奏治は、否、ソージは、採取用のナイフと片手剣で地面を突き刺し、横穴の中を移動していた。
ほふく前進ではスタミナもすぐに切れ、移動速度も遅いからだ。
片手剣の切れ味がどんどん下がっていくが、もともとそこまでの品じゃ無かった物と割りきり、この移動方法にしたのだ。
そして移動をし続け、洞窟の先でソージが見たものとは…
「広いな…てことは、ここがエリア3か」
古代林のエリア6よりも広い、大きなエリアにたどりついた。
地面はある程度乾燥しており、ザクザクと音が鳴る。
草木は枯れ、一目でここに食べ物が無いことがわかる。
「枯れた土地ってか?どうでもいいが」
ソージは地図を取りだし、バッテンの印がついている場所まで移動する。
でこぼこも少なく、モンスターも出てこないのですぐについたが、逆にそれがソージの首を傾けさせる。
エリア1ですらリオレウスとリオレイアがいたのだ、もっと魑魅魍魎(ちみもうりょう)がひしめいていると思っていたのだが…
「見つけた、バッテンの場所。あ?もう掘り返されてんじゃねえか」
目印であっただろう旗は横倒しになり、そこは深く掘り返されていた。
いや、抉りとられていた、と表現したほうが正しいくらいの有り様だった。
「ちっ、ハズレかよ。ここがアテだったんだけどなぁ」
そう言ってソージが地図を放り投げ、後ろを振り向いた瞬間…
───ドスン
土煙を上げ、ソージの目の前に何かが着陸した。白い鱗、突き出た黒いツノ、六本ある手…
「かぁーっ。シャガルの巣だったか」
『カアアアアアアっ』
シャガルマガラ。
その絶大な力で数々のハンターを返り討ちにしてきた、ただの大型モンスターとは違う、【古竜】の一匹。
「ちっ…この世界に来てロクな事起きてないけど、いいさ。やってやる」
盾のない片手剣を構え、シャガルマガラを睨み付けるソージ。
対するシャガルマガラは、ソージに対して目を細めると…
『えっ「今この世界に来て」って言ったかい?え、もしかして、君も転生者かい?』
おちゃらけた口調で話しかけた。
「…は?」
思わずそう返してしまったソージは悪くあるまい。
と、サッと正気に戻り、目の前の古竜に問いただす。
「…今、なんて?」
『君も、転生者かい?と言ったんだ』
「…は?」
思わずそう返してしまったソージは悪くあるまい。
「お、おい、もしかして、お前、人語が理解できるのか?」
『そうさ。てか君、転生者じゃないの?ただの厨二病だったりする?』
「違うわバカタレ。そうだよ、俺は異世界からやって来た。『君も』ってこたぁ、お前もか?」
『そうだよ!あぁよかった、同郷の人間がいて!おじさん、寂しくてそろそろ朽ちようかと思ってたんだ』
どうやらこの古竜、それなりに年はとっている様だった。