友希那と咲夜は既に付き合っている設定でいかせていただきます
咲夜side
「というわけで明日俺の家でパーティーをやりたいので協力していただきたい」
「説明速すぎて分かんないから最初から説明してくれない?」
今日は10月25日。友希那の誕生日前日だ。1週間前から練っていた計画だが、遂行するには今井らRoseliaの協力が必要なので昼休みを使って今井のところに押しかけた。友希那に勘付かれないよう大和に足止めしてもらってる
「明日午後から夕方まで練習あるだろ?その後俺の家でサプライズみたいな感じで友希那の誕生日を祝いたいなと思って」
「それ自体は賛成だけどさー。翔の家知ってるんだしサプライズは無理があるんじゃないかな?気づかれちゃうよ?」
「練習終わりに今井のクッキーに少量の睡眠薬を混ぜて眠らせようかと...痛い痛い!無言で抓るな!最後まで話を聞け!」
突然キレだした今井をなんとか宥め説明を再開する。腕の皮膚めっちゃ痛え...
「使うのはほんのちょっとだ。練習後で疲れてる状態なら少しだけでも多分効果は出る。安全には最大限考慮してある」
「いきなり何を言い出すかと思えば...アタシクッキーに睡眠薬なんて入れれないよ?それに紗夜が何て言うか...」
「氷川は押せば何とかなるし最悪ポテトで釣れるからいい。睡眠薬なら柏に手伝ってもらえばすぐにできるぞ。明日の午前中に友希那以外の全員でパーティーの準備をする」
我ながら完璧な計画だと思うんだがな。やり方は手荒かもしれんが、サプライズとしては最高の形だ。起きたらいきなり祝われるってよくない?
「紗夜たちの許可が得られたらいいよ。今日も練習あるからその時に聞いてみる。ダメでも別の方法ならアタシは協力するよ」
「サンキュー。今日まりなさんいなくて休憩あまり取れそうにないから柏を指導に就けておく。柏にも計画は話してあるから2人で頼む」
「分かった。それじゃお昼食べよっか。友希那は?」
「大和や氷川妹と屋上で食べてると思うから俺たちも屋上に行こうか。此処は居心地があまりよくない」
「あ〜...翔と友希那の関係知られてないもんね。お陰で毎日のように翔見て騒いでる女子に対してキレそうになる友希那を宥めるのに苦労してるんだよ」
「俺は別に知られてもいいんだがな...まぁそういうことだ。今日は頼んだ」
今更なんだけど、此奴本名と偽名の使い分け上手くない?俺たちでさえ慣れるのに相当時間かかったのに
「オッケー。それと、よく他の女子に翔に告白したいから手伝ってって言われるけど、面倒だからできれば公表してくれるとありがたいかな」
「何故俺の暇な日に限って来るんだと思ったらお前のせいか!んなもん友希那に言えや!彼奴が公表したくないって言ったんだからな!」
コイツ何てことしやがる。こちとら貴重な昼寝の時間は削られるわ、毎度友希那に説教受けるわで大変だというのに全ての元凶がまさか此処にいるなんて
「んじゃ、久し振りに本気出すとしますかね」
とりあえずバカ親父たちを殺した時並みの本気は出そうか
因みに氷川の説得には1時間かかった
友希那side
今日の練習は咲夜が休憩に入ることが難しく彼は来れない。代わりに柏が私たちの指導をしてくれている。やはり彼女の実力は異次元クラスで、半年指導を受けた今でも私では歯が立たない
「まぁこんな感じでしょうか。少し休憩にしましょう。あこ、課題やるから準備して」
「う...ホントにやるの?」
「手伝ってあげるだけマシだと思いなよ。それとも一学期の二の舞になりたい?」
「そ、それだけは...」
「なら早く準備しろ」
「はいぃ!」
どうやら、あこはこれなら課題をやるらしい。近々テストがあるからそのためでしょうね。相変わらず柏の威圧は背筋が凍る
「アタシも課題まだ少しだけ残ってるからやろうかな。紗夜、分からないところあるから教えてくれない?」
「構わないわよ。私のできる範囲なら協力するわ」
「友希那もやりなよ。まだ少しだけ残ってたでしょ?」
何故リサは私の課題の進行状況を知っているのかしら?クラスも違うのに知られているのは流石に怖い
「私はいいわ。それよりリサのクッキーを...」
「この前テストで一定点数以上取らないと咲夜からデート禁止って言われてたでしょ?紗夜と燐子もいるんだし、今のうちに教えてもらっときなよ。あと、クッキーは今回は特別だから最後ね」
「...分かったわ」
渋々了承し、念の為持っていた課題を取り出す。紗夜はリサに就いているので燐子に教えてもらうことにした。時々悲鳴のような声が聞こえるが気にしないでおこう
30分程勉強し、課題も終わったので練習を再開することにした。最後のアドバイスを貰ったところで終了時間になったため、皆で片付けを始めた
「友希那、これ新作のクッキーだよ。味付け変えてみたんだけど食べてみて?」
「ありがとう、いただくわ。...あんまり変わってないような...あれ?」
何だろう。急に眠気が...意識が朦朧としてきた
「リ...サ...何を」
「ゴメンね?少しだけ眠っててもらうよ〜」
必死の抵抗も虚しく、私の意識は飛んでいった
咲夜side
シフトの終わりの時間が近づいてきたため片付けをしていると、スタジオの方からRoseliaと柏が出てきた。友希那は眠り、柏に抱えられている
「上手くいったみたいだな。あと数分で片付け終わるから待っててくれ」
「私も手伝う。起きられて間に合わなかったら困るから」
「助かる」
友希那を起こさないよう細心の注意を払いつつ飾り付けを行う
「これをこうして...完成だ」
「いいじゃん!これなら友希那も喜ぶよ!」
今井は大絶賛。他の奴も拍手してる辺り異論はなさそうだな
「じゃあ電気を消して待機だ。これ、インカムと暗視スコープ渡しとくから。タイミングの指示はあこに任せる」
「はーい!」
さぁ、どんな反応をするのか。楽しませてもらおうか。友希那
友希那side
目が覚めると、そこは真っ暗な世界だった。裸足になっているため室内であることは間違いない。前に攫われた時の記憶を思い出し不安になる
「確かリサの新作とか言うクッキーを食べて...急に眠気が襲ってきて...」
そこからの記憶がまるでない。一瞬で時間が飛んだかのようなそんな感覚だ。その時、後ろで大きな物音がした
「っ!?誰!何をしているの!?」
返事は無い。恐怖で泣きそうになってしまった、その時。急に光が射し大きな音が聞こえた
「「「「「誕生日おめでとう(ございます)!!!」」」」」
「...へ?」
現れたのはテロリストなどではなく、Roseliaのメンバー、そして恋人の咲夜だった。周りを見てみると飾り付けが沢山されている
「どういう...こと?これは一体...」
「見ての通り友希那の誕生日パーティーだ。サプライズ大成功だなってうおっ!?」
さっきまでのは恐怖が残っていた私は思わず咲夜に抱きつきそのまま泣いてしまった
「...グスッ...怖かったじゃない...あの時みたいで...」
「あー!咲夜が友希那泣かせたー!ひっどー!」
「俺か!?いやそうなんだけど...協力したお前たちにも多少の責任はある筈だ!皆同罪だ!」
「随分とヤケクソになってますね...咲夜さん」
「うっせえ!」
暫く咲夜の胸で泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻した私は改めて皆からのお祝いを受けた。リサからはヘアアクセ、あこからは指輪、紗夜からはマフラーなどと、沢山用意してくれた。咲夜は後で渡すらしい
「さて!今日の晩飯は俺と柏が本気で作ったものばかりだ!全員遠慮無く食え!」
「「「「「いただきます!」」」」」
それからは料理を食べたりカラオケ大会をしたり、ゲームをしたりとはしゃぎまくった。去年も祝ってくれたが、今年の方が断然楽しかった。咲夜が祝ってくれたからだろう
時間を忘れ楽しみ、気付けば夜の10時になっていた。あこは疲れて眠ってしまい、他の皆も疲れている。無論、私も疲れている
「そろそろ解散するか。片付けはいいから、皆家まで送って行くぞ。あこと白金は柏が送ってくれ」
「分かった。ほら、起きてあこ。帰るよ」
「咲夜、今日は泊まってもいいかしら?」
「いいけど...親は許すのか?」
「問題無いと思うわ。着替えを取りに帰るけれど...夜遅くなるのはリサが言っているのでしょう?」
「言ってあるよ。一応泊まり道具も用意しておいてって言ったけど」
私の行動読まれすぎじゃないかしら...幼馴染と言うのは侮れない
「それじゃあ行くか。友希那にはプレゼントも渡したいしな」
咲夜からのプレゼント。それだけで胸が高鳴り顔が赤くなってしまう。楽しみでしょうがない
一度家に帰り用意されていた着替えを持ち咲夜の家に戻った。本当に用意されていた時は驚いたが。まだ柏は戻って来ておらず、2人きりとなっている
「咲夜、その...プレゼントって...」
「あぁ。正直被ったからどうしようかと悩んだが...仕方ないか。意味合いも違うし」
そう言って彼はポケットから小さな箱を取り出した。この大きさ、そして形。見覚えがある。これは...
「誕生日おめでとう。そして、今まで本当にありがとう。友希那がいたから俺はこうして幸せな人生を送れている。だから今度は俺が友希那を幸せにする番だ」
「美しき青薔薇の歌姫様。月の死神と永遠にこれからを、頂点のその先も共に生きてくれ。何があろうとも、俺は貴女を支えそばにいることを誓おう」
彼は私の前に跪き、箱の中から指輪を取り出した。俗に言うプロポーズ。永遠の愛を誓う瞬間だ。答えは決まっている
「...はい。喜んで!」
私、湊友希那は月読命咲夜と永遠に共に生きていくことを誓います
友希那さん誕生日おめでとうございます!
2人がどのように結ばれたのか、本編をお楽しみに!