作品の都合上時間軸は蘭と奏斗が出会ったところらへんです
蘭誕生日記念 新しいいつも通り
奏斗side
「蘭の誕生日?」
「あぁ!明日は蘭の誕生日だから琉太もパーティに来て欲しいんだ」
この学校に来て1週間も経っていない。何故かAfterglowのみんなと仲良くなったが、まさかいきなりパーティに誘われるとは思っていなかった
「ほら、琉太と私たちってまだ会ったばかりじゃん?私たちもそうだけど、蘭は特に関係が薄いわけだし折角だからと思ったんだけど」
成る程...まぁ確かにこれからAfterglowの練習に付き合うとなればそれなりに仲良くなる必要はある。ずっと咲夜の心配ばかりしてたけど、俺だって折角道ができたんだ。無駄にはしたくない
「...分かった。俺もお邪魔させてもらうよ」
「よっしゃ!これで役者は揃ったな!」
「それじゃあ〜
「じゃあ今から行くか。今日はバイトも入ってないし」
「蘭にはまだ琉太君が来るってことは内緒にしてあるからなるべくバレないようにね」
「了解」
さて、何あげればいいかな?女性へのプレゼントなんて柏と華蓮さんにしかあげたことないから何あげればいいか分からないんだよね
「なぁ、蘭の好みとかって分かるか?女性へのプレゼントってあんま分からないんだが」
「そうだな...無難にポーチとか日常で使えるやつを基本渡してるけど」
「成る程。じゃあ俺もそうするかな」
それぞれ誕生日パーティは毎年やってるらしいので、蘭もみんながプレゼントを買いに行ってるのはなんとなく分かってるとのこと。あとは俺がバレないよう一緒に行き、明日サプライズ的な感じで会場に現れればいい、らしい
「それじゃあ今からそれぞれ蘭の誕生日プレゼント買いに行こー!集合は何処にする?」
「今の場所でいいだろ。変に変えて分からなくなるのも面倒だし」
「そうだね。じゃあ1時間後に此処集合でいいかな?」
「おっけ〜」
「決まりだな!じゃあ早速行くぞ!」
「おっおい、せめて誰か1人だけでも...行っちゃった」
俺分からないって言ったやん...仕方ない、喜んでもらえるか分からんが無難にアクセサリーでも見てこようかな
♪ ♯ ♭ ♪ ♯ ♭
「ん〜どれにしよう...」
はい、案の定迷いました。正直蘭の好みとか全く知らないし、なんなら色だって知らない。イメージとしては赤とかそういう系だけど...どうしたらいいんだか
約束の時間まであと10分。早く選ばないとみんなを待たせてしまう
「どれもなんだかいい感じがするからな...ん?これは...」
ふと目に入ったのは赤い蘭の花の形をしたネックレスだった。何故かそれは他のやつよりも輝いて見えた。俺はそのネックレスを即買い集合場所へ急いで戻った
「悪りぃ、選ぶのに時間かかっちまって。みんなは選び終わったか?」
「うん、しっかり選んできたよ!琉太は何を選んだの?」
「それは明日になってからのお楽しみだ。その方が面白いだろ?」
「そうだな。じゃあ帰るか!そろそろ帰らないとあこにも心配かけちゃうし」
「私もお店の片付け手伝わないと...」
「あたしは山吹ベーカリー寄ってくね〜」
みんなそれぞれあるみたいだな。俺も帰ろうと思ったが、少しやることを思いついたので
「俺はもうちょっと買いたいものあるから、みんなは先に帰っててくれ」
「ん?まだ何か買うのか?」
「あぁ。それじゃあな、気をつけて帰れよ」
「琉太も気をつけてね!明日の詳細はあとでメールで送るから!」
「了解」
みんなと別れ向かったのは花屋だった
「えっと...確かあの花が...おっあったあった!」
昔別荘の近くの花畑を見たときに花に興味を持ち、色々な花の花言葉を調べたことがあった。そのおかげで大体の花の花言葉は頭に入っている
「この花だったな。ぴったりな花言葉があるのは」
お目当ての花を見つけた俺は店員に頼みその場で花束にしてもらった
「よし、これで準備はできたな。これ大事に保管しないと...」
綺麗な状態で渡さないと蘭に失礼だからな。家に着くと同時にひまりからメールが届いた
『明日は夜の8時から羽沢珈琲店でやるよ!蘭を驚かせたいから、琉太はつぐみの家に隠れて少し遅れて登場してね。タイミングはまた明日に伝えるから!だから明日は7時半くらいに来てね!』
「こういうところはしっかりしてるんだな...普段の様子を見てると全く想像がつかん」
初めてひまりがリーダーと聞いたときはマジで驚いた。こんな奴がリーダーでこのバンド大丈夫か?と思ったくらいだ。でも、今はなんとなく理解できたかもしれない
さて、明日が楽しみだな
♪ ♯ ♭ ♪ ♯ ♭
次の日、4月10日。家で早めに晩御飯を済ませ、約束通り7時半に羽沢珈琲店へ向かった。他のメンバーは既に集合していて、中の飾り付けをやっていた
「こんばんは、みんなご苦労様。俺もなんか手伝おうか?」
「あっじゃあ天井の飾り付けやってくれない?巴ちゃん1人だと少し大変で」
「分かった。つぐみ、悪いがこの机使わせてもらうぞ」
「店のやつは自由に使っていいから、お願いね!」
許可をもらってから机の上に立つ。流石に人の家の、しかも店として使う机の上に勝手に立つのは気が引けるのでしっかり聞かなければ
「巴、何を飾ればいい?」
「じゃあこの紐を持ってそっちに行ってくれ。一定間隔で天井に付けてくれるか?それメッセージ書いてある紙ついてるから慎重にな」
「了解」
よく見るとその紐には三角の紙に1枚1文字ずつで『誕生日おめでとう!』と書いてあった。言われた通りに飾り付け、残ったやつも全て付け終わった頃には既にパーティ開始15分前になっていた
「ふぅ〜終わった!」
「サンキューな琉太。いつもアタシ1人でやってたからさ、毎回終わるのがギリギリだったんだ。凄え助かったよ」
「役に立てたのならそれでいい。俺は裏で待機してるから、時間になったら出るよ」
「オッケー!あとはアタシたちに任せろ!」
この後の予定としては8時に蘭が此処に来る。そしてAfterglowのみんながそれぞれプレゼントを渡し終えたところで俺が登場。用意しておいた花とネックレスを渡してケーキを食べる。ざっとこんな流れだ
「そんじゃ、また後で」
「あぁ!派手に決めてくれよ!」
派手に決めろと言われてもな...まぁ言われたからにはやるしかないな
蘭side
今日はあたしの誕生日。毎年つぐみの家でパーティを開いてくれてて、今年もいつも通りやることになった。指定された時間につぐみの家に行き、扉を開けると
パァン!
何かが弾けるような音がした
『誕生日おめでとう!』
「あっありがとう...///」
何度やっても慣れない。こういうのは恥ずかしいし、今のクラッカーの音も毎年来ると分かってても驚いてしまう
「おめでとう蘭!ささっこっちこっち!」
ひまりに促され店の隅の方の席にみんなで座る
「改めて、誕生日おめでとう蘭!早速みんなからプレゼントだ!」
「あたしはこれね〜」
「はい!これ私の!」
「おめでとう蘭ちゃん!」
「みんな...ありがとう」
「さて、いつも通り今からケーキ食べようっといきたいところだが、今日はもう1人来てるんだ」
「え?」
みんな以外にあたしの誕生日を祝ってくれる人なんて思いつかない。自分で言うのもなんだけど、あたしは友達が少ない。最近知り合った琉太と翔も、まだ友達と言えるのか分からない。いよいよ誰なのか分からなくなってきた
「その様子だと誰が来てるのか分からないみたいだな。おーい!もういいぞー!」
巴の声で店の裏からある人物がやって来た。その人物はあたしを驚かせるには十分な人だった
「琉太...」
「誕生日おめでとう、蘭」
最近知り合った、Afterglowの面倒を見てくれることになった琉太だった
「え?なんで琉太が此処に...?」
「みんなに誘われてな。俺たち最近知り合ったばかりだし、この機会に仲良くなろうってことで」
「そうなんだ...」
大方、誘ったのはひまりか巴だろう。そうとしか考えられない
「ほら、これが俺からの誕生日プレゼントだ。気に入ってもらえるかは知らないが」
琉太に渡されたのは蘭の花の形をしたネックレスだった
「...!ありがとう!」
「喜んでもらえたならよかったよ。あとこれ、もう1つ渡すもんあった」
続いてカモミールの花束をもらった
「蘭はあの有名な美竹の家と聞いたからな。カモミールの花言葉なら知ってるだろ」
勿論知っている。この花の花言葉は『これからもよろしく』だ。あたしは去年までのパーティとは比べ物にならないくらい嬉しかった
「本当にありがとう、琉太」
「さて、プレゼントも渡し終わったし、ケーキ食べようぜ」
「もう私我慢できない〜!」
「こらひまり、蘭が先だぞ!」
「ひ〜ちゃん太るよ〜」
「モカ!それは言わないで!」
「あはは...」
はしゃぐみんなを見てると、
「これからよろしく、琉太」
「こちらこそ、よろしくな蘭」
このときあたしはこの先に気づくであろうある想いが芽生えたことを全くしらなかった
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