「さてと。他のギミックを確認しないとな」
そう言って、ソージは説明書を見る。
「えーと…ズーム機能、体感速度遅延機能、身体能力上昇、ポイントメイカー…狩技追加?」
そこには、義眼にしてはハイスペックすぎる機能が盛り込まれていた。
まずは一個ずつ性能を試そうと決めたソージは、ズーム機能を使う。
どう使うのかだが、脳から送られた伝達を感知し、その機能を自動で使ってくれるそうだ。
詠唱や、強く念じるなど、面倒くさいことにならなくてソージは安心する。
「えっと、ズームズーム…おぉ」
的にしていたシャガルマガラの鱗がズームされ、細かい色彩情報がソージの脳に送られてきた。
満足したソージは、次に体感速度遅延を試す。
これに関してはオンオフを切り替える際に一度目を閉じる必用があるとの事なので、ソージは目を閉じ、ゆっくりとその【眼】を開く。
「────ッ!?」
眼を開いたソージが目にしたものは、ひたすらに蒼い世界。
右の目から送られる情報までもが蒼い世界に変わっており、感覚で言うならば両目を青いセロファンで覆ったときの様だった。
手を振ろうとするソージだが、体がいつも通りに動かない。
体感速度が遅延されているため、脳はいつも通りに思えても体は元の時間に置き去りなのだ。
「次は身体能力上昇か」
その瞬間、ソージは精神も体も時間を置き去りにできるようになった。
周りがゆっくりと動き、ソージだけ並の速度。
周りから見れば、ソージは二倍速でもしたかのようなスピードだ。
ソージは、使いすぎるとオーバーヒートすると説明書に書かれていたのを思いだし、二つの能力の行使を止める。
「お次はポイントメイカーだが…っと」
視界に機械的な円が現れる。
それは視界の中を動き回り、やがて視界の端のシャガルマガラをとらえると固定された。
ソージがしっかりとシャガルマガラに向き合うと、視界の円は増え、手や足、角など、様々な部分に固定された。
「…?あぁなるほど、弱点とか敵の察知とか…要するに便利ってだけの機能だな」
一瞬で機能を察したソージはポイントメイカーを止める。
「次は狩技追加だが…これは名前の通りだろうな。狩陣宝石で出来てるらしいし」
本来ならスタイル毎にセットできる狩技を、もうひとつだけ追加できる機能のようだ。
既にソージの義眼には狩技が決められているようで、
[獣宿し【 】]
とだけ書かれていた。
大剣なのか双剣なのかはっきりしねぇな…とソージが首をかしげていると、シャガルマガラがソージに近付いた。
『終わったかい?どんな機能があったんだい』
「ズームやら、体感時間を上げたりだとか…便利だよ、この義眼」
『よかったねぇ。君、また強くなったろ。どうだい?一つ、ワタシと手合わせをしてみたら』
「古竜をソロでクリアか。悪くねぇな」
『これは手厳しいな』
やがて、機械の山の中にあったカブレライトソードを掴んだソージと、天廻竜と言われた偉大なる古竜が正面切って戦う事になるのだった。