ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜 作:萊轟@前サルン
戦兎「第1章は奴の計画の始まりに過ぎなかった…!?」
戦兎とみらいは傷だらけのリコを連れて魔法界に来た。魔法界でやる事は2つあり、1つはリコを魔法病院に連れて行く事、もう一つはまだ倒れているであろう仲間達を助ける事だ。
「みらい、リコを頼んだ!俺は万丈達の元へ向かう!」
「分かった!…けど、万丈くん達の居場所分かるの?」
「分からない…だけど、皆とは長い付き合いだ。きっと見つけられるはず!」
「うん、そうだよね!じゃあ私、リコを連れて魔法病院に行くね!」
「分かった!」
みらいは戦兎にそう言い、ホウキで魔法病院のある方へ向かっていった。戦兎はライドビルダーに乗って皆を探しに行く。
「(シャドウビルド…さっき俺と戦った時の言動からしてまだ力を隠しているはず。帰ったら何かしら対策しなければ…!)」
戦兎が心の中でそう呟きながらライドビルダーを走らせていると突然、携帯が鳴った。
「誰だ…?」
戦兎が電話に出てみると、携帯からは聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「おい、戦兎!!俺たちは無事だぞ!」
「その声は…万丈!?」
「あぁ、プロテインの貴公子 万丈龍我だ!」
「そんな様子じゃ大した怪我もしてなさそうだな」
「まぁな、俺は奴に気絶させられただけだし…」
「で、お前はどこにいるんだ?」
「魔法病院だ。まだ目を覚ましてないけど幻さんとカズミンの2人もいる」
「ことはは?」
「分からねぇ…ただ、この魔法界からは出てないと思うぜ!」
「分かった。とりあえず万丈の所にはみらい達が来るはずだ!万丈はみらい達が来るまでにカズミンと幻さんを人の邪魔にならないような所まで動かしておいてくれ!」
「分かった」
戦兎は万丈にそう伝えて通話を切り、ことはを探しに魔法界の中心部へと向かうのだった。
「ことは…」
魔法界の中心部へ向かう途中、戦兎はある物を見つけた。それはことはの物と思しきカチューシャだ。
「これは…!」
戦兎はバイクから降りて落ちていることはのカチューシャに近づく。ことはのカチューシャは禍々しいオーラに覆われており、触れた瞬間、戦兎の全身に強烈な憎悪や険悪というようなネガティブなイメージの感情が走る。すぐにカチューシャを手放した為、戦兎はネガティブな感情に体を蝕まれることはなかったが、このままカチューシャを持ち続けていたらネガティブな感情に体を蝕まれ、心と身体が悪に染まっていたであろう。
「ことはのカチューシャとはいえ、こんな恐ろしいオーラが纏われてる状態では拾えないな…」
と、戦兎が再びバイクに乗り、バイクを走らせようとした時、ことはから電話がかかってきた。
「ことは!!!お前、大丈夫なのか!?」
「せっ…戦兎…私は魔法病院から少し離れた場所にある山の頂上にいるよ…!なるべく早く…来て!!」
「分かった!………ことはは山にいるのか。なら、ホークガトリングで飛んで向かった方が早いな」
ことはは戦兎にそう言い、通話を切る。ことはの居場所が山だと分かった戦兎はホークガトリングフォームに変身し、空高くへと飛び、ことはのいる場所まで向かっていくのだった。
そして数分後、戦兎はことはのいる山の頂上に着いた。ことはは傷だらけで倒れており、服が破けて肌が露出した部分からは血が流れている。
「おい、ことは!!!」
「せんと…来てくれたんだね…!」
「酷い傷だ……とりあえず、お前も魔法病院に行くぞ!!早く治してもらわなきゃ!!」
「だ、大丈夫…大丈夫だからみらいの家に帰ろ?」
「ダメだ。家へ帰るよりお前の傷を治す方が先決だ!!」
「せんと……」
「んじゃ、行くぞ!!しっかり掴まれよ!」
戦兎はそう言いながら、ことはを抱きかかえて再び空高くへと飛び上がる。そして魔法病院へ向かうのだった。
空を飛ぶ事約数分、魔法病院に着いた。戦兎はことはを魔法病院のスタッフに任せ、万丈達の元へ行く。
「万丈!」
「戦兎、やっと来たか!あ、カズミンと幻さんはお前が来る少し前に目覚めたぞ!!」
「…で、2人はどこにいるんだ??」
「先にナシマホウ界に帰った。特訓するんだってよ」
「…ったく、今度の敵は特訓すれば勝てるような敵じゃないのになぁ…」
「あっ、そういえば、お前は知ってるか?」
「??」
「リコがシャドウビルドとの戦いで重傷を負った事」
「まじかよ!?急いでリコを連れて病院の中へ入るみらいを見て何かしら怪我してるんだろうな…とは思ったが、重傷だとは思いもしなかった!!戦兎、先にナシマホウ界に帰ってろ!!」
「いや、俺は皆と帰りたい!だから、待ってる」
「……わかったよ。んじゃ俺はリコの所に行ってくる」
万丈はそう言い、魔法病院の中へと入っていく。リコ達が治療をしてもらっている間、戦兎は近くのベンチに座り、携帯の画像アルバムを開く。そして笑顔のみらいが写っている写真を見る。
「やっぱりあいつは可愛いなぁ…大学卒業して早く…」
「早くって何?」
戦兎はみらいの画像を見ながら何かを言おうとしたが、誰かが来たせいで言いたかった事を言いきれなかった。
「み、みらい!!ど、ど、ど、どうしてここに!?」.
「万丈君がリコを見るって言うから何もする事なくなっちゃってさ…ここに来ちゃった!」
「いつからいたんだ!?」
「戦兎が私の画像を見ながら私の事を可愛いって言ってくれた辺りから!!」
「まじかよ」
「可愛いって言ってくれたのすごい嬉しかった!可愛いって言ってくれたお礼あげる!」
みらいはそう言いながら戦兎の右頬に軽くキスをする。キスをされた戦兎の顔は真っ赤に染まり、今にも倒れそうなくらいになっていた。
「あ、ありがとよ…///」
「ふふっ…どういたしまして!」
みらいは戦兎の隣に座り、戦兎に寄りかかる。戦兎は心臓の鼓動をバクバクにさせながらもみらいの右手を握る。
「なぁ、みらい。皆と一緒に笑顔でナシマホウ界に帰ろうな!」
「うん!!」
戦兎とみらいはその後、ベンチに座ったまま眠りについた。2人が寝ている間に2人の前を通りかかった人達は皆、2人の事をベストマッチなカップルだと思ったのだった…