『…なっ、えっ、あっ!!負けた!?ワタシ、負けた!?』
「あぁ。俺の勝ちだ」
角から飛び降り、大剣を地面に突き刺すソージ。
その姿をみて、シャガルマガラは『強いなぁ』と呟き、穴ぐらへと帰った。
ソージは大剣を地面から抜いてシャガルマガラを追おうとするが、ソージの頭に声が響きわたった。
〈【獣宿し〔
ピシャア、と雷にうたれたかのような顔をするソージ。
「狩技、使えなかったのか…?あぶねぇ、普通に実戦で使おうとしてた」
左目の前で手をワキワキさせるソージ。
大剣を背中に背負い、シャガルマガラの洞窟へと歩み始めた。
「効果は別に、後でわかるだろうしな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それから日が経ち十日過ぎた。
もはや原住民と化したソージは大剣を背負い、今日も今日とて狩りに出かけていた。
リオレウスとリオレイアはあれから一向に出てこなくなり、ソージは仕方なく先に装備を集める事にした。
「【獣宿し〔天廻〕】、発動」
目を青く光らせ、大剣を肩にそえるように構えるソージ。
一拍、静寂が場を包む。
チィン、と金属を引っ掻くような音が響き…
「───────!!」
「お疲れさん、あの世で仲間と遊んでな」
大きい山のような亀のモンスター、ドボルベルクがその頑丈な甲羅ごとスライスされる。
〔天廻〕の強みはその絶対破壊。
ソージの狩技の前では防御力は意味を成さず、大ダメージを与える上、オマケで当たった所が部位破壊されるという協力な狩技である。
部位を剥ぎ取った後、ソージはつたを掴んで山に登る。
このマップで生活を始めてからソージはマップで一番高い崖に行くようになった。
海が目の前に広がるこのマップが、無性に安心するという。
無情で山の斜面を登っているソージの耳に、咆哮が轟く。
このマップではよくあることなのだが、何故かソージはそれが頭から離れず、原因を突き止めようとソージは…
つたを自重でゆらし、十分につたが揺れたところで、手を離した。
有り得ない程のスピードですっ飛んでいくソージ。
山も川も、エリアを越えて、その咆哮の出所まで向かう。
そしてエリア1についた途端、ソージの頭が冷えた。
緑の鱗に空を舞うための大きな翼。
キラリと生え揃った牙。
ソージの復讐相手の一つ、雌火竜リオレイアである。
大剣を背中から抜きだし、それにより大剣の重さで落ちるソージ。
空中で上手く姿勢を変え、エリアを複数飛び越えたことにより溜まっていた力を解き放つ。
「【獣宿し〔天廻〕】ッ!!!」
大剣の先をリオレイアの首に差し込み、悲鳴を上げる間も与えずに横に切り裂くソージ。
ゴトリと首が落ち、リオレイアは息絶えた。だが…
「ああっ、ああっ!お前が、お前がっ!!!」
肉体を弄び、残虐に斬りつけていた。
自分の復讐相手をソージが見間違えるはずもない。
ソージは今、血に濡れ、それでも笑顔で大剣を操っていたのだった。
そして、ソージが満足し、帰ろうと思ってエリアを出ようとしたその時。
「まっ、待って」
ソージの背中に、声がかけられた。