いもいるみたいなので上手くいっているみたいだった

 

今日はRoseliaの練習があるのでリサやあこと共にCiRCLEへ向かう。着いた時には既に彼がラウンジなどの掃除をしていた

 

「おっ来たな。悪いが、俺はまだ休憩になってないから先に始めててくれ。氷川さんと白金さんはもういるから」

 

「分かったわ、ありがとう」

 

「翔も早く来てね!」

 

「リサさんも一緒にどうですか?ここら一帯全部掃除ですが」

 

「ごめんなさい、ごゆっくり頑張ってください」

 

「しょー兄またね!」

 

あこはいつのまにか彼のことをしょー兄と呼ぶようになっていた

 

「そんじゃ行ってこい。友希那、しっかり休憩しろよ」

 

「練習の度に毎回言うのはやめてもらえるかしら」

 

「だってお前毎回言わないと理解しねえもん。それとも花梨にやられたことの倍のことしてほしいか?」

 

「ごっごめんなさい...」

 

あんなもの二度と喰らいたくない

 

「とにかく、俺はまだ30分くらい経たないと行けないからしっかりやれよ。リサさんこいつの監視お願いしますね」

 

「了解!」

 

リサは周りの面倒見が良く、翔が来る前からもよく休憩を促してくれていた。そこに翔の監視の依頼が来ればもう逃げられない

 

スタジオの扉を開けると中では紗夜に燐子が練習を始めていた

 

「待たせてごめんなさい。調子はどうかしら?」

 

「こちらはいつでもいけますよ」

 

「そう。翔が来れるまでまだ30分くらいかかるらしいから、それまでは各自調整や苦手箇所の練習をしましょう」

 

「「「「はい」」」」

 

今日は花梨も来ないし、久し振りに私たちだけでやるかもしれない。それでもやることは変わらない。何時如何なる時でも最高の音楽を響かせてみせる

 

そして必ずXaharを超えてみせる




読了ありがとうございました

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次回で3章終了です

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