死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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第69話

華蓮side

 

 

 

とある日の朝。いつも通り授業をするために移動しているところだった。私が教えているのは数学。理由は単純に得意だったから。咲夜にも負ける気はしない

 

「えっと、次は3-Cか。このクラスは何か私のこと怖がってるんだよね...何でかなぁ?」

 

ていうか私が行ってるほぼ全クラスの人に怖がられてる気がする。特に何もしてないんだけど...強いて言うならたまに来る何処かの男子高校生がナンパしてた時にストレス発散ついでにボコボコにしてるくらいかな。あの程度で怖がられるのはおかしいと思うんだけど(華蓮主観)

 

「はーい皆席ついてね〜。授業始めるよー」

 

羽丘は進学校なだけあって皆理解が速いからとても助かる。分かりやすいように毎晩徹夜で授業を考えてるけど、実感が湧くから意外とやりがいを感じてたりする

 

授業が始まって10分くらいしたところ。教室の外に人の気配を感じた私は黒板に書く手を止めた

 

「...グズグズしてないで入ったらどうですか?ただ単に授業してるだけなんですけど」

 

私の言葉を聞いて遠慮を無くしたのか男が2人入ってきた。ザワザワする生徒たちを抑え私は入ってきた男に向き合う

 

「何の用かしら?見たことない顔だけど手短にお願いするわ」

 

すると2人は胸ポケットからある物を取り出した。それは、警察バッジだった。警察寄越すなら彗人さん連れて来いっての

 

「警察が来るということは私のことを知っていると認識していいのかしら?何の用?」

 

「平野警部からの命令だ。此処では話しにくいから理事長室に行くぞ」

 

「...チッ。皆ごめんね?私今からこのおっさん2人とお話ししてくるから。プリント配るからそれやっててね。ほら、あんたらも手伝え」

 

時間短縮のため2人にもプリントを配らせる。意外と手付きが速くて驚いた

 

「それじゃ皆しっかりねー。...んで?この事瑠奈さんには話してあるの?」

 

「平野警部が話をつけてある。時間が無い、早く行くぞ」

 

何なのよ一体。一応言っておくけど私何もしてないからね?あれ以来誰も殺してないからね?

 

理事長室に入るとそこには彗人さんになんと奏斗君もいた。ますます呼ばれた意味が分からなくなってきたわ

 

「彗人さん。これは一体どういうことかしら?奏斗君まで呼ばれてわざわざ理事長室を貸し切りにして。そんなに大事なの?」

 

「そういうことだ。お前らは人が来ないように見張っとけ」

 

「「分かりました」」

 

私を呼びに来た刑事2人が外に出る。あまり聞かれたく無いことなのかしら?

 

「まずは単刀直入に言う。今、お前たちに殺人容疑がかかってる」

 

「「ハァ!?」」

 

「ちょっと待て!俺たち最近何もしてねえぞ!?てか殺人容疑とか今更すぎないか!?」

 

「そうよ!最近は組織に襲われてないし私たちは一般人に手を出したことは無いわよ!」

 

「まぁ落ち着け。とりあえずこの映像を見てくれ」

 

鞄からiPadを取り出す彗人さん。うわっ、それ最新の機種じゃん。羨ま寄越せ

 

「これは3日前、商店街近くの路地裏に設置されている防犯カメラの映像だ。時間帯は大体夜の10時過ぎ」

 

その映像を見た私は自分の目を疑った。何故ならそこに映されていたのは...

 

「私...じゃない...」

 

私が向かってくる人を殺してる姿だったのだから

 

「あぁ。被害者はそこらをうろついてる不良どもだ。見て分かる通り瞬殺されている。現場を見るとそこら中に首が落ちてたよ。あれ程綺麗に人の首を落とせるのは少なくともお前たちしかいない」

 

「でっでも!3日前の夜なら私は家に帰ってたわ!使用人も見てる筈よ!」

 

「まぁ落ち着け。もう1つあるから、それも見てくれ」

 

画面を操作してもう1つの動画を再生すると今度は奏斗君が人を殺してる姿が映った

 

「今度は俺か...これは何時のだ?」

 

「これは一昨日の夜の同じくらいの時間だな」

 

「おいおい。その日なら柏や翔と晩御飯食って夜遅くまでセッションしてた筈だ。柏に聞けば分かる」

 

「問題はそこなんだよ。月読命邸の使用人から華蓮の目撃証言は出てるし、さっき柏からも奏斗のことは聞いた。つまり、これに映っているのは偽物ということになる」

 

「じゃあ何で私たちに容疑がかかっているのよ?アリバイはあるのに」

 

「どうやら他の連中はお前たちならそのくらい幾らでも交錯できると思っているらしい。さっさと逮捕令状出せとか騒いでる」

 

「ふざけてるのかしら?何で私たちがそんなこと...」

 

私たちだって好きで人を殺してたわけじゃない。今では無くなったけど、あの頃は月読命邸の使用人からも軽蔑の目で見られ居場所なんて何処にも無かった

 

「まぁ過去の俺たちの行いを考えれば分からなくもないが...誰がこんなことを」

 

「分からない。だがこのままじゃお前たちは身動き取れなくなる。そうなれば対抗できる戦力は無くなる。何とかして真実を見つけないとならないんだが...心当たりは無いか?」

 

殺人技術を見る限り組織の人間であることは間違い無い。それもかなりの腕前だった。構えも私たちに似ていたし、繋がりがある筈。顔を真似る...変装...まさか

 

「1人だけ、可能な奴がいる」

 

「何?」

 

「月読命詩織。私のお母さんよ」

 

「詩織さんが!?でも、あの人は...」

 

「この前、RoseliaやAfterglowが練習を終えて帰ってる時。翔が倒れた日ね。翔の様子を見に行ったらいたのよ。屋根の上から翔たちを見下ろすお母さんが」

 

「...それで、華蓮はどうしたんだ?」

 

「奇襲をかけたけど、失敗したわ。あの時は“今は”何もしないって言ってた。おそらく今も何処かに潜んでる」

 

「確かにあの人の変装技術なら可能でしょうけど...何故そんなことを?」

 

「お前たちの動きを封じるためだろう。警察内ではお前たちに対する信用は0だ。当然お前たちを疑い動きに規制をかけようとするだろう」

 

「目的はやっぱり...」

 

「翔、咲夜でしょうね。おそらく記憶を失っているのも知っているだろうし、そのタイミングを狙ったんだと思う」

 

「厄介だな...詩織さんは正直言って刃さんより強い。あの人に勝てるとすればこの世にただ1人」

 

「覚醒した咲夜しかいない。でも...」

 

悔しいけど、彼は今戦えない。身体は覚えているようでナイフの扱いとかは咲夜その物だったけど、今の状態では勝てない

 

「今は様子を見よう。俺も頑張って上の連中を説得してみる。そっちは任せる」

 

「分かったわ。柏にはできるだけ翔の近くにいてもらうように」

 

「待ってください」

 

「?どうしたの?」

 

「詩織さんは頭が良い。正面から襲いに来ることは絶対しない。昔だってそうだ。あの人の作戦のお陰で失敗は無かった」

 

「確かに...お母さんなら私たちという邪魔が入りそうな状況でやるとは思えないわね」

 

「俺たちの動きを完全に封じつつ、なおかつ翔を引きずり出す方法。抵抗できなくする何かをあの人は必ず用意する筈だ」

 

「2人とも、話してるところ悪いが今度の会議に来てほしい。居心地は最悪かもしれんが頼む」

 

「彗人さんの頼みなら断る理由は無いわ。できる限り協力する」

 

「俺も同じく」

 

「助かる。じゃあ俺は先に戻ってる」

 

「えぇ。ありがとう」

 

彗人さんは席を立ち帰って行った。さて私たちもそろそろ戻りましょう

 

「私もお母さんに一太刀くらいは浴びせたいなぁ...人をブラコン呼ばわりしやがって...!」

 

(事実じゃねえか...久し振りに会ったというのにあの人相変わらず地雷踏み抜くな)

 

「とりあえず戻りますよ。俺もできるだけ翔のこと見てるんで」

 

そういえば、奏斗君さっき翔を引きずり出す方法って言ってたわね。それはつまり...

 

「ねぇ、さっき言ってた翔を引きずり出す方法って彼奴の動きを封じることも入ってるのよね?」

 

「え?まぁ俺はそのつもりで言いましたけど...」

 

翔が完全に動けなくなる方法。彼の大事な物とかを利用すればできると思うけど...大事な物...大事な人...人質...まさか

 

「...まずいかもしれない」

 

「何がですか?」

 

「翔を動けなくする方法よ。1番効果的なのは人質、彼の大事な人を奪うことよ」

 

「それってまさか...」

 

「友希那ちゃんが危ない」

 

 

 

 

詩織side

 

 

 

 

 

そろそろね。咲夜、まずは貴方が大事にしてる物から壊してあげるから...




読了ありがとうございました

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