死神と歌姫たちの物語   作:終焉の暁月

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こんばんは黒い死神です

それでは早速本編どうぞ!


第9話

友希那side

 

私はいつも通りバンドの練習をするためにリサと共にCIRCLEに来た

 

「今日は暖かいねぇ。練習やりやすそう」

 

「そうね。なら今日はいつもよりもハードでやるわよ?」

 

「オッケー!」

 

確かに今日はとても暖かい。あまりの暖かさに眠くなってくるがそんな時間はない。私はCIRCLEのドアを潜るとそこには思いもよらない人物がいた

 

「第二スタジオ予約のRoseliaですけ...ど...」

 

「あっ友希那さん。こんにちは」

 

なんと翔がカウンターで接客をしていたのだ

 

「...貴方何でいるの?」

 

「生活のピンチを迎えたのでバイトです」

 

そんなにお金無いのかしら...

 

「そっそう...」

 

「友希那〜どうしたの?って翔じゃん!」

 

「どっどうも今...リサさん」

 

彼はあからさまに嫌な顔をしている。余程リサが苦手なのだろうか

 

「む〜そんな嫌そうな顔しなくていいじゃん!」

 

「あー!この前の人だ!」

 

「あこちゃん...走ったら...危ないよ」

 

「貴方神道さんじゃないですか。こんな所でどうしたんですか?」

 

「バイトです。生活のピンチなんで」

 

「皆には言ってなかったわね。これから翔がたまに私たちの練習見てくれることになったから」

 

「えっ!?そうなんですか!?」

 

「友希那?初耳なんだけど?」

 

「言ってないもの」

 

ずっと言おうとしていたのだが忘れていた

 

「以前は断ったのに引き受けてくださるんですか?」

 

「少し興味がありましてね。敬語じゃなくていいですよ。年下ですし」

 

「えぇ、分かったわ」

 

「それにしてもここで練習してるんですね」

 

「学校や家から近いのよ。お金もあまりかからな...」

 

私は背後からの寒気に思わず言葉が止まる。翔の妹の花梨が恐ろしいほどの殺気を放っていたのだ

 

「かっ花梨?殺気抑えないか?」

 

翔もそれを感じたのか彼女を止めに入る

 

「殺気?何ですかそれ、美味しいんですか?」

 

本人はすっとぼけている。絶対確信犯だ

 

「えっと...ひとまず落ち着こうな?」

 

「私はいつでも落ち着いてますよ?Roseliaの皆さんは早く練習しなくていいんですか?」

 

「じゃっじゃあ私たちはこれで...」

 

「またね!」

 

これ以上ここにいると危険な気がするので私たちは急ぎ足でスタジオに向かった

 

「ぷは〜っ!花梨ちゃん怖!死ぬかと思ったよー!」

 

あこはずっと息を止めてたのか呼吸が乱れている

 

「本当だよ...あの子怒らせたらやばいやつだよ」

 

「さっきの彼女からは途轍もない殺気を感じましたね」

 

「怖かった...です...」

 

私も怖く無かったといえば全くの嘘になる。もしかしたら人生で1番恐怖を感じたかもしれない

 

「そういえばあこ、あの子のこと花梨ちゃんって呼んでたけどもうそんなに仲良いの?」

 

「花梨ちゃんあこと同じクラスなんだよ!」

 

「へえ〜」

 

あんな子がクラスにいたら恐怖で学校行ける気がしない

 

「さっ無駄話はそこまでにして練習するわよ」

 

「「「「はい!」」」」

 

各自それぞれ楽器のセットやチューニングを終わらせ一曲目をやろうとしたとき

 

「失礼します」

 

何と花梨がスタジオに入ってきたのだ

 

「なっ何かしら?」

 

思わず声が裏返りそうになる

 

「ふふふ。そんなに怯えなくて大丈夫ですよ、それに殺気なんて出してませんから」

 

...絶対嘘だ

 

「えっと...それで、用件は?」

 

「いえ、少し練習を拝見しようかなと思いまして」

 

「そう、貴女がいてくれると助かるわ」

 

「湊さん、いいんですか?」

 

「えぇ、彼女は私たち以上の実力を持っている。そんな彼女に見てもらえるのは光栄だわ」

 

「では、『BLACK SHOUT』やっていただけませんか?」

 

「いいけど、何故?」

 

「好きなんですよ。あの曲」

 

「そう...ありがとう。なら皆、準備はいい?」

 

「全員いいよ!」

 

「分かったわ。聴いてください、『BLACK SHOUT』」

 

〜♪〜

 

「ふぅ。どうだったかしら?」

 

「やはり相当な実力を持っていますね。これならフェスの予選は突破できるでしょう」

 

「貴女には及ばないわ」

 

「まずは紗夜さん。2番のサビの後の間奏で少しずれてたんでそこを直せば大丈夫です」

 

「分かりました」

 

「次に今井さん。貴女は他の人と比べて全体的に劣っています。私はベースが1番得意なのであとで個人的に教えます」

 

「うっ...よろしくお願いします」

 

「あこは後半につれて走り気味になってるからテンポ良くいけるように。ドラムは曲の土台だから」

 

「う〜ん、やっぱり速くなっちゃうんだよな」

 

「次に白金さん。貴女はもっと自信を持って堂々と演奏したらいいと思います。すみません、キーボードは1番苦手なので大したことは言えません」

 

「やって...みます」

 

「最後に友希那さん。抑揚が足りない気がするので少しサビ以外の大きさを気持ち下げてください。そうすればもっと盛り上がります」

 

やはり彼女は化け物並みの実力を持っている

 

「分かったわ。ありがとう」

 

「そして全体的に足りないものがあります。これに気づかない限り...恐らくこれ以上は厳しいです」

 

「やっぱり。翔にも言われたわね...」

 

「友希那さん、1ついいですか?」

 

「何かしら?」

 

「私にこれを歌わせていただけませんか?」

 

「...分かったわ。皆もいい?」

 

私が聞くと全員が頷いた

 

「では始めましょうか。大丈夫、わたしを()()()()()()()。私も貴女方を()()()()

 

そしてあこのカウントと共に曲が始まった

 

〜♪〜

 

...凄い。私とは全然違う。皆とは初めてなのに完全に溶け込んでいる。完全に一心同体だ

 

「ふぅ。まぁこんなものでしょうか。ごめんなさい、途中音外してしまいました」

 

「「「「「!?」」」」」

 

そんな、いつ音を外したというの?私ですら全く気づけなかった

 

「私と友希那さん、何が違ったと思いますか?」

 

「何故でしょう...花梨さんとは初めてのはずなのにまるで1つに繋がったような」

 

紗夜の言う通りだ。今この5人は1つに繋がっていた。歪むことのない綺麗な輪ができていた

 

「その様子だと気づけていないようですね。ヒントは与えました、後は各自考えてください」

 

悔しい。彼女と私にここまでの差があるなんて...

 

「ヒント?一体どこで?」

 

「それを言ったら分かっちゃうじゃないですか。よく思い返せば分かりますよ」

 

「...もしかして」

 

リサが何かに気づいたみたいだ

 

「今井さんは分かったみたいですね。というより貴女のことだ、薄々気づいていたんじゃないですか?」

 

「...うん」

 

「リサ、どういうこと!?」

 

「友希那さんも急かさないでください。それにこれは全員が気づかなければいけないこと、彼女を責めないでください」

 

「今井さん、Roseliaを導いてあげてください。その陽だまりでRoseliaを照らしてあげてください」

 

「うん!分かった!」

 

「では、やるつもりだった曲合わせてください。その後個人で見ます」

 

「分かったわ。それじゃあ準備して」

 

私は皆に声をかけ準備を始める。そして1つ目標ができた

 

 

 

 

神道花梨に...勝ってみせる!

 

リサside

 

予定していた曲を合わせてやった後、私は花梨ちゃんの個人レッスンを受けていた。教え方が上手くて分かりやすい

 

「だいぶ良くなりましたね。他の人に追いつくのも時間の問題でしょう」

 

「花梨ちゃんの教え方がいいからだよ」

 

「それにしても呑み込みが速いですね。私よりも速いと思いますよ?」

 

「それは〜ないと思うな」

 

「あと、ベースの弦が切れかかっていたので昔私が使っていたのを試してみますか?」

 

「うん、そうしてみるよ」

 

「では、明日の放課後羽丘の校門で待ち合わせでいいですか?」

 

「それでいいよ!花梨ちゃんは中等部だっけ?あこと同じクラスなんでしょ?」

 

「えぇ、知ってる人がいて助かりましたよ。それと、私のことは呼び捨てで構いませんよ」

 

「分かった!これからよろしくね花梨」

 

「それにしても、Roseliaは実力はあるのに本当に勿体無いです」

 

「そのことなんだけど、花梨はいつ気づいたの?」

 

「初めて聴いたときに分かりましたよ。音に込められた想いがバラバラですもの」

 

「ウソ!?」

 

1回聴いただけで分かるなんて...この子凄すぎ

 

「私よりもお兄様の方が凄いですよ。昔はよくお兄様に教えてもらったものです」

 

「翔って何でもできる感じだよね」

 

「実際何でもできますけどね」

 

「マジですか...」

 

「では私は他の方を見て来ますね。その調子で頑張ってください」

 

「うん!ありがとう!」

 

さてと、皆に追いつくため頑張りますか!

 

友希那side

 

私は花梨のアドバイスを元に練習をしていた

 

「まだまだ、こんなんじゃ彼女には...」

 

「友希那さん」

 

後ろから花梨に声をかけられる

 

「練習するのもいいですが、やり過ぎは良くありませんよ?」

 

「貴女は普段どのくらい練習していたの?」

 

「まだバンドを組み始めた頃、私は他のメンバーよりも下手で練習しまくってましたね。丁度今の友希那さんくらいに」

 

「意外ね。貴女ならその辺はしっかりしてると思っていたけど」

 

「お兄様やお姉様、琉太さんもスペック高すぎるんですよ。そして段々焦り始めて...寝ることも忘れて練習してました」

 

「私よりも酷いじゃない...」

 

「その頃私は小学生だったので12時には寝てましたよ?どうせ友希那さんは2時とか3時くらいまで起きてるんでしょう?」

 

この子...結構痛いところついてくるわね

 

「そしてある時、学校で倒れて救急車で病院に運ばれました」

 

「そんな...」

 

「病室で見舞いに来たお姉様や琉太さんに結構怒られましたよ。でも意外だったのはお兄様でした」

 

「翔がどうしたの?」

 

「その頃からあまり感情を表に出すことは無かったんですがその時はブチ切れて胸ぐら掴まれて壁に叩けつけられたんですよ」

 

案外翔も怒らせてはいけないのかもしれない

 

「そして散々怒られて流石の私でも大泣きで必死に謝りました。そんな私をお兄様は優しく抱きしめてこう言ったんです」

 

『お前だけは失いたくないんだ。だから...無理をするな』

 

あの子も結構カッコつけるのかしら

 

「何かその言葉で安心したのかずっと泣きっぱなしで...見舞いに来たのが夕方の4時くらいだったんですが気づけば8時くらいになってました」

 

「その後は?」

 

「1週間後無事退院してそれからは練習もしっかり考えて休憩を取るようになりました」

 

「...何だか私が考えてないように聞こえるんだけど」

 

「だってその通りじゃないですか」

 

彼女の言葉が異様に刺さる

 

「中学生にここまで言われると流石に頭にくるわよ?」

 

「とにかく、あまり無理はしないことです。お兄様は誰よりも怒らせてはいけないことが分かりましたか?」

 

「神道家全員怖いことは分かったわ」

 

「...ケンカ売ってるなら買いますけど?」

 

「ごめんなさい...」

 

「さて、今井さんも随分と上達してるので貴女も頑張ってくださいね」

 

「えぇ、ありがとう」

 

やはり彼女に勝つのは難しそうだ。だがここで諦めたらフェスで優勝するなんて無理だ。私は改めて彼女に勝とうと決意した

 




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