異世界ハンター放浪記   作:翠晶 秋

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5話 龍歴院と狩陣宝石(しゅじんほうせき)

「ここが、龍歴院集会所です」

「おぉー…でけぇ」

「やっぱりすごいねー…」

 

ミィナに連れられて奏治と凛がやってきたのは、龍歴院の集会所だった。

受付や、道具屋、飯処までもが、またベルナとは違った雰囲気を醸し出していた。

 

「おばちゃん。ハンター二人を連れてきたです」

「・・・。」

「あれ?おばちゃん?どうしたですか」

「なんだいさっきからやっかましいね!アンタは待つことすらできないのかい?!」

 

いきなり怒鳴り散らした老婆に、ミィナは「ひっ」と小さく声をあげる。

この後の展開を知っている奏治と凛は、怯えるミィナを暖かい目で見守っていた。

 

「…ん?アンタ、ミィナじゃないかい?ってことは…」

「そ、そうです。新米のハンターを連れて来たです」

「あら!すまなかったねぇ、ミィナ。龍歴院の下のやつどもが、早くモンスターの解析をしろってうるさくてねぇ。ごめんね、三人とも。驚かしちまって」

 

先程までの鬼の形相から一変、老婆は柔らかな笑みを奏治達に向けた。

 

「いや、大丈夫です。ここが、ハンターの募集をしているって聞いてやってきました」

「そうかいそうかい、大歓迎だ。最近、リスクとかなんとか言って、ハンターになる若いのが少しずつ減っているのさ。もしハンター志望のコがいたら、龍歴院に来るように伝えておくれ」

 

老婆─────龍歴院のマスターは、ため息をつくと、手元の資料に目を落とした。

そこには、【大型モンスターの異常発生】と書かれており、奏治はそれを見て、「今更だが、言語は理解できるな…」と考えていた。

当たり前のように喋っていた言葉はもちろん日本語ではない。

 

「っと、話がそれちまったねぇ。ほれ、これがギルドカードさ。龍歴院のハンターを主張すると同時に、他のハンターに渡せば、依頼を受けてくれたりもする。他のハンターに渡したいときは、受付嬢に渡して、コピーしてもらいな。コピーしたカードはハンコが押されてないから、悪用もできないしねぇ」

 

ギルドカードを受け取り、登録をしてもらう。

すると、持っていたギルドカードに【HR.1】と書かれ、名前やステータス、装備が表示された。

コピーされたものには、本人が許可しないと名前とHRしか表示されないらしい。

現在の奏治の装備だが、【簡素な服】としか書かれておらず、村人が着る服扱いになっているようだ。

 

「さて、これでアンタらもここのハンターさね。お行き。これからのアンタらの人生に、幸多からんことを」

 

その後もミィナやアズールに案内をしてもらい、奏治達はこの世界の常識などについて教えてもらった。

ほとんどがゲームと同じだったが、唯一、ゲームと違うシステムがあった。

 

「コイツが、狩陣宝石(しゅじんほうせき)だ。狩技ってのを決定できて、持ち主が狩りに出るとき、常にその漏れ出るエネルギーを吸収している」

 

アズールが奏治達に見せているのは、透き通った青色をしている宝石が嵌め込まれた指輪。

最初から狩技をセットできるのではなく、この指輪を嵌めてからセットするようだ。

 

「スタイルによって、持てる指輪の数が違うです」

「なんか、狩りに支障が生じる、とかで龍歴院が決めたんだ」

「この指輪、まだ不完全で未完成なのよ。だから、無理に狩陣宝石を持っていると、暴走して弾ける可能性もあるってわけ」

 

狩陣宝石を運ぶ商人はどうなのか、と奏治は思ったが、狩技をセットして、指に通さなければエネルギーを吸収しないらしい。

二人とも武器は片手剣、スタイルは奏治はエリアルスタイル、凛はギルドスタイルなので、奏治は一個、凛は二個、指輪を嵌めた。

そして10日がたち、二人とも龍歴院に馴れてきた頃…

 

 

事件は、唐突に起きた。

 

 

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