「───ほんとに、協力してくれるんですか!?」
「ああ。何度も言っているだろ?」
「無駄な確認は不要」
ソージとシャロは青年から話を聴き────途中途中でシャロの銃口に怯えるので割愛したが────青年の出す依頼に好感触を示した。
内容は、青年の造った飛行船、『
ソージは復讐相手に会えるチャンス、シャロはソージに付いていくだけなので二人とも恐怖などなく、むしろ『上等』と言って青年を急かしたほどであった。
「で、では、龍識船に案内します。龍識船は鍛冶屋と道具屋、研究者がそろっていてまさにハンターのための船なんですよ!」
「ほう?で、どこにある?」
「あそこです!普段は集会酒場に隣接するように停泊しているのですが、今回はアレに乗ってきたので、今からでも討伐に向かえますよ!」
青年が指差したのは、THE・飛行船といったいでたちの飛行船。
やや大きめなサイズで、力持ちが荷物を運び込んでいるのがわかる。
「僕は生まれつき貧弱で、ハンターになることは親から反対されていたんです。なので、たくさん努力してモンスターの知識をつけ、ハンターたちを支援できるような力を身につけました!」
「……そうか。一応、よくやったと言っておこうか」
「努力は必ず実るって話は、本当なんだね」
船は主に木造で、大きなプロペラが目を引く。
ソージはこれで飛べるのか不安になったが、他にも飛ぶための機能は備わっているらしく、プロペラは他の用途に使うことが多いらしい。
「ソージさんの左目、ソレ義眼ですか?」
「……っ?よくわかったな」
「これでも研究者なので。あのアイルー、僕よりも機械について詳しいので義眼の調子が悪いとかあったら言ってくださいね」
「そうか。その時が来たら使わせてもらう」
ソージは今回のために持ってきた太刀、『鉄刀【神楽】』を磨き始める。
今のところ義眼におかしなところはないので武器を磨いておこうという考えだ。
が、何に気づいたのか、青年に向けて口を開くソージ。
「なあ、『レンジ』って名前に聞き覚えはないか?」
「え?レンジ?えー…あー…どこかで聴いたような…?」
「お前の事を知ってるやつが、その名前だったんだが」
「レンジ…レンジ…あ!あのときのハンターの!」
そう、レンジとはソージとシャロがお世話になった古竜、シャガルマガラの真名。
詳しいことは聴かされていないが、本人が気にしていたので何とはなしに思い付いたことを言ったのだ。
それが、思いがけずよい方向に進むとは知らずに。
「レンジさんは、今どこに!?」
「ん?あー…遠いな」
「龍識船ならどこでも行けます!お願いします、僕もできる限りのサポートをしますから!」
「わかったわかった!時が来たら教えてやる!まったく、アイツはなにをしたんだか…」
「約束ですからねー」と言って青年が場を離れると同時に、龍識船に衝撃がはしる。
プロペラが勢いよく回りだし、周囲の人間は船から距離を置いた。
どうやら離陸するらしい。
ソージとシャロは互いに目を合わせ、気合いを入れ直すのだった。