プロローグ的なものなので短め。
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
ようやくだ。私はこの時をこの世に生まれてからずっと待っていた。
待ちに待った戦いがついに始まるのだ。
時には絶望した。時には歓喜した。そして時には希望を持った。
私はこの戦い必ず最後まで生き残る。そして必ず、聖杯をこの手に入れる。
「この世すべての悪《アンリマユ》」なぞ知ったことか。
私の願いは、その程度飲み干してくれる
「閉じよ《みたせ》。閉じよ《みたせ》。閉じよ《みたせ》。閉じよ《みたせ》。閉じよ《みたせ》。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
この日を幾星霜待ちわびたことか、世界は灰色にひび割れて私自身もひび割れる
この私に意味などない、なればこそ、私はここにいる
魔力が魔術回路を通して魔法陣に流れていくのを感じる。そしてそれがすすむにつれ魔法陣が紅く輝いてゆく、何故かその輝きは血を連想させた。
「―――――――――――Anfang《セット》」
すべての準備は整った。英霊の遺物がないのが心掛りではあるが、正直どのような英霊が出ようとも構わない。
結果的に令呪と聖杯戦争の参加資格さえあればいいのだ。
「――――――告げる」
「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
つまるところ、私が戦えばいいのだ。英霊になど負けるものか。この私がもともと人間だった存在に負けるなどと到底ありえない。
言葉を借りさせてもらうとしたら「生きているのなら、神様だって殺してみせる。」というやつだ。
そのための私だ、今となったら断言できる。そのためだけに私は存在しているのだ。異論など認めない、認めてなるものか。
「誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪とも成る者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――」
魔法陣から魔力があふれる。その血のような紅は、うねり、散らばり、そして収束する。
―――成功した。そう確信した。
――――あぁ。ようやく、始まるのだ。私の戦争が。
「―――よりにもよって俺のような三流のサーヴァントを呼んだのはどこの阿呆《あほう》だ?」
声が聞こえた。なるほど、この男か、確かにサーヴァントとしては三流だが・・・私はツイているらしい。
ふと、視線を向けるとそこには想像通りの子供がいた。
「―――私がマスターだ。なに、君とは多分うまくやっていけると思うよ。"三流物書き"くん」