ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜   作:萊轟@前サルン

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68.対をなす龍

 ダーククローズとの戦いから数日後の朝、万丈はアルテミスクローズの暴走を抑える為に一人で特訓していた。

 

「暴走を抑えるならひたすら特訓するしかねぇ!!」

 

「…万丈くん、アルテミスの暴走は物理的な何かを受けて起こったわけではないから特訓しても意味がないと思うわよ?」

 

「無意味だとしても俺は絶対に暴走を克服してみせる!この特訓でな!!」

 

「特訓するより戦兎くんにアルテミスの暴走を抑える研究をしてもらった方が早いと思うけど…」

 

 リコは万丈の特訓を横で見ながらズボンのポケットからスマホを取り出し、戦兎へ電話をかける。

 

「リコ、どうしたんだ?」

 

「戦兎くん、アルテミストリガーの暴走を止める方法とかないの?」

 

「……無いわけではないが、今の段階ではまだ未完成なんだ」

 

「未完成……ね。どのくらいの時間がかかりそうなの?」

 

「それは…アイツ(万丈)次第だ」

 

「万丈くん次第それってどういう…」

 

「あっ、悪い。この後、ある会社に行かなきゃならないんだ!んじゃ、切るぞ!」

 

「ちょっ、ちょっと!戦兎くん!?」

 

 戦兎は用事があることを思い出し、電話を切った。リコは深いため息をつきながら万丈の特訓を終わるまで見守り続けるのだった。

 

 

 

 その頃、ダーククローズこと椎名龍一はとある会社を訪ねていた。そして今、椎名龍一の目の前には全身が白色に包まれているこの会社の社長と思しき男がいる。

 

ヤツ(ダークビルド)から話は聞いている。力を貸してあげよう…」

 

「助かるぜ…社長さんよぉ」

 

「ただ、今すぐに貸すのは無理だ」

 

「何故だ?」

 

「君の持つダーククローズドラゴンとドライバーの性能を上げているからだ」

 

「なるほど。じゃあドライバーが無い間、俺は何を使って戦えばいいんだ?」

 

「ザイアスペックとこの'"フォースライザー&スラッシングドラゴンプログライズキーを使いなさい」

 

「プログライズキー?聞いた事ないな」

 

 椎名龍一は初めて見るプログライズキーに少々興味を示す。そして数秒間見つめた後、プログライズキーをズボンのポケットへしまう。

 

「んじゃ、社長さん。俺はこれで失礼する」

 

「分かった、ではまた…」

 

 椎名龍一が去った後、社長の男は指を鳴らして誰かに合図を送る。合図を聞いた"誰か"は部屋のウォークインクローゼットの中から出てくる。

 

「君がヤツ(椎名龍一)と同じドライバーを持ってるとはね。しかも、そのドライバーの資料までくれるとは…」

 

「アンタの研究の役に立ててよかった…なるべく早くドライバーを完成させてくれ」

 

「そう慌てるな…近いうちに完成する」

 

「任せたぞ」

 

 部屋に隠れていた"誰か"は社長の男にそう言って足早に社長室を出ていき、部屋の外で仲間に電話をかける。

 

「もしもし、俺だ」

 

「どう?そっちは順調そう?」

 

「あぁ、今のところは順調だ。後はヤツらがどう動くかだ…万が一の時のために準備だけはしておけよ?」

 

「分かった!」

 

 "誰か"は仲間にそう言い、電話を切る。そして会社を出ていくのだった。

 

 

 そしてそれと同時刻、某所ではダークビルドが妻であろう女性と自分が写った写真を見ていた。写ったとはいえ、写真の自分の顔の部分は破れている。

 

「……もう少しだ。それまで待っていてくれ」

 

 マスクで素顔は隠されているものの写真を見ているダークビルドからは悲しげな感情が読み取れた。余程写真の女性に特別な想いがあるのだろう。

 

「ダークビルド様、今帰りました!」

 

「どうだった?上質な力は貰えたか?」

 

「いえ、上質な力はまだ未完成だそうで…今回は本家クローズやビルドが知らない様な力を貰いました!」

 

「なるほど…ならば、クローズを相手にしてその力を試してみろ」

 

「試すのはいいのですが、今の私では本家クローズに勝つのは難しいのでは…?」

 

「勝ち負けはどうでもいい…試せればいいのさ。あとついでにこれも渡しておこう」

 

「これは?」

 

「これはエンドマテリアルとリンクルストーンを融合して作ったエクリプス・リンクルストーンだ。これを十六夜リコの胸元にかざせ…面白いことが起きる」

 

 ダークビルドは椎名龍一にエクリプス・リンクルストーンを渡す。エクリプス・リンクルストーンからは禍々しい気を感じる。

 

「わっ、分かりました…!今度の戦いで(十六夜リコ)に使ってみます」

 

「よろしい…」

 

 椎名龍一の言葉を聞いたダークビルドはマスクの内でニヤリと不気味な笑みを浮かべるのだった…

 

 

 その後、椎名龍一はアジトから出て万丈とリコがよくいる商店街へ向かう。商店街へ向かうとそこには本屋で何かの雑誌を見ているリコと本屋の隣にあるスポーツショップでウェイト関係の商品を見ている万丈がいた。

 

「ばっ、万丈くん!!またアイツが…」

 

 最初に椎名龍一の出現に気付いたのはリコだった。リコから椎名龍一が現れたと聞いた万丈はいつでも戦えるよう準備していたのか既にドライバーが腰に装着されていた。万丈は素早くクローズマグマナックルをドライバーに装填し、ドライバーのレバーを回して変身する。

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

極熱筋肉!クローズマグマ!

 

『アーチャチャチャアチャー!』

 

 クローズマグマに変身した万丈はまだ変身していない椎名龍一へ向かっていく。椎名龍一はクローズマグマナックルの一撃を避け、フォースライザーを腰に装着する。そしてスラッシングドラゴンプログライズキーを起動させる。

 

『スラッシュ!』

 

 起動させた後、スラッシングドラゴンプログライズキーをフォースライザーに装填し、ドライバー後方のレバーを引いて変身する。

 

『フォースライズ…!』

 

『スラッシングドラゴン…!Break Down…』

 

椎名龍一は仮面ライダー(せい)に変身した。龍なのに何故、星という名前になったのかは不明だ。

 

「なっ…何だと!?ダーククローズじゃない…」

 

「フン、これは仮初めの姿さ…近いうちに新たな力を得たダーククローズを見せれると思うから今日は我慢してくれ」

 

「我慢だと?我慢も何もパワーアップされる前にお前をぶっ倒してやる!!」

 

 万丈は椎名龍一にそう言い、ドライバーのレバーを回そうとしたが、近くにいたはずのリコの姿が見当たらず辺りを見渡す。すると椎名龍一のいる方からリコの悲鳴が聞こえてきた。悲鳴が聞こえた方を見てみるとそこには椎名龍一に捕まったリコがいた。

 

「リコ!!椎名龍一……てめぇ!!」

 

「おっと、そこから一歩でも動いてみろ…コイツ(リコ)がどうなるか分からんぞ?」

 

「ちっ……」

 

 万丈はリコを捕まえている椎名龍一に攻撃を仕掛けようとしたが、椎名龍一はリコの首を強く絞めて万丈にその場から動かないよう命じた。

 

「お前はリコを捕まえて何がしたいんだ?」

 

「ある実験さ……」

 

 椎名龍一はそう言いながら何処からかエクリプス・リンクルストーンを取り出し、リコの胸元にかざす。するとエクリプス・リンクルストーンは妖しく輝き出してリコの精神を蝕んでいく。

 

「うわぁぁぁ!!!!」

 

「リコー!!!」

 

 リコの瞳は次第に黄色へと変わっていき、髪型もいつものハーフアップヘアーからサイドダウンヘアーへと変わる。

 

「フハハハ!!んじゃ後は頼んだぞ…試作品第一号」

 

「あっ、おい待て!!」

 

 椎名龍一はリコに試作品第一号と言った後、どこかへと行ってしまった。万丈は下を向きながら不安定な姿勢で立つリコのもとへ行く。

 

「リコ、大丈夫か!?」

 

「………」

 

「おい、大丈夫なのか聞いてんだろ!!」

 

「容易く触るな。クソ野郎が」

 

「はぁ?」

 

「容易く触るなと言っているんだ…それとも私に殺されたいのか?」

 

「どうしちまったんだよ!?いつもと何か違うぞ!」

 

「フン、どうやら殺されたいようだな…いいだろう、望み通り私が殺してやる…」

 

 リコは自分から一向に離れようとしない万丈にそう言い、エクリプス・リンクルストーンの力で変身する。

 

「はぁぁ!!!」

 

 リコは身体に邪悪な黒いオーラを纏う。黒いオーラはキュアマジカルの衣装へと姿を変え、リコを包んでいく。黒いオーラに包まれたリコは黒いキュアマジカルへと変身した。

 

「さぁ、戦いましょう」

 

「リコ……」

 

 

 リコは自分の背より高い巨大な鎌を持ちゆっくりと万丈の方へ歩いていく。一方の万丈は洗脳されているリコを前に一歩も動けない状態でいるのだった…

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