ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜 作:萊轟@前サルン
リコは巨大な鎌を振り回し、万丈を攻撃する。普通であれば万丈は攻撃を防いで相手の出方を伺うのだが、この時の万丈はリコの突然の異変に驚き、身体が動かなかった。
「ぐはぁ…!」
リコの攻撃を避けようとしなかった万丈は左肩から右腰にかけてリコの大鎌による斬撃を受けてしまう。だが、万丈はこの一撃で身体の自由を取り戻し、直ぐに反撃に転じる。
「目を覚ませぇぇ!!!」
万丈はクローズマグマナックルでリコの腹部を殴る。が、その拳には勢いが無く、リコには全く効いていなかった。
「……できねぇ。自分の大切な人を殴るなんてできねぇよ…」
「フン、甘い…!!」
万丈は気が抜けてしまい、リコに攻撃の隙を与えてしまう。リコはその隙を突いて万丈の腹部を大鎌を持ってない右手の拳で殴る。
「ぐはぁ…!!」
万丈は殴られた腹部を抑えながらその場に膝をつく。そして痛みに苦しみながらもリコにこう言う。
「はぁ…はぁ…今のお前を止めるにはこれしかないみたいだな…」
万丈はアルテミストリガーを取り出し、ドライバー上部にトリガーを挿す。その後、クローズマグマナックルと入れ替えでクローズドラゴンをドライバーに装填し、ドライバーのレバーを回してアルテミスクローズへと変身する。
『ムーンライトレベリング!エビル アルテミス!!dangerous!Very dangerous!!』
「…………」
アルテミスクローズに変身した万丈は前回と同様に無言で敵
「フン、急に大人しくなったという事は負けを認めるって事かしら?それならこの一撃で終わらせるわ!!」
リコは大鎌にエクリプス・リンクルストーンの力を纏わせてから万丈に向けて大鎌を振り下ろす構えに入る。
「これで終わりよ!!!!」
と、リコが万丈に向けて大鎌を振り下ろした瞬間、万丈がリコの背後に瞬間移動をする。攻撃が空振ったリコは隙を与えてしまう。万丈はその隙を突いてリコの右の脇腹を思い切り蹴る。
「ぐっ…ぐはぁ…!!」
万丈の攻撃を受けたリコは蹴られた右の脇腹を抑えながらその場に倒れ、
「うぐっ…!」
「………」
万丈は壁に食い込んだリコを見た後、ドライバーのレバーを回して必殺技待機状態へ入る。
『Ready go!』
『アルテミスフィニッシュ!』
万丈は8体の黒龍を片足に纏いながらリコに向かって急降下していく。そしてリコは万丈の必殺技を浴びる。必殺技を浴びた瞬間、リコのプリキュアの衣装は大部分が破れてしまい、全身の7割の肌が露出していた。露出しているとはいえ、肌からは血が流れ出ている。リコは変身が解けるのと共に地面に倒れてしまった。リコの目は白目をむいていて早く適切な治療をしなければ助からない様子。
「嘘……でしょ…?」
凄惨な現場にまず現れたのはみらいだった。みらいは血だらけのリコを見て唖然とする。だが、このままではまずいとすぐに救急車を呼ぶ。この時、みらいはリコのことを気にかけ過ぎて自分の元にアルテミスクローズが迫っている事に全く気付いていなかった。
「…………」
みらいに近づいた万丈がみらいを殴ろうとしたその時、ビルド Mk-IIに変身した戦兎が現れ、万丈の拳を受け止める。
「まさかこんな事になるとは…!だが、こうすればこっちのもんだ!」
戦兎は押されながらも万丈のドライバーからアルテミストリガーとクローズドラゴンを抜いて強制的に変身を解除させる。
「おわぁ!…ってまた暴走したのか、俺…」
「万丈、この力を克服する方法が無いうちは悪いヤツとの戦い以外でアルテミストリガーを使うな!」
「お、おう…ってかそんな慌てた口調でどうしたんだ?」
「リコを見……やっぱり何でもない。とりあえず、今日は朝日奈家に泊まっていけよ」
戦兎は万丈に今のリコの姿を見せてしまうと万丈が自分を責めてしまうと思い、リコの姿を見せずにそのまま万丈を朝日奈家へと連れて行くのだった…
そして朝日奈家に戻った戦兎は万丈に缶コーヒーを渡し、自分の部屋にあるパイプ椅子に座らせる。
「おい、何かみらいとのツーショット写真多くないか?」
「別にいいだろ…彼女なんだし…」
「まぁそうだけどよ」
万丈は缶コーヒーのステイオンタブを開けて缶コーヒーを飲みながら戦兎と話し始める。
「なぁ戦兎、この力をどうにか制御できないのか?」
「今の段階では無理だ。ただ、さっき万丈がいた近くに落ちてたコレがカギになりそうな気がするんだ…」
戦兎はそう言いながらヒビの入ったエクリプス・リンクルストーンを着ているトレンチコートのポケットから取り出す。
「それって椎名龍一が持ってたヤツ!!」
「そう、コレは椎名龍一が持っていたヤツだ。おそらくダークビルドから渡された物だろう…」
「そうなのか…ってかなんでお前が俺と椎名龍一が戦ってた事知ってんだ?」
「えっ…いや、それは……ってかダークビルドの持つエンドマテリアルは必ず暴走を引き起こす…アルテミストリガーやエクリプス・リンクルストーンの様にな」
「エンドマテリアルが暴走を引き起こすって……待てよ、ならアルテミストリガーは何なんだ?ジェネシスマテリアルから作った物じゃないのか?」
「ジェネシスマテリアルで作ったとはいえ、ジェネシスマテリアルは見つけたばかりの新物質だ。完成形でもない限りは暴走を引き起こす可能性がある。だから俺は万丈にアルテミストリガーを渡した時、善の力と悪の力が宿ってるって言ったんだ」
「未完成なら渡すなよ……」
「クローズマグマで勝てそうならアルテミストリガーを渡すのはもっと後にしていた…けど、クローズマグマとほぼ同スペックのビルドストームで苦戦したんだ。スペックを上回れて戦いを有利に出来るのなら渡す以外に選択肢はないだろ…」
「チッ、なら"カギ"とやらの研究を早く完成させてアルテミストリガーの副作用を無くしてくれ!!」
「分かった、なるべく早く完成させる。……だからお前もアルテミストリガーの使い所には気を付けろ」
「あぁ、気を付ける」
万丈は戦兎にそう言い、自分の部屋へ戻っていく。戦兎はエクリプス・リンクルストーンを机の上に置いてエクリプス・リンクルストーンを調べる始めるのだった。
その頃、みらいはリコの病室にいた。適切な処置は施されたもののリコが目を覚ます気配は全くない。
「リコ……」
みらいは目から大粒の涙をポロポロと流していた。リコが傷だらけで倒れているのを見た時は万丈に対してこれまでに無いほど憤りを感じていたが、戦兎から事情を聞いて万丈は悪くないという事を知ってからは万丈に向けたはずの矛先をどこへ向けたらいいのか分からず、微妙な感じになっていた。
「私のこの怒りはどこにぶつければ…」
その後、みらいが暫くの間ボーっとしていると、ことはが病室に入ってきた。ことははボーっとしているみらいの肩を軽く数回叩いてから声をかける。
「みらい!……みらい?どうしたの、ボーっとして」
「あっ、はーちゃん!ううん、何でもないよ!ちょっと考え事してただけ!」
「なら良いんだけど……」
ことははそう言いながらみらいとは反対の窓側の方のベッドの近くの椅子へ座る。
その頃、リコは空が薄暗く自分の近くに小さな川が流れている不思議な世界を彷徨っていた。
「ここは?っていうかこの世界は何!?」
突如として目の前に現れた見慣れない世界を見たリコは謎の焦りからか立ち止まってはいられず、小さな川の方へと歩み出すのだった…