「ここが、龍歴院集会所です」
「おぉー…でけぇ」
「やっぱりすごいねー…」
ミィナに連れられて奏治と凛がやってきたのは、龍歴院の集会所だった。
受付や、道具屋、飯処までもが、またベルナとは違った雰囲気を醸し出していた。
「おばちゃん。ハンター二人を連れてきたです」
「・・・。」
「あれ?おばちゃん?どうしたですか」
「なんだいさっきからやっかましいね!アンタは待つことすらできないのかい?!」
いきなり怒鳴り散らした老婆に、ミィナは「ひっ」と小さく声をあげる。
この後の展開を知っている奏治と凛は、怯えるミィナを暖かい目で見守っていた。
「…ん?アンタ、ミィナじゃないかい?ってことは…」
「そ、そうです。新米のハンターを連れて来たです」
「あら!すまなかったねぇ、ミィナ。龍歴院の下のやつどもが、早くモンスターの解析をしろってうるさくてねぇ。ごめんね、三人とも。驚かしちまって」
先程までの鬼の形相から一変、老婆は柔らかな笑みを奏治達に向けた。
「いや、大丈夫です。ここが、ハンターの募集をしているって聞いてやってきました」
「そうかいそうかい、大歓迎だ。最近、リスクとかなんとか言って、ハンターになる若いのが少しずつ減っているのさ。もしハンター志望のコがいたら、龍歴院に来るように伝えておくれ」
老婆─────龍歴院のマスターは、ため息をつくと、手元の資料に目を落とした。
そこには、【大型モンスターの異常発生】と書かれており、奏治はそれを見て、「今更だが、言語は理解できるな…」と考えていた。
当たり前のように喋っていた言葉はもちろん日本語ではない。
「っと、話がそれちまったねぇ。ほれ、これがギルドカードさ。龍歴院のハンターを主張すると同時に、他のハンターに渡せば、依頼を受けてくれたりもする。他のハンターに渡したいときは、受付嬢に渡して、コピーしてもらいな。コピーしたカードはハンコが押されてないから、悪用もできないしねぇ」
ギルドカードを受け取り、登録をしてもらう。
すると、持っていたギルドカードに【HR.1】と書かれ、名前やステータス、装備が表示された。
コピーされたものには、本人が許可しないと名前とHRしか表示されないらしい。
現在の奏治の装備だが、【簡素な服】としか書かれておらず、村人が着る服扱いになっているようだ。
「さて、これでアンタらもここのハンターさね。お行き。これからのアンタらの人生に、幸多からんことを」
その後もミィナやアズールに案内をしてもらい、奏治達はこの世界の常識などについて教えてもらった。
ほとんどがゲームと同じだったが、唯一、ゲームと違うシステムがあった。
「コイツが、
アズールが奏治達に見せているのは、透き通った青色をしている宝石が嵌め込まれた指輪。
最初から狩技をセットできるのではなく、この指輪を嵌めてからセットするようだ。
「スタイルによって、持てる指輪の数が違うです」
「なんか、狩りに支障が生じる、とかで龍歴院が決めたんだ」
「この指輪、まだ不完全で未完成なのよ。だから、無理に狩陣宝石を持っていると、暴走して弾ける可能性もあるってわけ」
狩陣宝石を運ぶ商人はどうなのか、と奏治は思ったが、狩技をセットして、指に通さなければエネルギーを吸収しないらしい。
二人とも武器は片手剣、スタイルは奏治はエリアルスタイル、凛はギルドスタイルなので、奏治は一個、凛は二個、指輪を嵌めた。
そして10日がたち、二人とも龍歴院に馴れてきた頃…
事件は、唐突に起きた。