ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜 作:萊轟@前サルン
椎名龍一との激闘から数ヶ月後…退院したリコと万丈はいつもと代わり映えのない朝を過ごしていた。
「なぁ…リコ」
「何かしら?」
「お前、太った?」
「そんなわけないでしょ!!太ってなんかないわよ!」
「じゃあ何だよ、そのお腹は」
万丈はそう言いながら、リコの少し膨らんだお腹を指さす。それに対してリコはモジモジしながらお腹が膨らんでいる理由を話し始める。
「実は……」
「実は?」
「私……」
と、リコが何かを言おうとした瞬間、家のチャイムが鳴った。インターフォンには戦兎とモフルンを抱えたみらいとことはが映っていた。
「今、開けるわよ〜」
リコが玄関の扉を開けるのと共に戦兎は手に持っていた遊園地のチケット2枚をリコに手渡す。
「リコ、久しぶりに皆で遊園地でも行かないか?」
「いいけど…絶叫系は乗れないわよ?」
「大丈夫。だから行こうぜ!」
「分かったわ…」
リコは少し悩む様子を見せながらも遊園地へ行くことにする。万丈はリコと戦兎の会話を聞き、楽しそうだと思ったのか、着替えを早く済ませて玄関先に姿を現す。
「…で、遊園地まではどうやって行くんだ?」
「車に決まってんだろ?」
「車って…お前が運転するのか?」
「いや、俺は運転しないぞ」
「じゃあ誰が……」
と、万丈が入った瞬間、万丈の視界の外から寒い時期なのに半袖短パンの格好をした氷室幻徳が現れた。
「俺だよ」
「うぉ!?久しぶりのヒゲ!…じゃなかった、幻さん!」
「俺の車に乗るんだぞ…どこに乗りたい?」
「いや、そんなのどこでもいいんだけど…」
「えっ?助手席に乗りたい?…悪いが、助手席はポテト専用だぞ♡」
「気持ち悪っ…お前らホモかよ」
万丈は独身を貫きすぎて少しホモキャラと化した幻徳(万丈の勝手な想像)にドン引きし、思わず戦兎の後ろに隠れた。
「幻さん、この雰囲気でそれは流石に……」
「すまん、空気を悪くしてしまったな。俺は先に車に乗ってるぞ」
幻徳は皆にそう伝えると、少し俯きながら足早に自分の車へと向かうのだった。幻徳は場を更に盛り上げようとして言ったはずのネタが予想とは裏腹に真に受けられてしまい、ドン引きされたので落ちこんでいる様子。
それから少しして準備の出来た万丈達は幻徳のクルマに乗り込む。一番後ろの3人席は戦兎、ことは、みらいが乗り、万丈とリコは真ん中の席へ座る。
「出発するぞ」
幻徳は皆にそう一言伝えてから車を発進させていく。出発してから数十分後に万丈、ことは、みらいは寝てしまった。
「…で、リコちゃん。万丈に伝えたい事、俺は知ってるぜ?」
「知ってたんですか!?私、この話は誰にもしてないはずなのに…」
「分かるさ。だって………」
幻徳はこの後、万丈に伝えたい事をどうやって知ったのかをリコ本人に言う。それを聞いたリコは幻徳にバレたのであれば万丈に言わずとも近いうちに気づかれてしまうと思っていた。
「一応、サプライズ(?)のつもりなので万丈くんには言わないでくださいね!」
「分かった」
幻徳はリコにある言葉を言いたかったのだが、その一言を言った時に万丈が起きてしまったらマズイと思い、言わずに運転に集中する。
そして運転し始めてから休憩せずに走り続ける事数十分、遊園地に着いた。着くとともに寝ていた人達は起きる。
「…あれ、もう着いたのか?」
「着いたぞ」
「運転ありがとう、幻さん!んじゃ、みらい、行くぞ!」
戦兎は起きて早々、みらいの手を引いて車から降り、入場口へと向かっていく。
「ことはちゃん、俺とポテトと一緒に行こうか。美味しい食べ物食べさせてあげる」
「本当!?じゃあ私、ヒゲさん、ポテトさんと行くー!」
幻徳は気を利かせてことはを連れて行き、リコと万丈の2人きりの状態を作る。
「俺らも行くぞ」
「うん!」
戦兎達、幻徳達が入場口に向かってから少し間を置いてリコと万丈も遊園地の入場口へと向かっていく。
「なんか久しぶりだな。こんな平和な中2人で歩くのは」
「そうね。この先もう何事もなく生涯を過ごしたいものだわ」
「少なくとも俺らの身には何も起きない……はずだ」
万丈とリコは久しぶりに見た平和を象徴するような雲一つない綺麗な青空を見ながら遊園地の中へと入る。遊園地の中へ入った後はゆっくりと決められたコースを進むだけのボートのアトラクションへ行く。
待ち時間はなく、リコと万丈はスムーズにアトラクションに乗ることができた。
「学生の頃にここへ来た時は常に動き回ったりはしゃいだりするイメージしかなかったけど、今来てこれに乗ってると"こういうゆったりできる場所"もあるのね…」
「ほんと、久しぶりにリラックスできた感じだ…」
万丈は隣でそう言うリコと自分の元恋人である香澄の姿を重ねてしまうが、すぐに香澄の姿を消した。
「ふふっ…万丈くんは相当疲れていたのね。今、少しの間だけボケッとしてたわよ」
「あ、あぁ…ダーククローズとの戦いでだいぶ疲れた!!」
本当はリコに香澄の姿を重ねてしまい、どこか寂しさを感じていただけなのだが今、自分の妻であるリコにはそんな事を言えるはずがないと戦いの疲れと言ってごまかす。
「あ、そろそろ終わりみたいね。降りる準備をしましょうか」
リコはアトラクションの入り口、出口が迫ってきているのを見て万丈にそう言う。ボートから降りて2人がアトラクションの出口から出ようとすると出口の先にはみらいと戦兎がいた。
「一緒に回ろうぜ!あ、アトラクションじゃないぞ!」
「なら何なんだよ…」
「決まってんだろ。グルメだよ」
「そ、そうか」
万丈はアトラクションを乗るのに付き合わされると思っていたのでグルメと聞いて少し安心する。そしてその後は遊園地内の様々な飲食店を巡り、気づいたらいつの間にか昼過ぎになっていた。
「食い過ぎだぞ…お前ら」
「すまん、すまん。美味しい食べ物には目がないんだよ俺とみらいは」
「お前らは大食いキャラじゃないだろ……」
「天才だって大食いになりたい日はあるんです!」
「全くだ……んじゃ、食う物食ったし、俺らはまた別で行動するぜ」
万丈はそう言って戦兎とみらいの元を離れる。そして観覧車の方へ向かう。
「絶叫系主体のこの遊園地じゃリコが乗れるのはさっきのヤツか観覧車しかないよな…」
「観覧車かぁ…丁度いいわ。良い事教えてあげる!」
「良い事?」
「うん、聞いて驚くかもね!」
万丈はリコの"良い事"というのが気になり、足早に観覧車に乗り込んだ。万丈とリコは隣同士ではなく、互いに向かい合って座る。
「このお腹の事なんだけど…」
「あ、太っただけだろ?さっきの流れからして察してたぞ」
「馬鹿、そんな訳ないわよ!大体、サプライズなんだし…」
「お腹の事を言うのがサプライズ?じゃあ何でさっきサプライズ(?)を言いかけてたんだよ…」
「それは………ってとにかく、"サプライズ"聞きたいわよね?」
「聞きたい!」
「教えてあげるわ…!実はね…」
「実は……」
「このお腹に新しい命が宿りました!」
「えっ……?えぇぇ!!!」
万丈はリコの言葉を聞いてサプライズが何の事だかをすぐに理解する。驚きのあまりその場に勢いよく立ち上がり自分たちが乗っている観覧車を揺らしてしまう。
「名前は決めたか??」
「これからよ。ゆっくり話し合って決めていきましょう」
「お、おう!!」
リコと力を合わせて月輪の龍として戦った万丈はこの日、今までの辛い出来事が吹き飛ぶくらい最ッ高なサプライズを受けたのだった……
月輪の龍 END
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