一応これは聖杯戦争なのでこれから敵がいる時は味方からクラス名で呼ばれることにします。また、藤丸立香陣営の英霊を救世主の○○○、衛宮士郎陣営を正義の○○○(○○○はクラス名)と呼ぶことにします。何故こんな呼び方をしているのか、と思われた方は全てゼパルのせいにしておいてください。
エミヤは衛宮士郎が至る1つの可能性である。
けれど、この世界の衛宮士郎は違った。彼の隣にはエミヤになるのを防ぐ師匠である恋人がいた。そして、カルデアの一般枠に選ばれ、彼女と共に人理を救った。間違いなくこの世界の衛宮士郎は『世界との契約抜きで』英霊へと届き得る存在であり、冬木の聖杯に直接使ってカルデアの所長を救ったが故に、エミヤには投影不可能な投影品を持っている。即ち、その戦力は英霊エミヤに届き得るのだ。
「まさかお前が敵側に召喚されていたとはな、アーチャー」
「いまから私達が戦うのが平行世界のカルデアで、人類最後のマスターが貴様だとはな、衛宮士郎」
この場において、藤丸立香と衛宮士郎の相対よりも大切な出会いだった。彼らは共に第五次聖杯戦を経験した身、故に互いに殺意を宿す事はなく、お互いがお互いを複雑そうな目で見ていた。
「1つ訂正がある、俺は人類最後のマスターじゃない。遠坂もいるからな」
「そうか、凛も__」
エミヤは空を仰ぎ、少しの間だけ目を瞑って何かを思い返しているようだった。彼はすぐに視線を正面に戻すと剣を構えた。
「一つ問おう。この場に及んでまだ戦わなくても良い方があるなどほざくのか?」
「いいや、生憎俺もこの旅の中で現実というものを嫌という程叩き込まれたよ。自分の世界を守る為なら、他の世界を壊しても俺は正義を実行するよ」
「そうか、安心した。貴様は貴様なりの正義を見つけることができたのだな」
「あぁ、遠坂のおかげでもある。さて、それじゃあ行くぞ、アーチャー!」
「来いッ!」
2人の双剣使いが激突する。そこに殺意は無く、あるのは互いの信念のみ。繰り広げられる剣戟は達人のソレで、他者の介入を許さないだろう。十数年前とは比べ物にならない程成長した士郎はエミヤに遅れを取らず、またカルデアで霊気再臨を繰り返したエミヤも士郎に超えられる事はなく、互いの実力は均衡していた。
彼らはヒートアップしていた。しかし、彼らと共に来たものは置いてけぼりになっていた。
「味方のサーヴァントを置いて、敵のサーヴァントに突撃するとかシロウ頭大丈夫かのう……」
「彼とはその、一応因縁があるので……」
「それにしてもヤバイと思うのじゃが……」
困惑する正義の陣営のセイバーとアーチャー、真名は織田信長とアルトリア・ペンドラゴンである。
「いきなりアーチャー先輩、敵のマスターに突撃してしまいました……」
「彼英霊じゃないよね?私の目がおかしくなければうちのアーチャーと互角に打ち合ってるんだけど」
「加勢は必要ない、って言って飛び出して行ったけど俺どうするべきなんだろう……」
こちらも普段は冷静で頼りになるエミヤが急に熱くなり、感情を露わにしていることに驚き、更に敵のマスターが互角に打ち合っていることに驚いていた。彼らは完璧に蚊帳の外である。
しかし、ここで勝負が大きく動いた。マスターの奇行に耐えられなかった織田信長が彼らに介入したのだ。
「えーい!サーヴァントを差し置いてサーヴァント戦するとかおかしいじゃろ!マスターは下がっておれ、ここからは儂が相手じゃ!」
「ちょっと待てアーチャー、こいつの相手は俺が!」
「そう言ってさっきから均衡状態じゃろうが、このままだとエーテル体の儂らは疲れないのに対して、マスターは疲れて不利になるだけ。鉄砲で撃たれたく無いのなら下がっておれ!」
そう言って強引にマスターを下がらせる信長、それに対してエミヤは不敵に笑っていた。
「ほう、アーチャー如きが私の相手をすると?」
「貴様もアーチャーじゃろうが……マスターと何の因縁があるかは知らんが、ここで朽ちよ!鉄砲放てぇ!」
エミヤに対して放たれる数十の弾丸。並の英霊なら避けることも難しい攻撃を彼はいとも簡単に防ぐ。
「
そう叫んだエミヤの前には7つの花弁があり、弾丸から彼を守っていた。
「アーチャー、奴は俺のありえたかもしれない未来の可能性だ!こいつは大体俺が出来ることは出来る、気をつけろ!」
「それもっと早く言って欲しかったんじゃが!飛び道具無効とか儂と相性悪すぎじゃろ!」
「だからアーチャー如き、と言ったのだがな。さて、殺られる覚悟は良いか?正義のアーチャー」
「待ちなさい、救世主のアーチャー。私達の陣営のアーチャーを倒そうとするのなら、まずは私が相手だ」
「ようやく出てきたか、セイバー」
「当たり前だ、味方がやられるのを黙って見ている私ではない」
後ろで見守っていたアルトリアが現れる。聖剣に風を纏い、凛々しく在るその姿はエミヤの攻撃を止めるのには充分だった。
「さて、混戦となってきたみたいだし、私達が参戦しても問題ないよね!」
「アーチャー先輩援護します!」
立香の指示によって前線に出てきたダヴィンチとマシュ。ここに三対三の構図が出来上がった。
「何っ?!その盾は……」
ようやく聖杯大戦の第一幕がここに落とされる。過去の因縁渦巻くこの戦場の行方は__
何故ノッブが介入するのシリアスが崩れるのか()