死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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どうも、最近左目だけ視力が悪くどうしようか悩んでいる暁月です(どうでもいい)

今回は友希那と翔のイチャイチャ回です


第68話

翔side

 

 

旅行2日目。俺たちは奥入瀬渓流に来ていた。十和田湖の近くにある此処奥入瀬渓流はこの時期、紅葉がとても綺麗らしい。ホテルの人も言ってたから相当なものなのだろう。そしていざ来てみると

 

「凄いな...」

 

そよ風に散り舞う紅葉。流れる澄んだ川。予想をはるかに超える景色が目の前に広がっていた

 

「綺麗ね...」

 

「あぁ。ホテルの人からも聞いてはいたけど、まさかここまで綺麗とは思わなかったな」

 

「貴方のお陰ね。旅行券を当てるなんて」

 

「本当だよ。俺としてはあの時ティッシュ箱詰め合わせを狙ってたんだがな...」

 

何せ金が無いからな。山吹ベーカリーでパン買った時に引換券みたいなの貰って、景品にティッシュ箱の詰め合わせがあったからそれ狙おうとしたら何故か特等が当たってしまったのだ

 

「...残念だったわね。ティッシュが貰えなくて」

 

俺の話を聞いた友希那が不機嫌そうな顔を浮かべている。

何か勘違いしてないか?

 

「勘違いしているようだが、結果的にこうして友希那と旅行に来れたんだ。ティッシュなんかより全然嬉しいさ」

 

「...ありがとう」

 

景色を十分に楽しんだ俺たちはその場を後にしてこの後について話し合っていた

 

「どうする?時間的にちょっと歩けば昼飯の時間になるけど、問題はその後だ」

 

「渓流も見たしお土産も買ったし、特にすること無いわね。お昼ご飯を食べたらホテルでゆっくりしましょうか」

 

旅行に来たのにホテルでゆっくりとは何か微妙だけど、まぁそれ以外すること無いし仕方ないか

 

「分かった。どっか行きたいところ調べといてくれ。友希那が好きなやつで構わん」

 

「それじゃあ魚があるところに...」

 

「......」

 

「ごめんなさい。謝るからその左手に持ったナイフをしまってくれないかしら?」

 

こいつ危険すぎる。俺が魚介類苦手なの分かってて仕掛けて来やがった。俺が調べたいところだが...

 

 

 

俺機会の操作マジでできないんだよなぁ

 

 

 

どうやら以前から機械操作は壊滅的だったらしく、いつも花梨に教えてもらいながらやっていたそうだ。頑張ってスマホは大方使えるようになったが少し不安だし、パソコンはまるでダメだ。下手に不器用に調べて友希那に機械操作が苦手なことバレたら多分暫く立ち直れない

 

「此処の喫茶店なんてどうかしら?サンドイッチやパンが美味しいらしいわよ」

 

「確かに美味そうだな。それに、雰囲気も羽沢珈琲店に似てて落ち着けそうだ。じゃあそこに行こうか」

 

「分かったわ」

 

それにしても、友希那ってよく見ると本当に綺麗だよな。すれ違う男皆友希那の方見てるもん。女子まで見てるのは何故かは知らないけど。友希那も視線を感じてるのか少し嫌そうな顔をしている

 

「大丈夫だ。俺が側にいるし、昨日みたく声かけられたりしねえよ。視線は嫌かもしれないが我慢してくれ」

 

「じゃあ...こうさせてもらうわ」

 

そう言うと友希那は俺の腕に手を回し抱きついて来た。いや、何やってんの?余計視線感じないか?

 

「お前は何やってんの?自分から視線感じるようなことしてんじゃねえよ。やっぱりアホだ」

 

「失礼ね。こうすると安心するのよ。視線を我慢しろと言うならこれくらいは許しなさい」

 

「へいへい...好きにしてくれ」

 

全く、友希那の考えることはよく分からん。そういうのは自分が最も信頼できて最も好きな人にやるべきだと思うんだけどな...

 

10分くらい歩くと目的の店に辿り着いた。外見からでも落ち着いた雰囲気が伝わってくる。此処絶対いい場所。中に入るとこれまた木の香りとかがして凄え。最高

 

「いい店だな。これで珈琲が美味かったら嬉しいな」

 

「その珈琲の評判もいいみたいよ。なんでもサンドイッチと合わせるととても美味しいらしいわ」

 

「マジか。よし、今日の昼飯はそれでいこう」

 

「私も同じのをお願いするわ」

 

店員を呼んで注文すると、ものの数分で品が届いた。どんな仕組みになってんだ?早速1口食べてみると...

 

「うま〜い。珈琲もイヴのやつほどじゃ無いけど確かに美味い。明日も此処来ようぜ」

 

「いいわね。確かに、他の喫茶店より全然美味しいわ」

 

あー急にイヴの珈琲飲みたくなってきたな...今度淹れてもらおう

 

「前から思っていたのだけど、貴方いつもアイスコーヒーなのね。この時期なら普通はホットじゃないのかしら?」

 

「俺もそう思ってたんだけどさ、俺猫舌らしいんだよね。それも重度の。どれくらい重度かと言ったら友希那の苦いもの嫌いと同じくらい」

 

「うるさいわね...でも、大体分かったわ」

 

普段少食の俺でもこれならたくさん食べれそうだな。いつの間にか食べ終わっており特に留まる理由も無いのでそそくさとホテルに帰った

 

「少し昼寝していいか?流石に疲れたし足痛い」

 

「構わないわよ。私も疲れていたし。それに、今の翔に無理はさせられないもの。しっかり休みなさい」

 

「サンキュー。んじゃ、おやすみ」

 

「おやすみなさい」

 

多分、意識が飛ぶのに3分かからなかったと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪ ♭ ♯ ♪ ♭ ♯ ♪ ♭ ♯ ♪ ♭ ♯ ♪ ♭ ♯ ♪ ♭ ♯

 

 

 

 

 

 

 

 

声が聞こえた。あの時と同じ声が

 

『俺の名前、呼んでみな』

 

促され呼ぼうとするが口が動かない。怖いんだ。呼んだら俺という存在が消えてしまいそうで、今は眠るもう1人の俺の闇に飲まれてしまいそうで...

 

「それは...できない」

 

それがやっとのことで話せた言葉だ

 

『何で?俺が怖いか?』

 

「...あぁ。お前は俺と違って強い。お前の名前を呼んだら俺はその強さに、闇に飲まれてしまいそうで、消えそうで怖いんだ」

 

『何故そう思う?』

 

「昨日、友希那が知らない奴に声をかけられてた時。殺り合いにになってたら今の俺ではどうにもできなかったと思う。俺はお前みたく強く無いから。だから...」

 

 

 

 

「消えてもいい。俺に守る力をくれ。月読命咲夜」

 

長い沈黙。一体どのくらいの時間が経ったのだろうか?離れた場所にいた彼はいつの間にか俺の目の前に来ていた

 

『俺は強くなんか無い。それどころか、守るべき存在を置いてきちまった。だから頼む。俺を......消さないでくれ」

 

彼は涙を流していた。あぁ、そうか。怖かったのはお前も同じだったんだな...

 

「...じゃあ、俺がお前を救ってやる」

 

 

 

 

 

 

 

「ん...」

 

目が覚めると時は既に6時。どうやら4時間近く寝ていたらしい。辺りを見回すと友希那の姿が見えない。何処行ったんだ?

 

「おーい友希那。起きたぞ〜」

 

返事が無い。とりあえず部屋回ってみよう

 

「友希那〜。いるなら返事してく...れ...」

 

「あっ...」

 

洗面所へのドアが開いていたためふとそちらを見てみると...風呂上がりと思われる友希那がそこにいた。おそらくたった今上がったのだろう。勿論服なんか着ているわけが無く...

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜/////」

 

顔を過去最高に紅潮させた彼女は一瞬にして風呂場に消えて行った。...何かごめんなさい

 

暫くすると部屋着に着替えた友希那が未だに顔を赫くしたまま戻って来た。うわ〜気まずい

 

「えっと...起きていたのね。十分に休めたかしら?」

 

「お陰様でさっきまでぐっすりしてたよ」

 

「そっその、翔.../////」

 

「ん?」

 

「みっ見たかしら?か...身体/////」

 

「......」

 

何て答えればいい?実際少しだけ見えた。だが事実を言えばセクハラになりかねないし、かと言って嘘を言えば余計ややこしくなるし...

 

「その、怒らないから...正直に言って/////」

 

「...胸を少しだけ」

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜/////」

 

「恥ずかしいなら聞くなよ!俺だって割と恥ずかしいんだからな!」

 

「仕方ないじゃない!その、男の人に見られたの初めてなんだから!/////」

 

「見たことは悪かった。だけど、故意では無いことだけは理解してほしい」

 

「むしろわざとだったら今この場で殺すわよ」

 

「こーわ」

 

女子が殺すだの物騒な言葉を言うんじゃない。全く、誰の影響を受けたんだか...

 

「貴方のせいね」

 

「人のせいにするなてか心読むな」

 

何故俺の周りの人間は人の心を読んでくるのだろう?普通に怖いからやめてほしいんだけど

 

「後で埋め合わせするから、許せ」

 

「...分かったわ」

 

「この後どうする?少し早いが晩飯食いに行くか?」

 

「貴方の好きなタイミングで構わないわよ。先にお風呂に入ってきてもいいし」

 

「風呂は後でいい。友希那がいいなら今から晩飯食いに行く」

 

「分かったわ。着替えてくるから待ってて頂戴」

 

「了解。万が一があるから鍵閉めとけよ〜」

 

「思い出させないでよ!/////」

 

俺か当てた旅行券の中には此処のホテルでの食事券も入っていた。此処は食べ放題形式で、サラダバーやドリンクバー。肉や魚など全国各地の食材が沢山あるのだ。昨日はサラダバーでずっと野菜食ってた

 

「お待たせ。行きましょうか」

 

「オッケー」

 

「今日はお肉もしっかり食べなさいよ」

 

「えぇ〜...今井なら分かるけど友希那に言われると腹立つな」

 

「ちょっとそれどういう意味よ」

 

だってなぁ...普段今井がいないとポンコツ化する奴に言われたら誰だってそう思うぞ

 

というわけで今日も安定のサラダバーでした。小言言われるの嫌だから肉も食ったけど。友希那が魚まで持ってきたのでアイアンクローかましといた

 

そんなこんなで晩飯も食べ終わり、部屋に戻ったところで俺は風呂に入った。若干いい香りがしたのは気のせいだろう

 

「上がったぞ。特にやること無いし、寝るか?」

 

「そうね。明日はどうするの?」

 

「夕方の新幹線に乗って帰ろうかと。だから午前はフリーだ」

 

「なら明日になってから考えましょう。私は寝るわ」

 

そう言うと友希那は布団を被った。いや、あのさ...

 

「そこ俺のベッドなんすけど」

 

「知ってるわよ。夕方の埋め合わせで今夜は一緒に寝てもらうわ」

 

「何言ってんの?お前やっぱりバカなの?1回病院行くか?」

 

「...花梨やリサたちに翔に裸見られたって言っておくわね」

 

「ワーイユキナトネレルーウレシーナー」

 

「ふふふ...」

 

こいつ何てこと言いやがる。俺を殺しに来てるのか?

 

「じゃあおやすみ。寝てる間に蹴飛ばすとか襲うとかやめろよ」

 

「襲わないわよ!/////早く寝なさい!/////」

 

「へーい」

 

この後薄れゆく意識の中頬に柔らかい感触があったのはおそらく気のせいだろう




読了ありがとうございました。知ってました?この2人付き合ってなんですよ?

次回はアンケート結果第2位の咲夜×モカを番外編として書こうかと思います。ついでにアンケート更新しようと思います

評価や感想お待ちしております

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