異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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16話 決意と願い (sideリン)◆ミィナ視点◆

 

ガチャリ、と扉を開き、私は中に入ります。

手にお盆を持って。

 

「奏治君?」

 

全てを拒絶するようなカーテンの向こうから、くぐもった声が聞こえてくる。

きっと、カーテンの向こうでさらに布団をかぶっているのだろう。

 

「ごめんなさいです、ソージじゃないです」

「…ミィナちゃん?」

 

ソージじゃないと言うのが心苦しい。

ソージがいなくなってから、リンはずっとこの調子。

狩りにも行かず、塞ぎ込んでいます。

ここに来るたびに、『ソージ?』と聞かれるのですが、残念な事に一度も『そうだ』という返事はありませんでした。

 

「ごはん、ここにおいてくです。それと、村長がリンに用があると言ってたです」

「…ごめん、村長には行けないって言っておいて」

 

案の定、リンからは断られます。

ですが、こちらにも引けない事情があるのです。

最終兵器として、村長から伝えられていた言葉を使う事にしました。

 

「…ソージに関わることです」

「──────ッ」

 

空気が張り積めます。

装備を整えていたのか、しばらくしてカーテンの隙間からリンが顔を出しました。

久し振りです、顔を見たの。

 

「それ、本当?」

「村長から言われたことなので、詳しくはわかりませんが、本当です」

「なら、行って…みようかな」

 

私はリンの手をとってカーテンから引きずり出し、村長の元へと引っ張っていきます。

リンの顔を見た村長が差し出したのは、一枚の紙切れ。

クエストの依頼でしょうか。

 

「『彼の影を追って』…?クエスト達成条件、『ソージの発見』…。『ソージの発見』!?」

 

どうやら村長はリンのことを思ってソージの捜索依頼を出したようです。

 

「…リン、どうするです?」

「・・・」

 

リンは紙を持って受付のお姉さんの元へ向かいます。

それだけで、私にはリンがどうするかがわかりました。

お姉さんがリンを見て薄く微笑むと、いつものセリフを口にしました。

 

「…こんにちは、ハンターさん。そちらのクエストを受けますか?」

 

リンは一度息を吸って、お姉さんに紙を渡しました。

そして、こういうのです。

 

「…はい。必ず、達成してみせます」

 

お姉さんは微笑み、村長は安心したように男臭い笑みを浮かべました。

いつの間にか隣にいたアズール達はリンに応援の言葉を投げ掛けます。

 

「うん、うん。絶対、助けるから。絶対に」

 

リンは歓声を受けながら、ゲートに一番近い私の前で来ました。

私はここぞとばかりに、ずっと思っていた言葉を口にするのです。

 

「いってらっしゃいです、リン。必ず、二人で戻ってくるですよ」

「うん、私は諦めないよ。所詮はまだかけだしハンターだし、装備も最初のままだけど…。絶対、助けてみせるから」

 

リンは微笑むと、ゲートをくぐり、直ぐに走り出しました。

あの方向は古代林です。

私は後押しとばかりに、ポーチから角笛を取りだし、思いっきり吹きならしました。

 

 

角笛のよく響く音が、ベルナに響き渡りました。

 

 

 

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