異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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28話 下克上

 

「カルアアアアアアッ!!」

 

思い通りにいかないことに、バルファルクは苛立つ。

どれだけ振り払おうと、格下であるはずの人間は必ず飛び上がってくるのだ。

地の利はこちらにあるのに。

 

「ウザイなら 殺してしまえ バルファルク」

「……なに?」

「偉人の言葉だ」

「いいセンスだね」

 

ソージは背中から、『鉄刀【神楽】』を抜き、某英雄を真似る。

『スナイプシューター』を構えたシャロはくすりと微笑み、そして眼前の敵を見た。

 

「行くよ。ソージ、乗って」

「ああ」

 

その場に屈んだシャロが組んだ腕に足を乗せ、ソージは高く跳躍する。

 

「シャロ!」

「……っ!!」

 

勢いが弱まったところでソージは叫ぶ。

すかさずシャロの射撃。

寸分狂わずソージの靴の裏に撃たれたソレは、その場で大爆発を起こした。

炸裂弾である。

推力を得たソージは加速し、バルファルクの機械的な翼の鱗に太刀をねじ込んだ。

 

「カルアアアアアアッ!!グルアアアアアアっ!!」

「今 楽にする。はしゃぐ……なッ!!」

 

『な』の部分で思いきり跳ね上げ、一瞬、バルファルクを上回る高度を手に入れるソージ。

そのまま太刀を振りかぶり、上段から降ろす。

ゴスッと刃物らしからぬ音を立て、バルファルクの後頭部に太刀がクリーンヒットした。

 

「カアッ!?」

 

くるくると回転して地面に落ちていくバルファルクを見届け、自らは再び龍識船のマストに埋まる。

 

「私の出番が無い気がする」

「頑張ってくれ。俺のヒロインなんだから」

「よし頑張る」

 

舵輪を握ったシャロの呟きに律儀に反応するソージは、マストのしなりを活かして下に跳躍する。 

さながら定規で弾いた消しゴムのようである。

ミサイルがごとく突っ込んでいくソージは、太刀の切っ先をバルファルクに向ける。

 

「か、く、ご、し、ろ……!」

 

風による邪魔を喰らいながら、なんとかセリフを言うソージ。

マンガのようにかっこよく『覚悟しろ』が言いたかったようだが、途切れ途切れだ。

しょうがないじゃん、男の子だもん。 

 

「ぜあッ!!」

 

ソージの太刀がバルファルクを地面に縫い付ける。

鮮血を飛び散らせたバルファルクはのたうちまわり、太刀を抜くことに成功する。

太刀と一緒に吹き飛ばされたソージが見たのは、スナイプシューターを手に走るシャロの後ろ姿だった。

 

「遅い。ソージなら寝ていても避けられる」

「………………さすがに睡眠中は無理だと思う」

 

音速で飛ばされる鱗を華麗に避けながら、そんなことを言ってみせるシャロ。

ガンナーという体力の少ない役職でありながら接近を挑み、時に距離をとって撃ち、その姿は最強のハンターの伴侶にふさわしいと言えざるを得ない技術であった。

 

そしてそのつかの間の戦闘は、ソージが起き上がるのに十分な時間をもたらした。

 

駆け出すソージを目で捉えたシャロは、バルファルクのまぶたに照準を合わせ、至近距離でぶっぱなした。

バックステップで仰け反るバルファルクから距離を取り、シャロは叫ぶ。

 

「ソージ!決めて!」

「オオオオオオオオっ!!」

 

咆哮を上げ、太刀を引きずりながら駆けるソージ。

片方しか見えぬ目でなんとか踏ん張り、宙に浮いて突進を図ろうとするバルファルク。

バルファルクの翼から出る火花、シャロのライトボウガンの硝煙に混ざる火花。

そして、地面との摩擦で吹き出る火花が、三重に重なる。

 

 

〈【獣宿し〔彗星(すいせい)〕】を取得しました〉

 

 

「【獣宿し〔彗星〕】ッ!!ポイントメイカーッ!!」

 

視界の中、白枠で囲まれたバルファルクに向かってソージの太刀はさらなる推力を得る。

ソレを知ってか知らずか、バルファルクも突進を開始した。

それも、全力を尽くした最後の突進を。

 

「カルアアアアアアッ!!」

「オオオオアアアアッ!!」

 

首に吸い込まれたソージの太刀は鱗を易々と切り裂き、その首を吹き飛ばした。

すぐさまに太刀を地面に食い込ませ、ブレーキをかけたソージは横を向いて血の混じったツバを飛ばす。

 

「ふうっ……」

「ソージ……お疲れさま」

「ああ。でもな、まだなんだよ」

 

血に濡れても恐れず抱きついてくるシャロを撫でながら、ソージは息をつく。

 

「暴食───イビルジョーだ」

「ん……」

「まずは、バルファルクを解体しないとな」

「ん……」

 

シャロは必死に、辺りのムーファを昏倒させるソージの殺気を押さえようと抱きつくのだった。




モンハンの二次創作って難しいなぁ。
ねえ、ここまで来たらオリジナルの類じゃん。
ワタシ、オリジナルしか作れないのかもしれない。
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