大きなエリアに、蒼い閃光が走る。
飛び交う銃弾の間を縫うように走り、雷のような速さでシャロの元へと向かうソージ。
そのままシャロの隣で止まって初めて、その姿が確認できた。
「コイツは20秒が限界か」
「今のは14秒」
「意外と早かった」
ソージの『左目ピカーッ!』状態は検証の結果20秒しか持たず、ソージの奥の手として封印されることになるのだった。
『相変わらず、人間止めてるねえ、ソージ君』
「るせぇ。俺の目的のためには、これくらいは必要なんだ。お前だって古竜なら、背中に乗せて飛ぶくらいしろや」
『うん、その事なんだけどね』
「ん?」
『そろそろ、君を乗せて他の島に渡らせても良いんじゃないかと思ってる』
シャガルマガラの放った一言に、ソージは固まる。
何故か?
今までソージは、シャガルマガラの力を借りずに、自作の船で島を出るつもりだった。
理由は簡単、シャガルマガラが乗せて飛ぶ事を却下したからだ。
諦めて船を作ろうとしていたところ、『飛んでも良い』なんて言われたのだ。
「えーと、ん?今、なんて?」
『そろそろ良いんじゃないかと────』
「【獣宿し[天廻】…】」
『ちょっ、ストップストップ!』
蒼く目を光らせるソージを、シャガルマガラは慌てて止める。
『ごめんって。でも、新しい眼に慣れてなければ、いくらワタシに勝っても他のモンスターには勝てないと思ってさ』
「…ほう?俺の事を心配していた、と?」
『そうそう!あとはソージ君とシャロちゃんがどうなるかを見たかっ───』
「遺言はそれだけか?【獣宿───」
『ごめんって!ねぇ!だから目を光らせるのやめて!』
そんな忙しい会話の中、ずっと黙っていたシャロが唐突に手を上げる。
「ねぇシャガルマガラ。私達を、どこに連れていってくれるの?」
『ねぇ待ってってば──えっとね、マップ【渓流】、ユクモ村の近くかな』
「あぁ?渓流?…まぁ、別に良くも悪くもないな」
「渓流…言ってみたい。どんなモンスターがいる?」
「『タマミツネ』」
二人とも元モンハンプレイヤーであるため、素材集めの苦い思い出が共通しているようだ。
結果、出発は明日、シャガルマガラは送った後にまたこの島へ戻る事になった。
◇
翌朝。
ソージとシャロは崖の上に来ていた。
出発する前に、崖の上からの景色を見ておきたいという、シャロのワガママからだ。
「さて、これでこの景色も見納めだな」
「うん。少しだけ寂しい」
感慨深そうに景色を眺めるシャロは、腰からヘビィボウガンを展開し、炸裂弾を一発だけ装填する。
ぎょっとしたソージが耳を塞ぐと同時に、シャロは容赦なく引き金を引いた。
ひゅるる、という間の抜けた音の後、空で爆発を起こす炸裂弾。
その音を聞いて満足したシャロは、ソージの肩を叩く。
耳を塞いでいた手を離したソージの目に写ったのは、男なら誰しも見惚れる微笑を浮かべた、竜人の少女。
「ソージ、ありがとう。ピンチを救ってくれて、この景色を教えてくれて、ありがとう。私を見捨てないでくれて、ありがとう」
感謝の言葉を受けたソージはと言えば。
「…どういたしまして」
苦笑すると、シャロをお姫さまだっこの形で抱き抱え、崖から飛び降りるのだった。
いつものように、白い閃光が二人をさらっていった。
おまけ
シャガル先輩『さっきの会話聞いてたんだけど、もう完全に付き添いあった老夫婦だよね』
掃除「うるさいな」
ひゃろ「私は別に夫婦でも良い」
シャガル先輩&掃除「『!?』」
なんとも締まらない出発でした。