「おーい、先にいかんでくださいよアズールさぁん」
「ですです。アズールさんは突っ走りすぎなのです」
「急に走り出したと思ったら…あれ?その子たちは誰なの?」
アズールと呼ばれた大男の後ろから、ぞろぞろと男女が出てくる。
糸目とフランクな喋り方が特徴の、黒い服を纏った弓を背負った男、頭からぴょこんと飛び出た猫耳が特徴の小さい少女、腕を組んで呆れたような目をした、豊満なバストを持ち、腰にライトボウガンを下げた女性、の順だ。
「いや、ドスマッカオの声が聞こえたと思って駆けつけたら、こいつらが襲われてたもんでな」
「襲われてた?武器を持ってないってことはハンターじゃないみたいだし、荷物もないから商人でもない。あなたたち、なんでここにいるの?」
大男が斧を手放し、スキンヘッドをピシャリと叩いて快活に笑い、女性が奏治達を観察する。
どうしたものかと頭を悩ます奏治の脳に、友達から読まされたライトノベルなどで得た知識が舞い降りる。
「実は俺たち、遠くからやってきて、迷子なんです」
「「「「迷子?」」」」
「はい。遠くの村から山を越えてやっとの思いでここまできたのに、ドスマッカオに遭遇しちゃいまして」
「そいつは災難だったな。どこの村だ?」
何か言いたげな凛を視線で黙らせ、奏治は考える。
しまった、村の名前を考えてなかった。素直に日本と言っても伝わらないだろうし、言葉のニュアンスが違う。
元いた町の名前は【穗織(ほおり)】という名前だったが、、モンスターハンター風に変えると、どうなるか…思いつかん。えぇい、もう適当でいいや!
「ジャパンです」
と答えた。
穗織要素が全くないが、頭に浮かんでしまったのだからしょうがない。
そう心に言い聞かせて、奏治はアズール達の反応を待つ。
「ジャパン?知らない村だな。おまえら、知ってるか?」
「いや?知らないな」
「ミィナも知らないです」
「聞いたことないわね」
と、当たり前の反応をするアズール達。
やがて、名案が浮かんだのか猫耳の少女が手を叩く。
「村長さんなら何か知ってるかもです」
「おぉ、いい案だね。彼なら、他の村との交流も深いし、もしかしたら知ってるかもね」
「じゃあ、えーと…」
「あ、すません、奏治です」
「凛です」
「ソージとリン、ついてこいよ。クエスト達成報告がてら、ウチの村まで連れて行ってやる」
「本当ですか!ありがとうごさいます!」
二カッと笑ってみせるアズールに、奏治はちょっとした安心感を覚えた。
凛を起こし、腕を貸しながら、アズール達と話をして、情報を集める事にした。
「あ、そうだ、自己紹介が遅れていたね。俺はグルード。ガンナーだよ」
「ミィナはミィナです。双剣をメインにやってるです」
「私は、シサイナ。グルードと同じくガンナーをやっているわ」
「んで、俺がこのパーティーリーダーのアズール。スラッシュアックスが得物だな」
「あぁ、よろしく。改めて奏治だ」
「こっちも、改めて凛です」
などと、情報交流をしていたのだが、奏治と凛には気になる事があった。
ドスマッカオを知っていることや、スラッシュアックスの存在など…
「(ねぇ、奏治君)」
「(あぁ。これって…)」
「(似てるとは思ったけど…)」
「「(まさかここって、モンスターハンターの世界?)」」