異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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22話 眠い?なら寝かしつけてやるよ、永遠にな

 

「「アマツマガツチ?」」

 

しばらくユクモを堪能した二人がユクモ村の村長から聴いたのは、新しいクエスト依頼だった。

 

「はい…じつはお二人の騒動でアマツマガツチが目覚めてしまいまして…。近隣の村が雨続きで、薪も濡れて凍えそうという情報が…」

「それは…なんとも悪いことをしたな」

 

実はこの依頼、今言った理由以外にも、『二人がしばらくこの村から出てくれれば収拾がつく』というユクモ村長の策略もあるのだが、初日で25もロアルドロスを乱獲した二人のこと、どうしても恐怖心が勝り本心を言うのを躊躇ってしまっている。

ソージとシャロはとっくに気付いているが。

 

「…いこう、ソージ。私達が巻き起こしたことみたいだし」

「そうだな。ダイソンか、久しぶりに見るな…」

「ありがとうございます。既に馬車は用意してあります、いつでもお出かけください」

 

上品に言ってはいるが、言葉をそのまま受けとると『早く行ってくれると助かる』という信念がつつぬけである。

ソージは苦笑いすると食事をして、早々に出るのだった。

 

 

 

 

ゴウウウウウ。

ゴウウウウウウウウウウ。

 

「なあシャロ、思ったことが『ビュウウウウ』うるせっ!風、うるせっ!!!」

 

ソージの見据える先には竜巻が吹き上がり、雨や瓦礫を乱雑に吹き飛ばしている。

ぴしゃぴしゃと跳ねる水にシャロの前髪はぺったりと張り付き、先ほどからうっとおしそうにしていた。

が、ソージのお気に入りなので切らない。プライドにかけて!

 

「ソージ。『ビュウウウウ』が『ビュウウウウ』…かもしれない」

「何言ってるか風でわかんねぇ…」

 

ソージはシャロを抱き寄せ、その口を自らの耳辺りに近づける。

いきなりの行動に困惑しながらも、シャロはなんとか自らの言葉を捻りだした。

 

「あ、あの…早く、行った方がいいんじゃないかな…って…」

「ああ、そう行ってたのか。ありがとうな、シャロ」

 

そう言ってシャロを離すソージ。

シャロの「あ…」という寂しそうな声は風にかき消されてしまった。

今回のソージはいつもの大剣ではなく、小回りの良い片手剣を持ってきている。

銘を【バーンエッジ】。

復讐相手の一匹、リオレウスの素材から作った剣である。

どこに素材を仕舞っていたのかは、モンスターハンターの不思議の1つ、『アイテム共有の箱』の効果があり、ソージはシャガルマガラの島で手に入れた素材を余すことなく自由に出し入れできるのだ。

既に4回ほど強化しており、ソージはこれを他の武器に派生進化させる予定を密かに企てている。

 

「行くぞ、シャロ」

「あっ…、うん、行こう」

 

いきなりお姫様だっこされ、狼狽するシャロだったが直ぐに気をとりなおし、新しく作ったライトボウガン、【狐水銃シズクトキユル】を撫でた。

バッとソージが一歩踏み出せば、もちろん重力に従って落下する。

ソージがしっかりと支えれば、(なか)ば反則的ではあるものの、シャロがライトボウガンを構えて初撃を放つ。

 

「ギャアアアアアアオ」

 

シャロの狙いは的確で、一撃でアマツマガツチの胸部にある弱点に銃弾を叩き込んだ。

落下しながら、銃弾とアマツマガツチの移動する先を予測し、偏差撃ちをしたのである。

片手剣を崖に突き刺し、ガリガリと音を鳴らしながら落下の勢いを弱めるソージ。

やがて二人は崖の真ん中辺りで止まり、作戦を確認した。

と言っても。

 

「シャロ。準備はいいな」

「うん。それに今更」

 

このような物である。

 

「よし、いくぞ。せぇーのっ!!」

 

片手剣を崖から外し、思い切り壁を蹴るソージ。

勢いに任せてアマツマガツチの目の前まで飛び、近くで渦巻く竜巻に飛び込んだ。

微妙に位置を調節し、ふわりと地面に降り立ったソージはシャロを離すと、不適に笑って言い放った。

 

 

 

 

「よおダイソン。起きちゃって眠いらしいな。寝かしつけてやるよ。永遠になッ!!」

 

 

 

 

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