異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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2話 行き着いた先は

「がはっ!」

「きゃっ」

 

奏治と凛は、なんの脈絡もなく草原に投げ出された。痛みで目が覚めた二人は、情況を確認する。

先に異変に気付いたのは凛の方だった。

 

「よっしゃあああ!右腕ある!」

「…ねぇ奏治君、これって…」

「あ?なんだ…って!」

 

余りの光景に奏治はフリーズする。

なんせそこは、さっきまでいた部屋とは違い、頬を撫でる爽やかな風、木の実を食べる首の長い動物────そう、そこは。奏治と凛が行き着いた先は!

 

「なんじゃこりゃあああ!?」

「一体なにが…」

 

──────平原だったのだから!──────

やけにリアルな風と、晴れきった視界に、奏治はこれが現実だと捉える。

そして、信じられないことに、この平原に見覚えがある事にも驚く。

 

「ねぇ奏治君。これってさ…」

「あぁ、これは確かに…」

「「モンスターハンターのフィールド」」

 

同じ答えが出た事に安堵すると同時に、これからどうなるのかという不安が二人を襲う。

とにかく気を紛らわせたい一心で、周りに注意を張る。それがいけなかったのかもしれない。

草むらから覗く、黄色い目と目が合ってしまったのである。

 

「ねぇ、奏治君」

「言うな。俺だって信じられない」

 

ガサガサと音を鳴らして草むらから出てきた黄色い目の持ち主。

緑の鱗と赤いトサカをつけた、大人一人と大して変わらない大きさの生物だ。

それだけなら奏治はまだ安心していただろう。鋭く剥かれた牙と牙の間から垂れるヨダレが無ければ。

 

「ねぇ、奏治君」

「言うな。俺だって信じられない」

「これってさ…私たち、やばくない?」

 

怯えが伝わったのか、大きな生物は舌舐めずりをしてこちらへ向かってくる。

やがて、奏治は一息つくと。

 

「言うなって言ってんだろぉぉぉぉ!!!」

 

凛の手を引き、全力で逃げ出した!

 

「キュルアアアアっ!!」

「うわぁぁぁぁぁあ!!」

 

明確な死の恐怖。

離れていても伝わる振動が、まだ逃げ切れていない事を知らせる。

 

「あっ!?」

 

不意に、右手で握った凛の手が、するりと抜けた。

 

「凛!?くっそ、このバカ!」 

 

どうやら転んだらしい。

その場で座り込んでしまう凛を背にかばい、追ってきた生物と対峙する。

やっぱりドスマッカオ───なんて事ばかりが頭をよぎり、この情況を打破するアイデアが何一つ思い浮かばない。

 

「奏治君、私の事はいいから逃げてよ!」

「なに悲劇のヒロインぶってんだこのヤロウ!さっさと立てよ!」

「ご、ごめん、足挫いちゃったみたい…」

「なんでそんなテンプレなミスするんだよ!」

 

合理的に考えるなら、一人で逃げたほうがいい。

ドスマッカオを怯ませ、さらに逃げるすべが見つからないのだから。

しかし、なぜだか奏治には、凛を置いて逃げることは出来なかった。

 

「キュルアアアアっ!!」

「ッ───」

 

ドスマッカオが一歩引き、蹴りの態勢をとる。やられる、そう本能で感じとったとき───

 

ズバァッッッ!

 

肉を切る音が辺りに響き、前のめりに倒れ伏したドスマッカオの背後から、大柄な影が現れる。

逆光で顔は見えないが、その影は奏治と凛に対してこう言うのだった。

 

「フゥ…お前さんたち、大丈夫か?」

 

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