異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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19話 渓流に着いたら

ゴウン、と渓流のエリア4に大きな音が響く。

渓流のモンスターは大慌てで逃げ出し、草むらの陰から震えながら音の元凶を見る。

太陽の光を反射する白い鱗、岩すら切断しそうな牙に爪。

大地を揺るがす古竜、シャガルマガラ。

そして、その背中から飛び降りる二つの影。

 

「…ついたか」

「長く楽しい飛行だった」

 

ソージとシャロである。

ソージはゲーム内で飽きるほど見た地形をVR感覚で見れるためキョロキョロし、そしてシャロもまた、新しく見る世界にキョロキョロしていた。

 

『それじゃ、ワタシは帰るよ。ソージや、キャンプの場所はわかるよね?』

 

シャガルマガラは穏やかな目で草むらを見る。

怯えながらも「こわくない?こわくない?」と草むらから這い出てくるモンスターに優しく微笑み、次に二人に視線を向ける。

 

「あぁ、大丈夫だ。今まで、世話になったな」

「ありがとう。あなたのお陰でソージに出会えた」

『どういたしまして。あっ、そういえば』

「なんだ?」

『ワタシが来た頃に龍歴院に小さいコがいたんだよ。よくサポートしてあげたけど、元気にしてるかなぁ』

「それなら、会ったらあなたの仲間って挨拶しとく?」

『頼むよ、ワタシの生前の名前は【レンジ】だ。あのコは、ハンターをサポートする船を作るって夢、叶えられたのかなぁ…』

「【レンジ】、だな。わかった。もしも会ったら伝えておく」

 

シャガルマガラ────レンジは一言だけ『ありがとう』と呟くと、その翼を大きく羽ばたかせた。

咆哮をあげながら帰っていくレンジ。

レンジの姿が見えなくなるまで、二人はずっと空を見上げていた。

 

 

 

 

「さて、そろそろ行くか」

「わかった。キャンプに行くんでしょ?ソージについてく」

 

ソージは転生前の記憶を便りにキャンプを目指していく。

後ろのシャロはキョロキョロと辺りを眺め、自分が遅れていることに気づくと慌てて小走りでソージの隣へ移動する。

 

「ソージ。ソージは、復讐を終えたらどうするつもり?」

「故郷に帰る方法を探す」

「…ソージの故郷って、どんなところ?」

 

ソージは目を義眼にした経緯はシャロに話したものの、自分が異世界から来たことは話していない。

ソージの言う遠い故郷とやらがシャロの好奇心をくすぐったのだ。

 

「そうだな…まず、モンスターがいない」

「いない?少ないじゃなくて?」

「そうだ。だから、シャロみたいな人間は空想上の物として扱われてる」

「そう…」

 

ソージはシャロの頭にちょこんと生えている角を撫でる。

くすぐったそうにするシャロは、故郷を思い出して微笑むソージの顔を見て驚愕した。

暗かった。

その蒼い左目は、機械のはずなのに持ち主の感情を深く表している。

哀しみに溢れたソージの目は、どうみても故郷を懐かしんでいるようには見えない。

急いでシャロは話の続きを促し、ソージの顔を直視しないようにうつむいた。

 

「…次は?」

「次?そうだなぁ、工業が発達しているな」

「工業?」

「シャロが見たら驚くと思うぞ?鉄の牛が走るんだ」

「鉄の牛…」

 

ソージは電車の事を言っているのだが、もちろんシャロはメタリックボディで爆走するラージャンを思い浮かべた。

そうこうしているうちにキャンプについた二人。

 

「ここがキャンプだ。人が来るまでここで待ってなきゃな」

「ん。ベッドがある」

「食料はあっちから持ってきた生肉があるから、それを焼いて過ごすか」

「わかった。ソージ、気球が飛んでたら空砲を撃つ」

「そうしてくれ。ベッドはシャロが使え、俺は床で寝るからな」

 

手慣れたようすで装備のマントを床に敷こうとするソージに、シャロは提案する。

 

「どうして?ベッドはおっきい、ソージも一緒に寝よ?」

「…どうしてそうなるんだ。少しは気遣いを考え…」

「…ダメ?」

 

乙女の必殺技、上目遣いを発動させたシャロに、ソージはたらりと冷や汗を流し…

 

「狭くても文句言うなよ」

「んっ。むしろ嬉しい」

 

ラノベのテンプレが、ここに君臨したのだった。

 




おまけ


ひゃろ「ソージ、あーん」お肉ずいっ
掃除「自分で食べられる…」
ひゃろ「…ダメ?」シャロ は 上目遣い を 放った!
掃除「…あーん」
ひゃろ「♪」


ソージさんはシャロの上目遣いに弱い。
ハイここテストにでますよー
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