ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜 作:萊轟@前サルン
ダーククローズ編
ある日、戦兎が目を覚ますとそこは何もない真っ白な空間だった。
「ここは?」
と、思った瞬間、辺りが暗闇に包まれていき、正方形のビジョンが戦兎の目の前に映し出される。暫くすると正方形のビジョンは何かを映し始めた。映し出されたのは椎名龍一だった。
「ダーククローズか…これを見れば椎名龍一がダーククローズになった理由が分かるかもしれない…!」
戦兎はそう思い、正方形のビジョンに映し出された映像をその場に座って見始めるのだった……
エピソード・ダーク〜暗々裏の生誕〜
「(転校生か…どんな子なんだろう?)」
椎名龍一はそう思いながら教卓側にある教室の扉を見つめていた。数分後、扉が開いた。開いた扉からは紫色の髪をした美しい女の子が入ってきた。
「うわぁ…美しいなぁ…!」
転校生の姿を見た椎名龍一は隣の席の人にも聞こえないような小声でそう呟く。椎名龍一は黒板に描かれた十六夜リコという名前とリコの顔を交互に見る。そしてリコが自分の席に座るまでずっとリコを見ていた。
「(なんか今までに味わった事のない新鮮な感じ…まさか、恋!?)」
恋愛初心者の椎名龍一はここで初めて恋心というものに気づく。椎名龍一はバクバクと脈を打つ左胸を押さえながら放課後までの間のどこかの休みでリコに話しかける事を決心する。そして昼休み、椎名龍一は廊下でリコに会う。
「あ、えっと…確かお前、十六夜リコだよな?」
「そうだけど…何かしら?」
「おっ、俺は椎名龍一!よ、よろしくな!」
「ふふっ…声震えてるわよ!緊張してるの?」
「えっ!?」
「もっと気軽に接してくれていいわよ!こちらこそよろしくね!」
リコはそう言いながら微笑む。ここで椎名龍一の心はリコの色に染まった。一見、好きになる理由が簡単すぎるように見えるが思春期の恋の始まりというものは実際こういうものなのだ。
「リコ……」
「龍一君、リコがどうかしたの?」
「うぉ!朝日奈!?いつの間に…」
「次の授業は移動教室だよ?早く行かないと遅れちゃうよ!」
「え、あっ、あぁ…そうだな」
みらいにそう言われた椎名龍一はハッとなり、教科書とノートを持って次の授業の場所へと移動していくのだった…その後、椎名龍一は一日中リコの事ばかりを考えており、いつの間にかリコに夢中になっていた。だが、そこから数ヶ月経ったある日事件は起きた。その事件こそが椎名龍一をダーククローズにした原因だ。
ある日の朝、登校するといつものようにみらいとリコが話していた。椎名龍一はみらいとリコが何を話しているのかバレない程度まで近くに行き、盗み聞きする。
「リコ、右手首につけてるのは何?」
「これは万丈君から貰った星のマークが描かれたシュシュよ」
「いいなぁ〜!流石はリコの彼氏だね!」
みらいのこの言葉を聞いた瞬間、椎名龍一の心は鋭い弾丸で撃ち抜かれた。鋭い弾丸(ただの言葉)であるが、椎名龍一にとってそれはただの言葉ではなかったようだ。
「えっ…十六夜って付き合ってるの!?」
「あっ、龍一君!ふふっ…そうよ!」
「そっ、そうなのか…!んじゃ、彼氏さんとお幸せにな」
「ありがとう!」
椎名龍一はリコにそう言い、教室から出ていった。教室から出た途端、椎名龍一の目の前が真っ暗になり、それと共に椎名龍一の中の何かが変わった。
「あは…あはははは…俺、好かれてないのか。いや、好かれてないじゃ無くて好かれなきゃいけないんだ…彼女は俺が守らなきゃいけないんだ」
「フン、
「誰だ!?」
椎名龍一は謎の声を聞いて後ろに振り返る。だが、後ろには誰もいない。いや、誰もいないどころか本当に辺りが真っ暗になった。
「な、何だよ…これ!?」
「やあやあ、少年…我が名はダークビルド:」
「ダークビルド!?誰だかわからないけどここから出してくれ!」
「出してやろう……この力を受け取ってくれたら」
「何の力だよ!リコを守れる力か?」
「そうだ、十六夜リコを守れる力だ。この力で十六夜リコに近づく悪しき戦士、仮面ライダークローズを排除せよ…」
「やってやる、早く力をくれ!」
「そう慌てるな…すでに力は宿っている。完全に覚醒しきるのはまだ先だが、覚醒した時の力はものすごいものになるだろう」
「あはっ…これで俺もリコを守れる…!リコ、待っててくれ!」
「フフッ、ではまた会おう」
ダークビルドは椎名龍一に力を渡した後、どこかへと消えてしまった。ダークビルドがいなくなるのと共に当たりの闇が晴れる。椎名龍一はさっきいた教室前の廊下に立っていた。
「フフッ…俺のシャドウがほとばしるぜ…!」
椎名龍一はそう言いながら、ニヤリと怪しい笑みを浮かべた後、教室へ戻っていくのだった……
エピソード・ダーク〜暗々裏の生誕〜 END
ここで映像は終わった。戦兎は椎名龍一がダーククローズになった理由を詳しく知った。
「なるほど…椎名龍一は異常な愛を持ってしまったせいでダーククローズへと変貌したのか」
「フッ、どうやら1人の少年が我が駒へと成長する過程を見たようだな…」
「誰だ!?」
「我はダークの王にして最強の存在……いずれまた出会うだろう、桐生戦兎よ」
「何だと?」
「フッ、この先の無数に連なる旅路をどう選ぶのか楽しみにしてるぞ…」
謎の存在は戦兎にそう言い残して消えていった。と、謎の存在が消えると共にまたビジョンに何かが映し出された。
「今度は何だ…?」
戦兎は辺りを軽く見回した後、再びビジョンの方に顔を向けてビジョンに映し出された映像を見始めるのだった…