異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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18話 さらば故郷よ、また会う日まで

大きなエリアに、蒼い閃光が走る。

飛び交う銃弾の間を縫うように走り、雷のような速さでシャロの元へと向かうソージ。

そのままシャロの隣で止まって初めて、その姿が確認できた。

 

「コイツは20秒が限界か」

「今のは14秒」

「意外と早かった」

 

ソージの『左目ピカーッ!』状態は検証の結果20秒しか持たず、ソージの奥の手として封印されることになるのだった。

 

『相変わらず、人間止めてるねえ、ソージ君』

「るせぇ。俺の目的のためには、これくらいは必要なんだ。お前だって古竜なら、背中に乗せて飛ぶくらいしろや」

『うん、その事なんだけどね』

「ん?」

『そろそろ、君を乗せて他の島に渡らせても良いんじゃないかと思ってる』

 

シャガルマガラの放った一言に、ソージは固まる。

何故か?

今までソージは、シャガルマガラの力を借りずに、自作の船で島を出るつもりだった。

理由は簡単、シャガルマガラが乗せて飛ぶ事を却下したからだ。

諦めて船を作ろうとしていたところ、『飛んでも良い』なんて言われたのだ。

 

「えーと、ん?今、なんて?」

『そろそろ良いんじゃないかと────』

「【獣宿し[天廻】…】」

『ちょっ、ストップストップ!』

 

蒼く目を光らせるソージを、シャガルマガラは慌てて止める。

 

『ごめんって。でも、新しい眼に慣れてなければ、いくらワタシに勝っても他のモンスターには勝てないと思ってさ』

「…ほう?俺の事を心配していた、と?」

『そうそう!あとはソージ君とシャロちゃんがどうなるかを見たかっ───』

「遺言はそれだけか?【獣宿───」

『ごめんって!ねぇ!だから目を光らせるのやめて!』

 

そんな忙しい会話の中、ずっと黙っていたシャロが唐突に手を上げる。

 

「ねぇシャガルマガラ。私達を、どこに連れていってくれるの?」

『ねぇ待ってってば──えっとね、マップ【渓流】、ユクモ村の近くかな』

「あぁ?渓流?…まぁ、別に良くも悪くもないな」

「渓流…言ってみたい。どんなモンスターがいる?」

「『タマミツネ』」

 

二人とも元モンハンプレイヤーであるため、素材集めの苦い思い出が共通しているようだ。

結果、出発は明日、シャガルマガラは送った後にまたこの島へ戻る事になった。

 

 

翌朝。

ソージとシャロは崖の上に来ていた。

出発する前に、崖の上からの景色を見ておきたいという、シャロのワガママからだ。

 

「さて、これでこの景色も見納めだな」

「うん。少しだけ寂しい」

 

感慨深そうに景色を眺めるシャロは、腰からヘビィボウガンを展開し、炸裂弾を一発だけ装填する。

ぎょっとしたソージが耳を塞ぐと同時に、シャロは容赦なく引き金を引いた。

ひゅるる、という間の抜けた音の後、空で爆発を起こす炸裂弾。

その音を聞いて満足したシャロは、ソージの肩を叩く。

耳を塞いでいた手を離したソージの目に写ったのは、男なら誰しも見惚れる微笑を浮かべた、竜人の少女。

 

「ソージ、ありがとう。ピンチを救ってくれて、この景色を教えてくれて、ありがとう。私を見捨てないでくれて、ありがとう」

 

感謝の言葉を受けたソージはと言えば。

 

「…どういたしまして」

 

苦笑すると、シャロをお姫さまだっこの形で抱き抱え、崖から飛び降りるのだった。

 

 

いつものように、白い閃光が二人をさらっていった。

 

 




おまけ

シャガル先輩『さっきの会話聞いてたんだけど、もう完全に付き添いあった老夫婦だよね』

掃除「うるさいな」

ひゃろ「私は別に夫婦でも良い」

シャガル先輩&掃除「『!?』」



なんとも締まらない出発でした。
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