死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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最近長い話が多かったので今回は短めです(ただネタが思い浮かばなかっただけ)

フェス限友希那来ましたね。スター無いんだけどどうしてくれるんだろ?無課金勢舐めんなし

それでは本編どぞ


第66話

友希那side

 

 

練習も終わりスタジオから出た途端、殺気を感じた。柏程の恐ろしさは無かったが、鳥肌を立たせるには十分だった

 

「ねぇ、あれモカだよね?こっちを睨んでるの」

 

「私たちというよりは完全に友希那さんでしょう。要件は粗方お兄様関連ですね」

 

「...行ってくるわ。彼女とは1度本気で話したかったから」

 

「では私は奏斗さんと一緒にお兄様の回収をして来ます」

 

私はあまりRoselia以外の人とはあまり関わりが無いため分からないが、少なくともあそこまで怒っている青葉さんを見たことは無い

 

「青葉さん、少しお話しないかしら?」

 

「いいですよ〜。あたしも丁度湊さんと話したかったので〜」

 

口調はゆったりとしているが、込められた感情が明らかに普段とは違う。私もそれなりの意思を持って話さなければならないわね

 

私たちはCiRCLEの前にあるカフェに向かい合うように座った。時間も遅いし、できるだけ素早く終わらせましょう

 

「さて、貴女が私を睨んでいたのは分かっているわ。翔のことでしょう?」

 

「...何であんなことしたんですか〜?湊さんなら分かっていましたよね〜?しょ〜君にRoseliaの演奏を聴かせれば何かしらの異変が起こることくらい」

 

「えぇ。私もあんなに強い発作を起こすとは思わなかったけれど」

 

「だったら...!」

 

「私からも質問するわ。青葉さんは彼の記憶を取り戻したいの?」

 

「それは...」

 

「私は何が何でも取り戻そうと思ってる。例えそれが彼の悲劇を思い出させることになってしまったとしても。今までのことを無かったことになんて私にはできない」

 

「今までのこと...」

 

「彼と出会った日。彼が初めて練習に来てくれた日。彼がマネージャーになってくれた日。彼と初めて一緒に出かけた日。彼とライブをした日。彼と喧嘩した日。彼と夏合宿をした日。彼が私たちを守ってくれたあの体育祭の日。辛いこともあったけど、どれも私にとっては掛け替えのない日々だった。彼がいたから今の私がある。なのに、それを彼の記憶と一緒に消し去るなんて私には絶対にできない」

 

咲夜。貴方は私たちと、私と過ごした日々をどのように思っていたのかしら?今はその答えを聞けないけれど、少しでも良いように思ってくれてたら嬉しいわね

 

「私もこれが正しい選択だとは思っていない。でも、いつか選択を迫られた時、必ずその答えを出さなければならない。そして、結果は答えを出さない限り誰にも分からない」

 

「結果は誰にも...」

 

「私は彼の記憶を取り戻すことを選んだ。柏も、覚悟を決めて彼の記憶を取り戻すことを選んだ。おそらく、華蓮さんも選ぶでしょう」

 

「無理に選べとは言わないわ。でも、後できっと後悔する。貴女はどうしたいのか。それに対して今何をするべきなのか。考えてから答えを出しなさい。もし邪魔をするのなら私は容赦しない」

 

私はそう言い残すと席を立ち皆のところへ戻った。戻ると既に翔は目覚めていて、少し顔色は悪かったがほっとした

 

「翔、大丈夫なの?」

 

「あぁ。悪いな、演奏最後まで聴いてあげられなくて」

 

「私の方こそ、もっと貴方のことを考えるべきだった。ごめんなさい」

 

「あの時、声が聞こえたんだ。奴は前の俺とか言っていたけど、よく分からない」

 

「他に思い出したことは?」

 

「何も。思い出そうとすると途端に頭痛がしてな。それどころじゃなくなっちまう」

 

「翔、貴方は前の記憶を取り戻したいと思う?」

 

「どうだろうな。思い出したいけど...怖いんだ。またさっきみたいに暴走するのが。誰かを、友希那を傷つけてしまいそうで」

 

彼は恐怖を振り払うように手を強く握りしめた。私はその手を両手で優しく包み込んだ

 

「1人で抱え込まなくてもいい。貴方の周りにはたくさんの人がいる。花梨や祐奈さん、琉太。私たちRoselia。いつでも貴方の味方よ」

 

「...ありがとう。怖いけど、少しずつ向き合っていこうと思う。手伝ってくれるか?」

 

「愚問ね。最初からそのつもりよ。一緒に頑張りましょう」

 

こうして咲夜としての記憶を取り戻すことになった。そろそろ準備しないといけないわね。想いを伝える準備を

 

 

 

モカside

 

 

 

完全に言い負かされたあたしは皆のところへ戻った。湊さんの言っていることは正しい。あたしには覚悟が足りていないのだ

 

「お帰り。湊さんと何を話したの?」

 

「大方、咲夜の記憶の件で揉めて言い負かされたんだろう。あの人言ってることは的を得てるからな。結構精神的にくるぞあれは」

 

「...モカ、帰ろう」

 

「...うん」

 

あたしたちは帰路につき、ゆっくり歩き出した。まだ6時過ぎだというのに辺りは暗く、気温も低い。まるで今のあたしの心を表しているようだった

 

「モカ、お前はどうしたいんだ?」

 

「え?」

 

「咲夜の記憶を取り戻したいのか聞いているんだ。モカはどうしたい?」

 

「あたしは...」

 

あたしはどうしたいんだろう?咲夜に悲劇を思い出させる代わりに今までの思い出を全て思い出させるか、全てなかったことにしてしまうか。そんなもの...

 

「あたしは...記憶を取り戻したい」

 

「じゃあ、その気持ちのままに動けばいい。俺もできる限り協力するから。俺だけじゃねえ。Afterglowの皆がいる。皆を頼れ」

 

「...ゔん」

 

「モカ」

 

「蘭?」

 

「あたしはモカじゃないから、モカの気持ちは正確には分からない。でも、何年も一緒に過ごして来たからこそ分かることもある。あんたは1人じゃないから」

 

限界を迎えたあたしは蘭に抱きつきその場で泣きじゃくった。それを蘭は優しく抱きしめてくれて、受け止めてくれた。多分、10分は泣いただろう

 

「ありがとね〜蘭」

 

「別に...あんたがそんな調子じゃこっちまでおかしくなるから」

 

「出たツンデレ」

 

「なっ!?奏斗!/////」

 

「イッテェ!お前傷口に蹴り入れる馬鹿がどこにいるんだ!?開いたらどうしてくれんの!?」

 

「あんたさっきからあたしと話す時だけよそよそしくして!いい加減理由くらい話したら!?」

 

「言えるかボケぇ!おい巴!お前何て説明した!」

 

「いや、特に何も言ってない」

 

「今度伸びたカップ麺お前の家に送りつけてやる!」

 

「陰湿すぎないか?元暗殺者がそんな陰湿なことする?」

 

相変わらず蘭は蘭だった。もうとっとと付き合っちゃえばいいのに

 

「蘭〜。いいこと教えてあげる〜」

 

「何?」

 

「奏斗はね〜蘭のこと...」

 

「おいちょっと待てそれ以上は言うな!言ったら色々とまずい!パン奢るからお願いしますマジでやめて!」

 

「乗った」

 

「ねぇ奏斗があたしのこと何だって?パン奢るから言って」

 

「乗った」

 

「ホントにマジでやめろ!」

 

「言って!」

 

咲夜。あたしは君がいないと寂しいよ。あたしも協力するから、どうか戻って来てください

 

 

 

 

???side

 

 

 

 

家の屋根から6人の少女と白髪の1人の少年を見つめている。あの子の顔を見るのも久し振りね

 

「まさか記憶を失っているなんてね...これは面白くなりそう」

 

その瞬間、何かが飛んで来る気配を感じた私は持っていた刀で弾き返した。飛んで来たのはナイフ。こんなことをするのはただ1人

 

「華蓮...」

 

「久し振りね。()()()()

 

私の娘である華蓮が2本の刀を手に持ちそこに立っていた

 

「随分と大人びたわね。以前なあんなに小さかったのに」

 

「10年も前の話よ。あまり馬鹿にしないでくれる?」

 

久し振りの再会だというのに随分とお怒りの様子ね。全く...短気なのは変わってないわね

 

「私はあの時のことを許すつもりはない。また咲夜に手を出そうってのならこの場で殺す」

 

「いい加減そのブラコンを治しなさい。安心しなさい。()()何もしないから」

 

あまり長居してると目の前の狂犬が何をするか分からないのでそそくさと退散した。これはおもしろくなりそうね




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