『では…始めようか』
「あぁ。合図はこの石ころが地面に落ちたらだ」
ソージはそこらへんから手にいれた石ころを上に放り投げる。
一拍、静寂が訪れ、そしてカツンと音が響く。
「カアアアアッ!!」
「せぇりゃあっ!!」
振り下ろされた爪と、振り上げられた大剣がぶつかりあう。
シャガルマガラの追撃。ソージは大剣を軸に横に転がり、攻撃を避ける。
転がった勢いを利用し、立ち上がった勢いを乗せて左手だけで大剣を振るうソージ。
避けられた事で地面に突き刺さった爪を使って巨体を浮かせ、もう一本ある右腕で大剣を弾くシャガルマガラ。
素人目に見ても、それがシビアなタイミングを突きあっている事はあきらかだった。
「カアアアアッ!!」
「甘いんだよっ!!!」
三本の腕を一つに束ね、バランス無視で強激を繰り出すシャガルマガラ。
それをソージは大剣の腹であしらい、すれ違いざまに腹の鱗に刺突を繰り出す。
危険を察知し、横に避けたシャガルマガラが見たのは、左目を青く光らせるソージだった。
「身体強化、プラス感覚遅延」
ついに切り札である二つの能力を発動させ、時間を切り捨てたソージ。
その場で地面を蹴り、瞬時にシャガルマガラの懐へ移動する。
「カアッ!?」
蒼い眼の光が描く残像を捉えたシャガルマガラは懐からアッパーを繰り出すように腕を動かす。
「おせぇよ、先輩」
しっかり聞こえるように、ゆっくりと喋るソージ。
妙なところで粋なはからいをするのである。
しかし、シャガルマガラからしたらたまった物ではない。
その声が、頭上から聞こえたのだから。
咄嗟に紫の光を使ってソージを攻撃するシャガルマガラだが、それすらも大剣で空中ガードされてしまう。
「カアアアアッ!!」
「っ…」
咆哮を上げ、ソージを怯ませるシャガルマガラ。
もちろんこれだけではなく、右腕で天を突くようにソージを攻撃する。
そして、ソージがそれに気をとられている間に、左腕で叩く。
それが、シャガルマガラの【作戦】だった。
ソージは右腕に反応し、シャガルマガラの作戦通り右腕を弾いたのだが…
「ポイントメイカー」
捉えていた。
ソージの左目は。
蒼く見える視界の中、白い円が自らに迫る左腕を捉えていたのだ。
弾いた勢いを殺さず、そのまま空中で一回転。
ソージは見事左腕をかわすと重力に身を任せ、、バンザイした体勢のシャガルマガラに接近する。
そしてシャガルマガラのツノに着地すると、某素敵な世界の海賊のように大剣をシャガルマガラの眉間に突きつけるように構え、こう言うのだった。
「俺の勝ちだな、先輩」