雪の降り積もるどこかの村。
その中心で…
「クリスマスだぁーっ!!」
「おぉーっ!!」
ソージとシャロは、騒いでいた!
クエストの途中でどこかの村にぶっ飛ばされてしまったソージとシャロは、行き着いた先がクリスマスイベントの真っ最中だったので、もうなんでもいいやと楽しむことにしたのである。
無論、この世界にクリスマスなどない。
が、この世界に無くたって、この村にはあるのだ!
【クリスマシア】と言われる、
この村では、毎年決まった日に神様に祈りを捧げる儀式があり、それをすると素行の良い者は【雪神様】が幸運を授けてくれるというイベントがある。
たまたま、ソージとシャロが飛ばされた日がそのクリスマシアの日。
「クエスト失敗ではあるけれど…。よかったね、ソージ」
「あぁ。俺の故郷にしかないと思ってた」
村の中心の木に飾りをつけ、それを囲んで飲めや歌えや大騒ぎ。
とっくに村の人に受け入れてもらえている二人は、素直に飲み、食べ、ソージは故郷の食の1つ、【餅】の作り方を教え、シャロは花火職人と一緒に特殊な花火を作った。
「なあ、シャロ」
「どうしたの、ソージ?」
「俺、楽しいよ」
普段の口調ではないソージの喋りに、これが素なのだろうとシャロは微笑む。
「良かったね、ソージ」
一歩踏み出したシャロは手を伸ばし、ソージの腕の中へ飛び込む。
当たり前のように受け止め、そして強く抱き締めたソージは、そのひょこりと突き出た頭を撫でる。
わーきゃーと村の女性陣が顔を赤くして声を上げるなか、シャロはもごもごとソージに訴える。
「寒い。もっと、強くして?」
「…まったく」
訴えを受けたソージは袋からマントを取りだし、シャロと一緒にくるまる。
もはや二人にはお互いしか見えていない。
二人は共にこうして過ごせる事を雪神様に強く感謝し、そして願った。
『『この幸せが、いつまでも続きますように』』
ふわふわと幸せオーラが二人から流れ、男性陣は胸を押さえ、女性陣は口元に手をあてて目を閉じた。
いきなりやって来たハンター二人に主役を奪われたことよりも、二人の幸せオーラをもっと見ていたいという気持ちが勝っているのだ。
「シャロ」
「ソージ」
「「いつまでも、離さない」」
同じ言葉を聴き、シャロは幸せそうにソージの胸に顔をうずめる。
同じ言葉を聴き、ソージは幸せそうに抱き締めた手にもっと力を込めた。
空を見上げた二人を歓迎するように、この騒動を知らない花火職人が奇跡的なタイミングで花火を打ち上げた。
ひゅるる、と空に舞い上がり、パアン、と大きな音を轟かせる花火。
シャロセレクトの花火玉は、この夜空に合った白く美しい華を咲かせた。
「シャロ」
「ソージ」
再び名前を呼び会う二人。
「来年も、また祝えるかな?」
「またモンスターにぶっとばされるのは勘弁だけどな」
「それなら、私たちだけで祝えばいい。誰も邪魔しない」
「名案だ」
何がどうして、この二人は巡り逢ってしまったのか。
それは、神すらも侵すことのできない、神すらも知ることのできない、不可侵領域の1つだった─────
「ソージ」
「シャロ」
「「一緒にいてくれて、ありがとう」」