未だに見えぬ朝を乞う 作:明科
柊未明、改めミメイ=ヒイラギは異邦人である。
世界のゴミ捨て場、無いことにされている場所、どんな流れ者も受け入れる流星街においても紛うことなき異邦人である。
そもそも彼女はこの世界の住民ではない。
世界を巻き込んだ恋物語と姉妹喧嘩の末に、どこかの誰かの計画の通りに、彼女だけがこの世界に流れ星のようにして落ちてきたのである。
ミメイが生まれた世界は今頃、神様の怒りに触れて滅亡寸前であろう。
恐らくそれを引き起こした張本人が自分自身と、切っても切れない縁の知己であるが故に、責任の一端以上を感じる彼女はどうにかして元の世界に戻ろうと努力はしていた。
ひとまず気の良さそうな少年に目をつけて飯をたかり、彼が持っている情報を全て引き出した。
しかしこの狭い流星街しか知らない彼では、この世界の全容を知るには力不足である。
仕方なくミメイに乱暴をしようと思って近付いてきた不埒者を難なく素手で返り討ちにし、脅して洗いざらい吐かせてみたものの、少年とどっこいどっこいの情報量であった。
よく分からない異世界に突然落ちて早1ヶ月。
ミメイの収穫はハンター文字というらしい難解な文字を少し読める様になっただけであった。
酷環境の流星街で生きていくため時折心優しい住人達にたかったり、毎日不埒者からカツアゲしたりするのがやっとである。
一通りの尋問や拷問、薬物に耐えられる訓練を受けてきたミメイであったが、所詮は巨大呪術団体を率いる“柊様”の1人───お嬢様育ちなため、スラム街タイプの酷環境に慣れるのには時間がかかったのだ。
はてさて今日もミメイはルーチンワークと化してきたカツアゲを終えて、戦利品を手に屋根の下へと身を隠す。
周辺に呪符を張り巡らせたこの小屋は、五畳一間と余りに狭いが人間も動物も近寄らせない小さな要塞となっている。
当時の呪術科学では実現不可能と言われた鬼呪装備を完成させた柊の双子の片割れであるミメイにかかれば、オンボロ小屋の魔改造程度ちょちょいのちょいであった。
人避けの呪符も貼り付けておいたお陰で、ミメイの狭っ苦しい新しい基地には誰も訪れない。
元来人間と出来るだけ関わらない様にしている彼女にとっては好都合である。
小屋の隅の木の壁に寄りかかってうずくまり、ミメイは目を閉じる。
隙間風が気になる壁を直さなければ、と頭の端っこで考えながら彼女自身の心の奥へと潜っていく。
人は一般的にこの行為を睡眠と呼ぶのだが、心に言葉通り鬼を飼うミメイにとって睡眠は心安らぐ時間ではない。
自分の精神肉体ともに最も無防備な時であり、鬼にその隙を狙われないようにある種の緊張感を持って挑むべき時間である。
変な浮遊感を味わった瞬間、ぱっとミメイの前に広がるのは真っ白な世界。
そこに黒色の欠片さえ見受けられないことに安堵して、心の奥深くに眠らせている鬼を細心の注意を払って呼び起こす。
ここで少しでも気を抜こうものなら、鬼が未明の心を侵食してしまう。
長年鬼と付き合っていながら、今まで1度も鬼に心を喰われたことのない未明としては、これからもそうしていきたいと考えている。
完全に鬼に心を喰われ果て、壊れ切ってしまった双子の姉の様になる訳にはいかないのだ。
『貴方は駄目よ、だって私を制するのが貴方の役割だもの』
そう言って自分独りで自分だけの体を使って、実験を始めたあの馬鹿真昼は、最期にちゃんと愛する男の腕の中で死ねたのだろうか。
「“
鬼の名を呼ぶ。
心は清き水鏡、少しの漣も立ててはならない。
何も無いというのにぐわりと体に嫌な圧迫感がかかる。
それを我慢したまま、ミメイは心の深層部分から半紙に垂れた墨汁の様にじわりと現れた黒い靄を睨みつける。
世界を出来るだけ白く保ったまま、黒に侵食させないまま、それを強く意識して見守ること数秒。
黒い靄が晴れた後には、長く艶やかな金髪を靡かせ妖しい赤い目を光らせる鬼。
黒基調の露出高めなゴスロリ服を身にまとったその姿は、ただの無垢な愛らしい幼女にしか見えないが、そもそも幼“女”ではないしそのような可愛らしいものではない。
その証拠に、鬼の両手、両足、首には金色の鎖が巻き付き、鎖の根元は白い世界と結びついていて、余計な動きは出来ないようギチギチに拘束されている。
そうやって拘束しておかなければ、この鬼は今すぐにでもミメイに襲いかかってくることだろう。
『やあ未明』
鈴が転がるような声で鬼は笑った。
鎖を気にすることなく、まるで親しい友人に会ったかの様に手を挙げながら。
「おはよう、タマ。今夜の目覚めはどう?」
未明は生まれつき自身の心に棲みついていた鬼───鬼宿のことをタマと呼んでいる。
親しさ故ではなく、飼い猫の様にして呼ぶことで少しでも優位性を見せ、鬼を飼い慣らす為である。
年の離れた妹のシノアには、鬼に適当なあだ名でも付けるのが鬼制御の基本だと教えたが、彼女は実践してくれただろうか。
とはいっても、あの妹は未明は勿論真昼とも次元が違うレベルの天才である為、そんな小細工をしなくとも制御可能だろうが。
『悪くないよ。この鎖さえ無ければ』
邪魔だなぁ、これ、と鬼───鬼宿が首から伸びる鎖を手に取る。
「拘束を解いたら容赦なく喰う癖に」
『まあね。
長年君に蓄積された欲望はどんな味がするんだろう。
それを考えただけで······あは、ぞくぞくするなぁ』
正体はともかくいたいけな幼児がその顔を恍惚で歪めるのは、何ともコメントしがたいアンバランスさである。
「はいはい、味わうことはないから残念ね。
それに真昼やグレン程私の欲望は美味しくはないんじゃないかしら。
大きな野望も無いし。恋もしていないし」
人間の心に際限なく湧く欲望を鬼は好む。
欲望を糧にして鬼は力を増し、いずれは宿主である人間の心を喰らい尽くしていく。
そうすれば最早人間は人間ではなくなり、排除すべき鬼となる。
それが分かっていた未明は、人間の三大欲求程度の軽いものだけを糧として鬼に与え、それ以外の欲望は鬼に渡さない───そもそも抱かない様に調整してきた。
『そう言ってられるのも今のうちだよ。
未明、君は必ず僕を求める。
あれが欲しい、それが欲しい、だから力を寄越せ。
そう叫ぶに決まってるのさ』
「力は寄越してもらうわ、これからも。
でも貴方に私の心を喰わせるつもりはない。」
鬼宿を更に押さえつけるイメージを作り、鎖をギリギリときつくする。
しかしそれを気にもとめず、寧ろ愉しそうに鬼宿は笑う。
『あは、ほんっと未明は馬鹿だなぁ。
君はあの真昼の妹なんだ。
いつかは必ず燃える様な恋をして、その炎で身を焼くんだ。
グレンと一緒にいられる場所が欲しくて、それでも妹達を守りたくて。
そうして他にやりようが無くなった末に壊れた真昼の様に、君もなるんだよ未明』
「黙って」
鬼宿は止まらない。
更に強まる拘束を鼻で笑うかの様に、声音を高くする。
『仲間も守りたい、それでいて真昼も助けたい。
あまつさえ世界を救いたい、なんて願った奴もいたっけ。
馬鹿だよねぇ。
でも馬鹿みたいに可愛いから真昼も未明も、皆グレンに惹かれたんだろ?』
「タマ、黙って」
『未明だって真昼みたいにグレンみたいに、多くを求めたかったんだろ?
多くを欲しがりたかったんだろ?
でもそれは出来なかった。
君は制御役だから。皆のストッパーだから。
君だけは欲望に身を任せる訳にはいかなかったから』
「タマ、今日はやけにお喋りね」
鎖を動かして、鬼宿の小さな体をぺしゃりと地面に叩き落とした。
無様に這いつくばった鬼宿を見下ろし、その頭を踏みつけてやろうと狙いを定めるがごとく鋭く睨みつける。
「そんなに喋りたいならそろそろ私の質問に答えて。
貴方、どうして私がこの世界に来てしまったのか、知ってるんでしょ」
ここでは柊未明はミメイ=ヒイラギの言い方が正しいことや、そもそもここが元いた世界とは違うということをそれとなく囁いて教えたのは鬼宿である。
何らかの事情を知っているものと見て、ミメイは再三鬼宿を問い詰めたがずっとだんまりである。
鬼宿の心を覗いてみようかとも考えたのだが、それは同時にミメイの心が無防備になる。
そのリスクは避けたかった。
「貴方が知っていることを吐いて欲しいんだけど」
『嫌だよ。まだ時じゃない。
君が欲望を抑えきれなくなるまで、力を欲するまで、僕を求めるまで、僕は喋らない』
前も言っただろ、と鬼宿は溜め息をつく。
「···これだけは教えて。
私はもう、元の世界に帰れないの?」
『さあ』
大分譲歩して尋ねたというのに、それにも素っ気ない答えを返す鬼宿。
「······反抗的」
鬼宿の傍にしゃがみこんで、地面に流れるさらさらの金髪を撫でる。
と同時に、指通りの良さと文句無しの艶に対して軽い憎しみを覚える。
『未明が僕を虐待するからだろ?』
「人聞きが悪いわ。
私はただ、私を喰おうとする鬼から身を守ってるだけ。
人間として当たり前の本能よ」
鬼宿の長い金髪を弄って三つ編みを作る。
手先の器用なミメイはよくこうやって妹の髪を結っていた。
三つ編みを作って、後ろでまとめて、大きめのリボンで止めて。
双子の姉とミメイはストレートなのに対し、妹はふわふわした髪質で、それがとても可愛くてよく髪を弄っていた。
『やめときなよ。
三つ編みなんかしたら、可愛い僕が更に可愛くなっちゃうだろ?』
妹は元気だろうか、と鬼宿の髪を妹の髪に重ねて丁寧に編んでいると生意気にも抗議をしてくる。
「貴方見た目は良いんだから。
遊ぶのにはもってこいなの」
完成した綺麗な三つ編みに満足して、正面からよく見る為に鬼宿の体を起こさせる。
『なら鎖外してよ。
その方が飾り立てやすいじゃないか』
細い首をこてんと可愛らしく傾げる。
その姿はショーウィンドウに飾られた精巧な人形の様である。
「いやよ。
そんなに地面とキスしたい?」
『うーん、未明のスカートの中身が見れるのは悪くないけど、やっぱり座るか立つかの方が楽かな』
「あら、私のパンツの色に興味があるの?
戦闘中に真昼のパンツに気を取られた間抜けなグレンみたいね」
『色はどうでも良いけどさ紐パンはやめときなよ、脱げやすいよ、って痛い痛い!』
両頬を容赦なくビヨンビヨンと伸ばされて、鬼宿は牙がしっかり見える程口を開けて叫ぶ。
「これしかなかったから仕方なく履いてるの。
紐パンは私の趣味じゃない」
顔が赤くなったり早口になったりはしていないが、必死の言い訳がミメイが羞恥心を抱いていることをはっきりさせている。
『男は好きだろうけどね』
「···。」
『あれ、黙った。紐パンを見せたい男でもいるの?』
「···違うもん」
弱い否定の後、ミメイは疲れた様な吐息を1つ。
「今日こそ真面目に話そうと思ったのに。
問いただしてやろうと思ったのにな」
『無理だよ。
僕は君が大好きだし、同じ様に君も僕が大好きじゃないか。
僕を本気で虐めるなんて無理無理』
「私は嫌い」
『そんな嘘言うなよ。
16年の仲だろ?それなりに仲良しなのは自明なんだからさ』
鎖を引きずりながらするりとミメイの背中に貼り付き、耳元で優しく囁く。
「うるさい」
『あは、そう言う割にあんまり嫌がってないじゃないか』
「はあ」
じゃれつく鬼宿をそのままにして、ミメイは真っ白なままの自分の精神世界を見渡す。
何も無い。
何も無く、ただ白い。
黒の一欠片も無く、清廉な白さを誇っている。
それにミメイは満足し安心して瞼を閉じようとしたのだが、突然首筋にはしるピリリとした殺気に跳ね起きる。
精神世界ではない。
体がある現実世界に何か嫌なものが迫っている。
「タマ」
首に手を回している相棒を呼ぶ。
『うん、何か来たみたいだね。
早く戻った方が良い。強いよ、多分』
「言われなくても」
次の瞬間、ミメイはガタリと体のバランスを崩して睡眠から覚めた。
背中に感じるのは鬼宿ではなく、ただの冷たい木の壁。
周りは白い世界ではなく、薄暗く埃っぽい五畳一間。
鬼との語らいから、精神世界から戻ってきたのだ。
精神世界で感じた嫌な殺気は確実に近付いてきている。
ミメイを狙ってのものかどうかは知らないが、人避けの呪符がいくつか破壊されたらしい。
素早く人差し指を噛み切り、染み出した血を使って紙切れに幾何学模様を書きなぐる。
その紙切れを両掌で包めば、ふわりと空中に浮かび上がる。
「行け」
簡易式神と化した紙切れに命じ、それがドアの隙間から勢いよく外へ飛び出していくのを見守りながら、ミメイは新たに呪符を生成する。
ストックは十分にあるがこれらはいざという時の虎の子である。
そう簡単に使う訳にはいかないのだ。
しかしながら─────
「···式神が」
消えた、そう言おうとした瞬間
『来るよ!』
と、鬼宿の声が頭に響き、開き始めたドアに向かってミメイは反射的に呪符を投げる。
まともに当たれば痺れて動けなくなる様な強い呪いを込めたのだが、呆気なくはらりと切って落とされた。
腐っても名門柊様である。
しかも呪符に関しては、その技術で姉の婚約者の座を勝ち取った深夜と鍛錬をしていた。
実力に裏打ちされた自信はあった。
それなのに簡単に防がれるなんて、とミメイは唇を噛む。
ここまで呪符が通用しない相手にこの世界で初めて遭遇したのだ。
悔しさと焦りがミメイの思考を奪おうとする、が、既の所で踏み止まり無理矢理冷静になる。
木製のドアが土煙を上げながら床に倒れるのをチラリと見てから、その煙の向こうに薄らと人影があるのをミメイは確認する。
嫌な殺気だ。
半端なことをすれば殺される、そう本能が囁き警鐘を鳴らしている。
「お前が流星街に落ちた流星で間違いないか?」
ミメイがミメイであるか、という確認。
煙の向こうの侵入者からの問いに、ミメイの背に冷や汗が伝う。
「···そうだったとしたら?」
「さて、どうしようか」
どうしよう?そんなの決まってる癖に。
こんなに殺気を溢れさしておいてよくもまあ、とミメイは腰を落とす。
「おいで、鬼宿」
瞬間、ミメイの右手に禍々しい気を放つ黒い刀が現れる。
鬼呪装備をもう使う羽目になるとは、と弱音を吐きそうになるがそんな訳にもいかない。
ゆっくりと煙をかき分けて、侵入者が姿を現そうとしているのだ。
嫌な殺気を連れて。
「具現化系か」
聞き覚えのない言葉を発して、ついに侵入者はその全貌をミメイの前に晒した。
黒い髪に黒い目。
白いシャツに黒いズボン。
一見普通の青年に見えてミメイは拍子抜けしそうになるが、纏う殺気と異様な雰囲気に慌てて気を引き締める。
「貴方、誰?
ここは私の縄張りなんだけど」
カチャリと刀を構え、どう斬りかかるかのシュミレーションをいくつか考える。
「俺か?」
丸腰の青年は人懐こそうに、まるで好青年の様に微笑んでから首を傾げる。
「人に名を尋ねる時は自分から、だろう?」
「いたいけな少女の睡眠を邪魔する不埒者に名乗る名前はないわ」
「いたいけな少女は刀を構えない、そう俺は思うが」
「世の中物騒だもの。この位の自衛は必要よ。
で、貴方の名前は。
貴方が名乗るなら、私も自己紹介の1つや2つ、いたいけな少女らしく可愛らしくこなしてあげる」
目を逸らすなよ、背中を向けたら駄目だ。
そう忠告する鬼宿に従い、ミメイは余裕ぶって笑みを浮かべる。
「俺の名前はクロロ。
流星街に落ちた流星が気になった、ただの通りがかりだ。」
「そう、ならクーさんね。
初めましてクーさん。
私はミメイ=ヒイラギ。16歳のいたいけな美少女。
多分貴方が言う通り、流星街に落っこちた流星は私のことよ」
「クーさん?」
きょとんと不思議そうに尋ねる青年───クロロに対し、ミメイは刀を構え直して答える。
「貴方よ、クロロさん。略してクーさん」
「はは、そうか。
そんな呼ばれ方は初めてだ」
愉しそうに口角を上げるクロロ。
「クロさんの方が良い?
それともちゃん付け?」
余裕の無さを誤魔化す様に、他のあだ名の候補を挙げてみる。
「いや、クーさんで構わない」
「それでクーさん、私に何の用?」
返答次第では······いや返答を待たずに斬りかかるべきか、地面を割るべきか、と必死にミメイは考える。
が、
「言っただろう、ただの通りがかりだと」
そう、けろりとした顔で嫌な殺気を霧散させたのだった。
─────────
「カツ丼2つ」
この世界に来て、初めて食べ物を口にした───少年に奢ってもらったが───飯屋に、ミメイは足を運んでいた。
右頬に深く刻まれた傷が特徴的な強面の飯屋のオヤジに、指を2本立てて注文する。
この1ヶ月毎日1度は訪れているせいか、彼には顔を覚えられており、今やお得意様として少しサービスされることもある。
カウンター席の足が取れかけの椅子に注意深く腰を下ろし、ミメイはカウンターに頬杖をつく。
ヒエとアワ8割のご飯を丼に盛るオヤジの横顔をボケっとみていれば、
「ミメイ、夜中に2人分も食ったら腹壊すぞ」
と忠告される。
このオヤジは昔娘を亡くしているらしく、その娘が生きていればミメイの歳ぐらいだったとか。
やけに父親ぶってミメイの面倒見てるな、とこの前他の客に冷やかされていた。
それに対し何も答えないのが無口で無愛想なのが有名なオヤジである。
しかしミメイにだけは違う。
積極的とまではいかないが、ポロポロとミメイに愚痴を零したり、ミメイの話を黙って聞いてくれたりする。
柊の長たる“父上”しか知らないミメイからすれば、今の彼女とオヤジの関係が擬似親娘の様なものかどうかは判断がつかない。
だが、この感情には名前を付けない方が良いのだ、それだけは分かっていた。
名前を付けてしまえば、必ず今以上を欲するのが人間だ。
ミメイは己に欲望が湧くのを良しとはしない。
多過ぎる欲望は鬼を肥えさせ、いずれその鬼は己の心を喰い殺すのだから。
「あら、まさか私が2人分食べるとでも?
私だって歳頃の乙女なんだから、体型には気を使ってるの」
オヤジから最速で出来上がったカツ丼とスプーンを受け取り、代わりに昨日乱暴者からカツアゲした銀の腕輪を渡す。
「歳頃の乙女が夜食にカツ丼か」
その腕輪が本物の銀製であることを素早く確認したらしく、黙ってミメイの前にカツ丼をもう1つ置いた。
「ちょっと早い朝ご飯よ。
···クーさん、まだ入ってこないの?」
飯屋の隣にあった古書店に引き寄せられたままのミメイの連れ。
先程殺し合いそうになった相手と、どうして今2人で飯屋に来ているのかはミメイにもよく分からないが、カツ丼が冷めないうちにとドア越しに彼を呼んでやる。
何か掘り出し物でも見つけたのか、ホコリ臭い分厚い本を手にしてミメイの連れは飯屋のドアを開ける。
「俺の意見は聞かないのか」
ミメイの隣に座り、目の前に出されたカツ丼を少し恨めしげに見る男。
やはり夜中に油物は駄目だろうか。
「何でもいいって言ったのは貴方よ、クーさん。
それに私の故郷では、情報を吐かせる時にはカツ丼を出すのが定番なの」
「この場合吐かせるのはどっちなんだ」
肉が少ないカツを咀嚼しながら尋ねる。
「どっちも。
私も色々聞きたいし、貴方も私に聞きたいことがあるんでしょう。
貴方が私を本気で殺すつもりなら、最初入ってきた時にすぐ殺してるだろうし。
でも私はまだ生きていて、つまり私と仲良くお話したいのかな、そう思うのは普通もの」
どうかしら、とそこまで難しくもない推理を自慢げに披露する。
勿論自慢げなのは、相手に自分の心を読み取られない為の演技である。
─────────
十数分前、ドアが壊れて風通りが良くなった小屋の中で睨み合っていた2人だったが、侵入者───クロロの方が殺気を消したことにより
思わずミメイも警戒を緩めそうになる。
が、鬼呪装備を解かないままにする。
そんな重い沈黙が場を支配する状態で、空気を読まずに口火を切ったのはやはりクロロだった。
「行くか」
ただそれだけを口にして、ミメイに背を向ける。
ついてこい、とでも言うようなその様子にミメイは面食らい、意味が分からないと頭を混乱させていた。
そもそもこのクロロとかいう侵入者は、呪符を破って式神を潰してまでミメイの住処に入り込んできたのだから、初めから自分を殺すつもりなのだとミメイは思っていた。
実際向けられた殺気は、体が岩の様に重くなったかと錯覚するほどのもので。
恐らくこのまま殺り合えば、ミメイは半殺しにまでされただろう。
まあ半殺しになってからが鬼を飼う人間にとっては勝負であり、相応のリスクを背負って鬼の力を引き出せば可能性は無限大である。
だからミメイは自分が負けたとは一寸たりとも思っていない。
寧ろこれからだ、と冷や汗を流しながらも自分を叱咤していたのだが。
「え?」
拍子抜けして、とうとうミメイは鬼呪装備を解く。
鬼宿が勝手に刀状態をやめようとしたのもあるが、それだけではなくミメイの力も抜けていた。
「クーさん、貴方本当に通りがかりなの?」
冗談でしょうと言いたくなるが、感情の起伏が感じられないクロロの黒い瞳を見て、言葉に嘘はないのだと悟る。
壊したドアを踏みつけて、とっとと小屋から出て行くクロロ。
早くついていかないと見失うよ、と他人事の様に笑う鬼宿に弱冠苛つくも、彼は足が早いらしくもう路地の向こうを曲がっている。
状況把握がまだ出来ていないが、彼はこの世界で初めて出会ったミメイ以上の強者であることは確か。
鬼宿の様子から鑑みても、何かしらミメイの求める情報を持っているに違いない。
というより持ってなさい、これだけ呪符破壊したんだからそのツケ払え。
それが路地裏に無残に落とされた呪符を見たミメイの正直な感想である。
─────────
回想終了。
ひとまず足早なクロロに追いつき、それから落ち着いて話せるのは、と考えたミメイは彼と2人でこの飯屋に足を運んで今に至るのだった。
お嬢様育ちらしくカツ丼を上品にゆったりと食べながら、ミメイはクロロを観察する。
顔は悪くない。寧ろ良い。
無表情なのが玉に瑕だが、男がずっとニコニコ笑うのも胡散臭いような。
ああでも、深夜はいつも笑っていた。
髪質は深夜の様にサラサラストレートタイプだが、色はグレンと同じ黒髪。
グレンは少し癖毛気味だったから時々寝癖が跳ねていて可愛かった。
ついつい自分が知っている男達との共通点を探そうとしていることに気付き、自嘲的な笑みが漏れそうになる。
笑いを噛み殺し、肉を噛み下し、質の悪い油を飲み下し、少しだけ気持ち悪くなった胃を押さえる。
この嫌な気分をどうにかしたいが、この街に綺麗な水なんて物はない。
良くて澱んだ水、悪くて下水である。
まさか自分がそんなものを飲む羽目になるとは、前の世界にいた時ミメイは夢にも思わなかった。
当初この場所の余りの汚さにギョッとして、綺麗な水を手に入れるまでは一滴も汚れた水を飲むまいと決意したミメイだったが、それは3日で破られた。
ミメイが綺麗な水と認められるものなんて、ここには無かったからである。
それが分かって諦めるまで、どうにか飲める水はあるというのに無駄な意地を張った。
柊家で水抜き拷問に対する訓練を受けていなければ、早々に脱水症状で死んでいただろう。
毒入りの水は別に良いのだ、ミメイは訓練で毒慣れしている。
従って水の中で揺蕩う有害物質も、ある程度は耐えられるのだろう。
泥水など恐らく何の問題もない。
鬼宿のサポートがあれば最悪死ぬことだけはない。
だがそれでも気分的な問題で、ミメイはこの街の水を進んで飲むことは無い。
勿論料理にも濁り水が使われていることが殆どだが、飯屋のオヤジの拘りのお陰かここで使われているのは綺麗な方である。
だからそれなりに値段が張るのだが。
ミメイをか弱い少女と侮って襲いかかる乱暴者───ミメイにとってはただの良いカモ───から、毎日カツアゲをして儲けているミメイには関係の無い話である。
1人で美人局してやがるぜこの鬼女め、と顔見知りになった他の客には言われたが失礼な話だ。
ミメイがしているのは正当防衛。
か弱い少女風の容姿に勝手に引っかかる男が悪いのだ。
そして襲ってくるのが悪いのだ。
ミメイを組み伏せる人間の男など父の柊天利、兄の柊暮人、甘々な判断基準の元でのおまけでグレンと深夜ぐらいだろう。
さて、そのミメイと同じかそれ以上の力を持つ人間の男リストに、期待のニューフェイスである。
ボケっと継続したままだった観察をやめ、隣で勝手にプリンを注文する男の名を呼ぶ。
「ねえクーさん。
お腹もいっぱいになったし、そろそろ質問しても良いかしら。
あとプリンの分は払わないわよ」
空になった丼をオヤジに返却して、プリンのスプーンを咥えるクロロを睨む。
「プリンもう1つ」
飄々とした顔で追加注文。
その魂胆が見え見えで思わず舌打ちしたくなるが、育ちの良いミメイはそんなことはしないのだ。
「私にも食わせてついでに自分のも払わせようとしないで。
いい性格してるわ、貴方。
······オヤジさん、私はプリン要らない」
無駄な出費はしない主義のミメイは、溜め息をつきながらカウンターの向こうのオヤジに断る。
しかしガラスの器とスプーンをすっと目の前に差し出され、ミメイは眉を顰める。
「サービスだ。お前の連れの分も」
へ?と上を見れば、そこにはオヤジの仏頂面。
「···ありがとう」
些細なことに高鳴る胸を、湧き上がる感情を、欲を抑えながらミメイは呟いた。
甘い物最近食べてないなぁ、と前ボヤいていたのを覚えていてくれたのだろうか。
「礼は要らん」
ふいと背を向け、店の奥に姿を消すオヤジ。
それを見送ってから、ミメイは冷たい金属製のスプーンでプリンを掬う。
小さい頃当たり前の様に食べていた有名店のプリンとは比べ物にならない。
しかし昔体調を崩したミメイの為に、態々深夜が自分で買ってきてくれたプリン───コンビニの安物だった───と同じくらい、それと同じくらいおいしいのだ。
「あーあ、ばっかみたいね」
甘さの足りない、卵と牛乳が明らかに足りないプリンを口にして、ミメイは頬杖をつく。
「どうした、そんなにまずいか」
既に器を空にしたクロロが、憂鬱げなミメイの方を見やる。
「まずくないわ。美味しくもないけど、まずくないの。
味なんか関係ないのよ、ただ·······味が1番じゃないってだけ」
1番はね、きっとそういうあれなのよ、言葉にして言えないけれど。
言ってしまったら、絶対に欲しくなるから。
「お前は不思議な奴だな。
流星街に落ちてきた流星の顔がどんなものかと思って見てみれば、まさか女だったとは」
いたいけな美少女だったか?とさっきのミメイの自己紹介をなぞる。
「あら、空から落ちてくるのは美少女って相場が決まってるのよ」
中身の無くなったガラスの器にスプーンを転がし、ミメイは口角を上げた。
「親方に報告されなかったのか」
少年の様に目を光らせるクロロはどうやら、ミメイの世界でも人気だったあの話を知っているらしい。
「残念なことにお姫様抱っこで受け止めてくれる男はいなかったもの。
これじゃ天空の城は探しに行けないわね」
「俺と一緒に探してみるか」
冗談交じりにミメイに囁く。
が、
「口説き文句としては3点。
貴方の顔の良さでオマケの30点。
アドバイスとしてはそうね、一夜遊びの相手はもう少し選んだら?」
貴方なら幾らでも捕まえられるでしょ、と薄ら笑いを返す。
「やれやれ本気なんだが」
「どうだか。
それに戯れはここまでにしましょう。
夜明けを貴方と迎えるのなんて嫌だもの。
お互いに聞きたいことは早く聞いちゃいたいわ」
短針が真っ直ぐ上を差す壁掛け時計を横目に、ミメイはクロロの方に半分体を向ける。
ほんの少し鋭い視線同士を交わしてから、クロロが肩をすくめる。
ミメイが1番欲しがっているのは情報だと最初からクロロには分かっていた。
戯れに侵入してみた小屋で、聞かれた事に適当に答えてやるか、それこそミメイを戯れに殺してしまっても良かった。
それを今の今まで引き伸ばしたのは、クロロの殺気に対して一丁前に殺気を返してきたミメイという少女に興味を持ったからである。
そもそも容姿が珍しい。
この街に似合わぬほど造形が整っているのは勿論だが、何より暗闇で浮かび上がる様にして靡いていた紫の髪。
ついこの前狩ったクルタ族の眼球同様、世界7大美色のうちの1つなのではないかとクロロは予想した。
昔読んだ世界7大美色に関する古い文献に、ミメイの髪と特徴を同じくする髪の情報が載っていた気がしたのだ。
確証はない。
だがそうなのではないか、と思える程の妖しい輝きが彼女の髪にはある様に思えていた。
そして恐らく、本人の自覚は無いらしいが念能力に目覚めている。
凝でちゃんと見た訳ではないが、突然現れたあの刀。
それから考えると具現化系か。
また、ミメイの住む小屋までに沢山貼られていたトラップ。
紙を使っていたがそれを操ることから考えて操作系、いや変化系や放出系の片鱗も見られる。
クロロと同じく成長と共に自然に精孔が開いてしまったタイプかもしれない。
その特異な生い立ちの故の特質系の可能性も考えられる。
クロロの頭は恐ろしい速さで回転していた。
目の前にいるこの少女をどうするのが1番良いのかと。
念をちゃんと仕込めば、旅団のメンバーとも互角に戦えるまでになる。
ならば旅団に入れるか?
いやそれは取り敢えず後だ。
ひとまず、何故流星になって落ちてきたのかを聞いてからだ。
最初から、流星街に落ちた流星という気の利いた洒落を体現した何者かが気になっていたのだから。
ふっと笑みを浮かべ、クロロはミメイの求めに応じた。
「良いだろう。
まずは俺からだ」
「···いいわ。何を知りたいの?
ちなみにスリーサイズは有料よ」
自分が先ではないのか、と文句を言いたいのを我慢しているのが見て取れる。
案外分かりやすい女だ、しかしそれも真意を悟られない為の演技か、とクロロは思考を止めずに口を開く。
「スリーサイズはまたの機会に。
何故お前は流星になって落ちてきた?」
「あは、それ聞いちゃうのね。
天空の城を追い求めるム〇カ大佐から逃げてきたのよ、じゃ駄目だろうし」
紫の髪をクルクルと指に巻き付けて遊びながら、ああヤダヤダと唇をへの字にする。
「笑わない?」
んーだのあーだの、言葉未満を漏らした末にこてんと首を傾げる。
「いや笑う」
「そこで笑わない、って言うのが様式美なんだけどな」
クロロの即答に思わず笑いが腹から湧き上がる。
そういう空気を読まない所、セオリーを無視する所、グレンに少し似ている。
そんなとりとめのない事を考えて足を組む。
ミメイ達が通っていた第一渋谷高校の制服の灰色スカートが捲れ上がって、下の白いフリル下地部分があらわになった。
それをぼんやり見下ろして、このフリルを喜んでいた奴がいたな、と思い出す。
『フリルが可愛いでしょ、お姫様みたいで』
そう言って、2人並んで座った桜の木の上で無邪気に笑った真昼。
高校の入学式の前にこっそり2人で着てみて、笑い合ったあの夜。
可愛いのもお姫様みたいなのも、グレンが同じ高校だから嬉しかった癖に。
グレンがいなきゃそんなに思い入れも無かった癖に。
ああ、恋する乙女には敵わない。
そう、恋する乙女には敵わなかったのだ。
感情を制御したままのミメイなんかが勝てる訳が無かった。
真昼と違って欲望を押さえ、鬼の力を制御したままのミメイが勝てる筈が無かった。
最期の最期まで希望にすがろうと足掻いて、鬼に取り憑かれて壊れた恋する乙女に勝てる筈が無かった。
分かっていたことだが、自分が真昼に勝てないのは分かっていたことだが、それでも
「···姉妹喧嘩をしたのよ。
最初で最後の喧嘩を」
そこで1度唾を飲み込み、懺悔するかのように軽く目を瞑る。
「姉は真昼っていう名前で、見た目は瓜二つの双子なのに何もかも私の上をいっていた。
だから負けた。呆気なく。
殴られて、飛ばされて、それで私は流れ星になったの」
どう?とクロロの方を見て首を傾ける。
「そうか」
「笑わないの?」
少しだけ目を見開いてはいるが、ほぼ表情が動いていない彼に拍子抜けする。
「妹を流れ星にしたお前の姉に会ってみたい」
「無理よ、多分姉は死んだから」
それに世界が違うから会えやしない、という続きは言わずにミメイは捲れたスカートを戻す。
それから気を取り直して、と前置きしてから質問する。
「じゃあ次は私ね。
クーさんの強さはどこからきてるのかしら」
「逆に聞こう。お前は念を知っているか」
「ねん?」
耳慣れない言葉に首を捻ると、何故か心の奥深くで鬼宿が小さく笑った気がした。
「やはり知らないのか。
ならば嫌でも自覚させよう」
「え、」
ミメイは嫌な予感がした。
クロロの目が笑っていない。
いや笑ってはいるが、まるで実験動物を見るようなそれである。
鬼宿が笑っていたのはこのせいか。
笑うよりも、警告するなり何なりしろと文句を言いたいがもう遅い。
腕を掴まれた。
「死ぬことは無いだろうから安心しろ」
そう脅しの様な言葉を投げつけられた瞬間、腹に熱い衝撃がはしる。
いや腹だけではない。
体全身が熱い、熱い衝撃が身体中を回る。
「あ······」
血が沸騰したかの様な、何かが自分の中で弾けたかの様な、嫌な感じがする。
座ったままだというのに、やけに苦しい。
疲れた。息がしにくい。
血を大量に、けれど少しずつ失っている様な倦怠感。
「これ、何?」
声を発するのにもやけにエネルギーを消費する。
クロロが何かしたのは確かだ。
力なくカウンターに突っ伏したミメイを黙って見下ろしているのだから。
「これが念だ」
「ねん···?」
「お前の体から何か出て行くのを感じられないか」
「出血はしてないけど。傷はないし、あれはまだの筈だし。
······え、やだまさか」
鈍痛はない下腹部に手を当てて、周期的に今来る筈は無いと考えるのだが、まさかクロロはミメイの周期をいじって······
「そんな訳あるか」
今の所ミメイの前では初めて、クロロは大きく表情を変えた。
焦った様な呆れたような、心外だと言わんばかりの顔。
「そうよね。流石にないか。
もしそうならクーさんにはもれなく変態のレッテルが貼られてたわ」
「それよりも感じられないか。
お前から今出て行って、体の周りにある何かを」
話を強引に変える様にクロロはミメイに尋ねる。
「何か···ねえ。
何か何か······うーん、特には感じられないけど」
体を起き上がらせることが出来ず、カウンターに潰れ込むミメイに鬼宿が囁く。
『馬鹿だなぁ未明は。
イメージしてみなよ。自分の周りに何かがあるって。
呪符や鬼呪装備と同じだ。
そこには普通の人間には見えない力がある』
「イメージ、ねえ」
自分の周りに、と復唱して自分の体が何かで覆われている様なイメージをする。
ぼんやりと、ふんわりと、少し暖かくて、熱っぽくて、若々しくて、そんな······
「あ、これか」
ふと、自分の体がたった今思い浮かべた何かに覆われている感覚を覚える。
その暖かい何かが自分の体から少しずつ離れていくのが名残惜しく、体に留めようとイメージをすればその通りになる。
「ああ、早いな。
精孔がひとりでに開きかけていただけの事はある」
そのミメイの様子を見て、クロロはゆるりと口角を上げた。
「ミメイ、それが念だ」
「ねん?」
「ね、ん······念だ」
ミメイにとってはまだ難解なハンター文字をカウンターになぞり書き、クロロは繰り返す。
新たな世界に落っこちて1ヶ月、ミメイのこれからを大きく変えていく念との出会いだった。
鬼───鬼宿(男の娘)とミメイちゃんは仲良し。
ミメイちゃんの念の習得は最速です。
元のスペックは高いので。
鬼呪装備ってどこか念能力に似てるので。
あとは最強の自分をイメージするだけです。