友希那欲しいよ...
奏斗side
「さて、咲夜も待たせてることだし行くか」
「そうですね。行きましょうか」
結構話し込んだだろうからあいつもそろそろイラつき始めてる頃だろう...あんまり怒らせると後が怖いのでさっさと行くか
「晩御飯の材料を買うって言ってたから食料品コーナーにいると思うけど...」
「広すぎて何処にいるのか分かりませんね...」
「とりあえず電話してみるか」プルルルルルル
『もしもし奏斗か?どうした?』
「柏と話し終えて今食料品コーナーに来たんだけど広すぎて何処にいるのか分からん。今何処にいる?」
『肉売り場にいるんだが今日はハンバーグでいいか?』
「俺は構わんが柏はハンバーグでいいか?」
「勿論いいですよ。それにお兄様のハンバーグはとても美味しいですし」
「柏もそれでいいってよ」
『分かった。お前らは外で待っててくれ』
「了解。また後で」
『あぁ』プツッ
「外で待ってろだとよ」
「分かりました。そういえば奏斗さんは冷蔵庫の中身がないと言ってましたが大丈夫ですか?」
「面倒臭いから明日にするわ」
「明日の昼食はどうするつもりなんです?」
「いつも通りコンビニで済ませる」
「はぁ...そんなんじゃ身体がもちませんよ?」
「現に今までもってるから大丈夫だ」
「もういいです。そろそろ行きましょう、お兄様も買い物終わらせた頃でしょう」
「そうだな。じゃあ行くか」
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咲夜side
俺は晩御飯の材料を買い終えてショッピングモールの外に行くと既に二人は待っていた
「悪りぃ待たせたか?」
「俺たちもさっき来たばかりだから問題ない。さっさと帰ろうぜ」
「そうだな。もうそのまま家に寄っていけ」
「そうさせてもらうわ。ありがとな」
「あぁ」
「おい柏」
「なんですか?」
「なんですかじゃねえよ。こういう時にアピールしないとダメだろうが...」
「分かってますよ」
「お前らさっきから何コソコソ話してんの?」
「なんでもありませんよ」
いきなり柏が俺の腕に抱きついてきた
「だから抱きつくなっていつも言ってるだろ」
「別にいいじゃないですか。というかこれからどんどん増えていくと思いますよ?」
「...なんで?」
「ハァ...こいつ本当に鈍感だな...」
「なんか言ったか奏斗?」
「なんでもねえよ」
「What?」
「それより早く帰りましょうよ」
「おっおう...」
「ダメだこりゃ」
なんだか二人の様子がおかしい気がするけど...まぁいいか
「さて、今日はソースどうするかなぁ」
「ただのデミグラスだとつまんないもんな」
「バジルソースがいいです」
「バジルならあるからそれでいいか」
「お前の家なんでもあるな」
「去年育ててたバジルで作ったソースがあるからな。爺さんのせいで最低限の仕送りしか来ないから野菜とかハーブは自分で育ててる」
「種余ってたら俺にも分けてくれ」
「バジルは初心者でも簡単に育てられるからまずはそこから始めろ」
「あざーす」
俺の祖父にあたる月読命源十郎《つくよみげんじゅうろう》はうちの財閥の会長をやっている。本来なら仕送り等で金に困ることはないのだが、俺のことをめちゃくちゃ嫌っていて全然くれない
「ガキの頃にいろいろやらかしてるから分からなくはないが...何故に華蓮はもらえるのか分からない」
「確かにな。まぁなんとなく察しはつくけど...」
「というわけでバイトを探さないと生活できないので何かないか?」
「知らんわそんなもん。それを知ってたらとっくにやってる」
「でしたら昨日行ったライブハウスはどうですか?確か高校生の時給で○○○○円くらいでしたよ?」
「マジで?」
「おそらくそのくらいはあったと思います」
「よし、明日面接行くぞ」
「珍しく咲夜がやる気だな」
「こうでもしないと本当にヤバいんだよ。金が...婆ちゃんからの仕送りも普段の電気代や水道代の生活費に持ってかれて、食費が払えなくなりそう」
「え!?じゃっじゃあさっき私に買っていただいた洋服は...?」
「あれで今月分尽きた」
「お前たまにバカなことするよな...」
「まぁ今日の分はなんとか賄える。明日からバイトしないと」
「俺も金ないしやるかな」
「そう言ってる間に着きましたよ?」
「じゃあ二人はちょっと待っててくれ。十五分以内に終わらせる」
「ありがとな。なら俺は食器でも並べとくよ」
「私は飲み物用意しておきますね」
「助かる」
この面子で晩飯も久し振りだな...今日は本気で作るか
奏斗side
今日は久し振りに咲夜の家で晩飯を食うことになった。咲夜の料理の腕前はもはやプロ並みでえげつない
「さてと、確か食器はあっちの方か」
何度もここに来たことがあるので大体の物の場所は把握している
「皿はカウンターに置いとくぞー」
「おう、サンキュー」
「こちらも飲み物用意できましたよー」
「じゃあ後は咲夜頼んだぞ〜」
「任せとけ。いつもより
「そうか...楽しみにしてるよ」
彼奴が本気で作ると見た目までこだわり始めるからな...とんでもない芸術作品ができそうだ
「十五分で終わるか?」
「余裕で終わる。ていうかあと五分で終わりそうだ」
「ハヤッ!?」
こいつやっぱり人間じゃねぇ...どっからその才能引き継いだんだ
「多分料理は華蓮から受け継いでると思う」
「サラッと人の心読まないでくれるか?」
まぁなんにせよ咲夜の料理が食べれるのは嬉しいことだし黙って待つとしよう
柏side
私は奏斗さんと一緒にお兄様の料理ができるのを待っているところだ。お兄様の料理はプロ並みに美味しいのでとても楽しみだ
「楽しみですね」
「お前は毎日のように食べれるんだもんな。羨ましい」
「本当はお兄様の負担を減らせるように私もできねばならないのですが...料理は少し苦手で...」
「人はそれぞれ得意不得意あるもんだ。気にすることはないだろ」
「でも...」
「料理が苦手なら他のことができるようになればいい。例えば洗濯とか」
「他のこと...ですか」
「最初から全てできる人はいないさ。最低限の家事ならできるし時間があれば教えてやるよ」
「ありがとうございます」
「できたぞー。柏持ってってくれ」
「分かりました」
「待ってましたー!」
どうやら晩御飯ができたようだ。私は三人分のハンバーグを持って行こうとするが人間の腕は二本なので二つしか持てない
「無理はするな」
残りの一つはお兄様が持ってくれた
「...ありがとうございます」
「こりゃまあえげつない見た目だな...」
奏斗さんの言う通り、お兄様の作ったハンバーグの見た目は本当に凄かった
形は普通に丸いのだが、その上にあるバジルソースで描かれた絵や野菜で彩られたお皿はもはや一つの芸術作品だった
「なんだか食べるのが勿体無いですね」
「せめて写真だけでも撮っとこうぜ」
「カメラ持ってきますね」
私はカメラを持ってくるために席を立った
「なんだか今日の柏は随分とご機嫌だな」
「久し振りにこうして三人で遊びに行けたのが嬉しかったんだろう」
「普段柏には迷惑掛けっぱなしだったからな...喜んでもらえて何よりだ」
「!そうか...」
(柏、思ったよりも咲夜は変わってるみたいだぞ。もっと自信を持て)
「持ってきましたよー。なっ何ですか?二人してニヤニヤして...」
私の反応に対する二人の顔が何だかムカつく
「...」
私は二人のハンバーグを奪った
「なんのつもりだ?」
お兄様が少し怒ったような顔で私を睨んでくる
「ちょっとお二人の反応にイラっときたので」
「えっと柏?今から食べようというのにそれはちょっと酷く」
「何か言いましたか?」
私は威圧的な態度で奏斗さんを睨みつける
「イエナンデモ」
「そういえばお兄様昼間私に何でもするとおっしゃいましたよね?」
「...」
「もし謝ると言うのなら少しレベルを下げてもいいのですが?」
「スミマセンデシタ」
「よろしい」
そう言って二人にハンバーグを返す
「何だか最近柏が鬼み...」
「何か?言い分なら幾らでも聞きますよ?」
「ナンデモゴザイマセン」
「おい。そろそろ食おうぜ」
「それもそうですね。では戴きます」
「美味い!」
「これは中々の出来栄えだな」
「お肉が柔らかくて最高です!」
お兄様の作ったハンバーグはいつもより何倍も美味しかった
「二人の口に合って何よりだ」
十五分後
「「「ご馳走様でした」」」
「いやー美味かった」
「奏斗は風呂どうする?」
「着替えもねえし家で入るわ」
「そうか。柏は先に風呂入ってろ、俺は片付けしておく」
「たまには私がやります。お兄様はお風呂でゆっくりしててください」
「?そっそうか...ありがとう」
少しでもお兄様の負担を減らしたい...そのためには少しずつでもできるようにしないと
「じゃあ俺はこれで帰らせてもらうよ」
「分かった。また明日」
「さようなら」
「おう」
「なら片付け頼んだぞ」
「はい!」
私は早速洗い物に取り掛かった
咲夜side
俺は今風呂の浴槽でくつろいでいる。普段は片づけ等は俺がやるのだが、珍しく柏がやりたいと言い出したのでお言葉に甘えて任せることにした
「彼奴も変わったな...」
俺たちが初めてあった頃なんか柏は怯えてずっと物陰に隠れて俺を見ていた。あの頃はまだ感情があったのかちょっとショックだったな...
「人は変わるもんなんだな...」
俺はどうだろうか?この十年で何か変われたのだろうか?
「考えても無駄か。生きる価値を見つけることのできない俺が変わったわけねえよな」
そうだ。俺が変われる筈がない。しかし一つ気がかりがある。何故俺は湊の提案に乗ってしまったのだろう...普段の俺だったら絶対に断っているのに
「まぁ、そのうち分かるか」
柏side
私は洗い物を終わらせお兄様が出てくるのを待っていた
「少しは役に立てたらいいのですが...」
これでも昔と比べたら随分と変わったと思う。初めてお兄様と出会った頃、怖くて全然近づくことができなかった。ずっと物陰に隠れてお兄様を遠くから見ていたので感情があったその時のお兄様には悪い思いをさせてしまったかもしれない
「上がったぞー」
「はーい」
私は疲れて重くなった身体に鞭を打ち立ち上がった
「へー結構綺麗にできてんじゃん」
お兄様が私のやった洗い物に対して褒めてくれた
「あっありがとうございます」
「お疲れさん。ゆっくり入ってこい」
「分かりました」
十五分後
「上がりましたー」
「りょーかい、じゃあ先に寝かせてもらうわ」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
どうやらお兄様はもう寝るらしい。私も眠くなってきた
「私も寝ますか」
私は昼間お兄様に言われたことを思い出しながら自分の部屋ではなくお兄様の部屋へと向かった
「お兄様、まだ起きてますか?」
「どうした?」
「いえ、今日はお兄様と一緒に寝たいなと思いまして」
「なんだ夜が怖くなったのか?」
「ちっ違います!ただお兄様と寝たいだけです!///」
「冗談だ。ほら」
お兄様が許してくれたのでお兄様の布団に潜り込んだ
「でも急にどうした?今まではこんなことはなかったのに」
「昼間私に何でもすると言いましたよね?その代償を払ってもらおうとしただけです。お兄様は私と寝るの嫌ですか?」
「別に嫌じゃないけど...」
「なら問題ありません」
「ハァ...」
しばらくの間沈黙が続いたがさっきからずっと聞きたかったことを聞くことにした
「そういえばRoseliaの練習に付き合うことになったみたいですね」
「まぁ成り行きでそうなった」
「何故断らなかったのですか?いつもなら断ったのに...」
「俺にも分からん」
「え?」
返ってきたのは全く予想していなかった言葉だった
「分からないけど、不思議と引き受けてもいいと思ったんだ。これからその答えを見つけようと思う」
「...そうですか」
「でも一人で見つけれる自信が無くてな、柏も協力してくれるか?」
「はい!任せてください!」
「ありがとな。そろそろ寝よう、おやすみ」
「おやすみなさい」
この時私はあってはならない感情が芽生えていることに気がつかなかった
彼女、湊友希那を恨んだことに
今更ですが咲夜たちが組んでいるバンド“Xahar”ですがもし意味が気になったら調べて見てください