ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜   作:萊轟@前サルン

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74.黒龍、ここに極まれり

 万丈はリコのいる病室へ来ていた。戦兎から貰った二つのイチゴ味のスタードーナツを袋から取り出し、一つをリコに渡す。

 

「万丈くん、ありがとう!」

 

「……元気になってくれて良かった!元気になってなかったら俺は…」

 

 笑顔の半面、浮かない顔をする万丈はそう言う。ベッドに横になっているリコは左手を万丈の右手に重ね、首を軽く横に振りながらこう言う。

 

「そんなに気負わないでいいのよ。万丈くんがあの時、私を止めてなければ今頃町はどうなっていた事やら…」

 

 リコは昨日と何一つ変わらない街の景色を病室の窓から眺めながら感傷に浸る。

 

「……こんなことに俺たちを巻き込んだ椎名龍一ともそろそろ決着をつけないとな」

 

「そうね…」

 

 2人はそう話しながら互いに顔を紅く煌めく夕陽の方を見る。夕日を見る2人の顔は何かを決意したような顔に見えた。

 

 そして自分の部屋にいる戦兎は部屋に入り、研究机に向かってから数時間をかけてアルテミスクローズ専用の新たな武器を完成させる。

 

「やっと完成した!ヒント貰った分、早く完成したな〜」

 

「ヒント?誰がヒントをくれたの?」

 

「いずれ分かるさ」

 

「…というか、この武器の能力は何なの?」

 

「この武器はアルテミストリガーに宿る暴走の力を利用する。簡単に言うと暴走の力を攻撃力に変えるというものだ」

 

「そんな事が出来るんだ…!」

 

 ことはは改めて戦兎の天才っぷりに驚く。ことはの驚く顔を見た戦兎はドヤ顔をしていた。

 

「……で、武器の名前は?」

 

「ドラゴンソードだ!」

 

「シンプルすぎ!!!普通、アルテミスカリバーとか少しカッコ良さのある名前を……」

 

「それだ!!はい、採用!この武器の名前はアルテミスカリバーね」

 

 戦兎は素直に自分の考えた"ドラゴンソード"よりことはの考えた"アルテミスカリバー"の方がカッコいいと思い、新武器の名前を迷うことなく"アルテミスカリバー"にした。

 

「よし、後は実験するだけ……」

 

「えっ!?」

 

「……いや、やっぱやめだ。ぶっつけ本番で万丈が使いこなす事を祈ろう」

 

「えぇ……」

 

「さてと、武器も完成した事だし…そろそろ寝るぞ!」

 

「そうだね、んじゃおやすみ!」

 

 ことはは戦兎におやすみと告げ、自分の部屋へと戻っていく。数時間集中し、新武器を開発してとても疲れが溜まっている戦兎はベッドに横になると数分もたたないうちに眠りについてしまった。

 

 

 

 翌日の朝、万丈はリコの病室で目を覚ます。しっかりと繋がれた自分の手とリコの手を見て改めて昨日の決意が夢、幻ではないと再認識する。万丈は朝日を浴びる為に病室のカーテンをゆっくりと開けていく。カーテンを開けた先にはいつものように眩い陽の光が町全体に広がって……

  

「な、なんなんだこれは…!?」

 

 太陽が放つ眩い光は斑点のように部分的にしか街を照らしておらず、近くでは雷が激しく轟いていた。万丈は町で何かマズい事が起きていると瞬時に思い、病院の外へと出る。するとそこには全身が黒く、黄色い複眼の仮面ライダーがいた。

 

「万丈………龍我…!!」

 

「お前は椎名龍一…!?」

 

「俺はお前の存在を消して俺が望む"世界線"を創り出す」

 

「この世界はリコ達との思い出が詰まった最ッ高の世界だ!!お前の望む世界にはさせねぇ!」

 

「そう言うと思った。じゃあ…死のうか」

 

 椎名龍一はそう言いながら邪悪な黒い龍の鱗が刻まれている禍々しい弓を取り出し、弓を構えて万丈に向け、矢を放つ。

 

「うぉ!?いきなり攻撃してくるか…しょうがねぇ…戦うしかないみたいだな」

 

 万丈はそう言いながらビルドドライバーを腰に装着し、専用のフルボトルが挿されたクローズマグマナックルをドライバーに装填する。そしてドライバーのレバーを回して変身する。

 

『Are you ready?』

 

「変身!」

 

極熱筋肉!クローズマグマ!

 

『アーチャチャチャアチャー!』

 

 クローズマグマに変身した万丈は椎名龍一に近づこうとするが、見えない壁に弾かれ、近づく事が出来ない。

 

「まじかよ……こういう時、お前(戦兎)ならどうする?」

 

 

 同時刻の朝日奈家、戦兎はようやく目を覚ます。目の前にはしかめっ面をしたことはがいた。

 

「う〜ん……!?お前、なんで俺の部屋にいるの!?」

 

「時間がないからだよ!!もう病院前に現れてるの、奴が!!」

 

「まじかよ……早くこの武器を万丈に届けないと!」

 

 戦兎は適当な服を着て、新武器を持ってことはと共に万丈達のいる病院へ向かっていく。戦兎が起きてから病院に向けて出発するまではまだ十数分しか経っていなかった。

 

「ねぇ戦兎」

 

「何だ?」

 

「もっとスピード出せないの?」

 

「出せるけど出したら違反だ!」

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!」

 

「…ったく、分かったよ」

 

 ことはに急かされた戦兎はスピードを上げ、安全かつ速く目的地へと向かっていく。

 

 

 その頃、リコは禍々しいオーラを放つ椎名龍一と戦う万丈が心配なのか病室を抜けて病院の外へ出ようとする。だが、傷がまだ完全に癒えてない為、歩くことはあまりできず、歩いたり、倒れたりを繰り返しながら病院の外へ向かう。

 

「万丈(リコ)さん、その状態で病室を出てはいけません!」

 

「お願い、私を止めないで!!今、彼の元へ行かないとダメな気がするの」

 

「万丈(リコ)さん……」

 

「大丈夫、私は死なないから!」

 

 傷のある場所から走る痛みに耐えながらもリコは笑顔で自分の歩みを止めようとする医師達に私は大丈夫だと言う。

 

 外では万丈と椎名龍一がいがみ合っている。万丈は何回も攻撃を仕掛けているが、全て見えない壁に弾かれる。

 

「何なんだよ……これ」

 

「これで終わりだ…」

 

 椎名龍一はそう言いながら、ドライバーのレバーを回して必殺技を発動させる。

 

Ready go!

 

ボルテックエンド…!』

 

 必殺技を発動させた椎名龍一はその場で高く跳び上がり、多くの邪龍を先に万丈へ向かわせて自分も後から追うようにライダーキックで万丈へ向かっていく。

 

「ぐぁあああ!!!」

 

 必殺技を受けた万丈は変身が解けた。そしてそのまま地面へと倒れていく。椎名龍一は生身の万丈にトドメを刺そうと万丈の元へゆっくりと歩み出すのだった……

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