死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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第70話

奏斗side

 

 

一通り話を終えた俺は放課後Afterglowの皆を屋上に呼び出した。さっきの話をするためだ

 

「わざわざ悪いな。これから練習だってのに」

 

「大丈夫。それより、話って何?」

 

「皆に頼みたいことがある。湊を守ってやってほしい」

 

「...え?どういうこと?」

 

訳が分からないといった顔してんな。まぁいきなりこんなこと言われても分からんか

 

「蘭以外は知ってると思うが、午前中俺呼び出し食らってたろ?実は彗人さんに呼び出されてたんだ。今俺には殺人容疑がかけられてる」

 

『!?』

 

「何でよ!奏斗はもう...」

 

「落ち着け。俺はやってないよ。ハメられただけだ」

 

「誰にだ?他にまだいるのか?」

 

「咲夜と華蓮さんの母親だ。正直言って今までで1番手強い。多分俺たちじゃ勝てない」

 

「嘘...」

 

「あの人は作戦を立てるのが誰よりも得意だ。正面から咲夜を殺しにかかるようなことはしない。咲夜を確実に、なおかつ俺たちも動けなくする方法」

 

「まさか...湊さんを人質に?」

 

「察しがいいな蘭。湊を捕まえれば俺たちは誰も動けない。咲夜を殺すにはこの作戦が1番なわけだ」

 

「でも...私たちじゃどうにもできないよ?」

 

「湊を1人にしなければいいだけだ。流石に周りに誰かがいるとあの人も手を出しにくい。最低1人、湊のそばにいればいい。既に今井と大和、日菜には伝えた。俺はこれから花咲川に行って残りのガールズバンドの皆に伝える」

 

「...奏斗は大丈夫なんだよね?」

 

心配そうな表情でこちらを見てくる蘭。いい加減覚えてほしいものだな

 

「死なねえって言っただろ?俺は問題無い。こっちも準備を進めないと...」

 

「準備って何をするんだ?アタシたちにできることなら...」

 

「あの人に勝つ唯一の方法。咲夜の記憶を取り戻し彼奴の中に眠る殺意を呼び起こすこと。もうそれしか無い」

 

「分かった。あたしたちも何とか頑張ってみる。奏斗も頑張って」

 

「ありがとな。じゃあ皆、頼んだぞ!」

 

『うん(おう)!』

 

信じてるからなお前ら。だが、誰も死ぬんじゃねえぞ

 

全速力で花咲川まで走り、まずは紗夜と白金を呼んだ。委員会の仕事があったおかげで学校で話せた

 

「話は以上だ。何かあれば柏に頼るんだ。そして俺か華蓮さんに連絡しろ」

 

「分かったわ。他にすることはあるかしら?」

 

「翔の...咲夜の記憶を取り戻す手がかりを探して欲しい。あの人に勝つにはもうそれしか無い」

 

「やって...みます...」

 

「頼んだ。じゃあ気を付けて練習行けよ。本当は俺がついてあげたいが、他の奴にも話さなきゃならない」

 

「大丈夫よ。奏斗も気を付けて」

 

「ありがとな」

 

さて、あとはポピパか。ハロハピには瀬田に伝えてもらってるからいいかな。心配だけど。パスパレも大和に頼んであるし。緊急時用として5バンド全員の連絡先を持ってて正解だったな。市ヶ谷に頼んで学校の庭に集まってもらっている。時間が無いし此処2階だから飛び降りれるな。俺は窓から飛び降りてポピパが待つ庭に向かった

 

「あっ来た!おーい!奏むぐっ!?」

 

「香澄!その名前を言うな!りゅっ琉太!全員集めといたぞ!」

 

「助かる。戸山、使い分けできないなら偽名で呼べ。それより、今は時間が無い。実は...」

 

 

 

「という訳だ。お前たちには誰かなるべく湊の近くにいてほしい。勿論他の奴にも頼んでるからできる範囲で構わない」

 

「分かった!皆で友希那先輩を守ろう!」

 

「お前は大丈夫なのか?今の話を聞いた限り、お前たちのことも潰しにくるんじゃ」

 

「一応ナイフはたくさん持ってるからそれで対応する。俺の心配より自分の心配しとけ。じゃあ後は頼んだぞ。今日はRoseliaの皆もいればAfterglow、柏もいる。今日はいつも通り過ごせ」

 

「了解。奏斗君もうちのパン屋来てね」

 

「今度行かせてもらうよ」

 

よし、これで全員か...さっさとCiRCLEに行かないと彼奴らが心配だ

 

「急がないと...!!」

 

この気配...まさか! ヒュンッ!

 

「ッチ!」

 

反射的に身体をそらすと頬あたりに僅かな痛みが走った。触ってみれば血が流れている。よけてなければ死んでただろう。こんなことができるのは...

 

「詩織さん...貴女ですね?」

 

「久し振りね、奏斗君」

 

最悪の危険人物、月読命詩織が立っていた

 

「何時からいたんですか?俺ですら気がつけなかった」

 

「偶々よ。これから咲夜のところに行こうとしたら貴方がいたから」

 

「貴女が正面から咲夜を狙う筈が無い。やはり狙いは...」

 

「察しがいいわね。湊友希那だったっけ?あの子を借りるわよ」

 

「行かせるわけ無いでしょう。此処で貴女を足止めする」

 

「一応言っておくけど、私だけじゃないからね?こうしてる間も仲間が向かっているわ」

 

「...本当に面倒な人ですね。殺り合おうと思ってたけど、ナイフだけじゃどうにもなりませんね。ここは一旦引きますよ!」

 

俺は懐から煙幕弾を取り出し地面に叩きつけた。辺りに煙が立ち込めその隙に逃げ出した

 

(華蓮さん...すぐに来てくれ)

 

ふとスマホを取り出す。その画面には通話中の文字が。実はずっと俺と華蓮さんと柏の3人で通話状態にしていたのだ。他の2人もこの状況を理解したことだろう

 

屋根を伝い走る中何かの気配を感じナイフで弾き返す。流石に完全には逃げ切れなかったか。黒いコートを着た連中は刀を抜き襲いかかって来る

 

「お前ら...邪魔をするなぁ!」

 

 

 

 

柏side

 

 

ワイヤレスで繋いだイヤホンから会話を聞いていた私は焦っていた。あと少しで連中が此処に来る。私では守り切れるものではない

 

「花梨どうしたの?顔色悪いよ?」

 

「リサさん、琉太さんから話は聞いていますか?」

 

「うん。まさか何かあったの?」

 

「えぇ。今非常にまずい状況です。友希那さんと兄さん以外、全員私のところへ来てください。友希那さんと兄さんは部屋から絶対に出ないでください」

 

「?分かったわ」

 

「りょーかい」

 

友希那さん以外のRoseliaを集め刀を持ちラウンジに出る。隣で練習していたAfterglowも引っ張り出した。

 

「何があったのですか?」

 

「今、奏斗さんが母に襲われています。仲間が此処に向かっているそうです。直に私たちも襲われるでしょう」

 

『!?』

 

「奏斗は!奏斗は無事なの!?」

 

「電話の音を聞く限り何とか耐えながらこちらに向かっているそうです。お姉様も駆けつけています。皆さんは1度Roseliaのスタジオで待機してください。お姉様が来るまで私が何とか...」

 

 

 

ガシャアアアアン!

 

 

 

「!?チッ!皆さん早くスタジオに行って!氷川さんは指揮を頼みます!」

 

「了解です!」

 

全員を見送った後、私は目の前に立つ3人に向き合う。私より背も高く体格も良い。だけど、負ける訳にはいかない。手を汚す覚悟はずっと昔からできてる

 

「兄さん...いや、お兄様。貴方との約束は果たしてみせます」

 

全てはお兄様のため。私はこの手で奴らを殺し皆を守る!

 

 

 

 

友希那side

 

 

柏が急に皆を連れて行ったと思ったら今度はAfterglowの皆まで一緒に慌ただしく戻って来た。翔も何が起きてるのか分からないといった表情をしている

 

「お前ら何してんの?Afterglowまで増えてるけど...」

 

「翔さんと湊さんは絶対に部屋から出ないでください!何があってもです!」

 

「いきなりそんなこと言われても...状況を説明してくれないかしら?何やら大きな音もしたけれど」

 

「それは後!2人ともアタシたちから離れないでね!」

 

「「?」」

 

意味が分からない。だけど、皆の焦った表情を見る限り、ただ事では無さそうだ

 

(本当に何なのよ...状況くらい説明してくれたっていいじゃない)

 

そういえば、今日はやたらとリサが私のそばにいたわね。クラスでも大和さんがずっと話しかけて来たし、日菜もやたらと一緒にいたし、それと関係があるのかしら?

 

 

 

 

 

柏side

 

 

 

 

「ハァ...ハァ...」

 

格闘すること20分。何とか勝ち3人を殺すことに成功した。初めて人を殺したという感覚に私は混乱していた

 

 

ガシャアアアアン!

 

 

「っ!?また...!」

 

敵かと思い刀を構えるが、ガラスを破り入って来たのはお姉様だった

 

「柏!大丈夫!?」

 

「ハァ...何とか大丈夫です。全員1箇所に固めてあります」

 

「ありがとう。これを貴女がやったの?」

 

「えぇ。すみません。2人の願いを聞けなくて」

 

「それが貴女の選んだことなら文句は言わないわ。後は奏斗君だけど、既に連絡が途切れているの」

 

「そんな!」

 

「まだ決まったわけじゃない。今は待つしか...」

 

 

ガシャアアアアン!

 

 

「「!?」」

 

 

何度目か分からないガラスが割れる音。中に転がり込んで来たのは血だらけの奏斗さんだった

 

「奏斗さん!」

 

「奏斗君!しっかりして!」

 

「ハァ...ハァ...あの人...衰え知らなさすぎだろ...」

 

「逆に貴方が丸くなってるだけなのよ」

 

「「!?」」

 

全身に寒気が走るかのような冷たい声。声がした方を見ると月読命詩織が立っていた

 

「お母さん...」

 

「この前振りね華蓮。柏も随分大きくなったわね」

 

「黙れ!咲夜だけじゃなく奏斗君を、更には友希那ちゃんまで狙うなんて...此処で殺す!柏は中に入って奏斗君の手当てを!」

 

「はい!」

 

私は奏斗さんを持ち上げスタジオに連れて行く

 

「全員で彼の手当てをお願いします!私はお姉様の援護に行ってきます!」

 

「おい花梨!何がどうなって...」

 

「兄さんは部屋から絶対に出ないで!」

 

この2人は何があっても守らなければならない。咲夜としての記憶を取り戻し、あの人に勝たなければならない

 

スタジオを出ると既にお姉様は敗れその場に伏せていた

 

「お姉様!」

 

「生きてるわよ。峰打ちみたいなものだから直に目を覚ますと思うわ。昔の方が強かったんだけど...とりあえずそこどいてくれるかしら?」

 

「お断りするわ。お兄様との約束を守るために此処であんたを止める」

 

「威勢だけは認めるわ。だけど、奏斗君と華蓮が負けたのに柏が勝てるかしら?」

 

「無理でしょうね。それで友希那さんたちを守れるなら構わない」

 

「咲夜にそっくり...いいわ。かかってきなさい」

 




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