ビルド&プリキュア 〜俺と私が創る未来〜 作:萊轟@前サルン
戦兎がさんごの色仕掛けを乗り越えて今夜を無事に過ごさないと戦兎とみらいの運命が変わってしまう。まさに今が運命の
「では、私も入りますね…」
「おっ、おう…」
身体や髪を洗い終えたさんごは戦兎が入っていて既に狭くなっている湯船に浸かる。戦兎とさんごはほぼ密着状態だ。
「なぁ…わざとらしく自分の胸を俺の腕に当てるのやめてくれないか?」
「わざとじゃないですよ〜お風呂が狭いから当たっちゃうんですよ」
「まぁいい。俺はもう出るぞ」
「まだ出ないでください‼︎」
さんごはそう言いながら、戦兎の片腕に抱きつく。それと同時に何かが水面に当たる音がした。恐らくこの音はさんごの巻いていたタオルが落ちた音だろう。証拠に戦兎の腕には胸の突起のようなものが直に当たっている。
「もう少しだけ…戦兎さんと湯船に浸かっていたいです」
「……俺に大事な人がいなかったらもう少しだけお前と風呂に入っていたかもな」
戦兎はこんな危機的状況でも自分の隣にはみらいがいる事を忘れておらず、今回もさんごではなくみらいを選ぶのだった。
戦兎はさんごの手を振り払って風呂場から出て行く。風呂場から出て行く戦兎の背中を見ているさんごはとても悲しげな顔をしていた。
そして部屋に着いた戦兎はみらいに連絡する為に自身のスマホをズボンのポケットから出すのだが"ここにいる理由"を思い出し、出したスマホをズボンのポケットへしまう。
「(……嫉妬か。嫉妬するのはみらいだけが原因じゃないはずだよな…多分、俺にも原因がある。さんごはみらいと一緒にいると危ないと言うがそれは間違ってて本当は一緒にいてあげた方がいいのかもしれない)」
戦兎の脳裏に浮かぶのはいつでもどんな時でも笑顔で自分を見てくれるみらいの姿。ここで戦兎は今夜だけ泊まり、明日、津成木町の外れにある静かな丘の上でみらいと2人きりで過ごすと決める。そうと決まれば早速、ズボンのポケットにしまったスマホを再び取り出してみらいに連絡をする。
出ない……
いつものみらいなら2コールしないうちに出るのだが、今回は何コールしても出る気配がない。文面で伝えるよりも口で伝えた方が良かったのだが、みらいが電話に出てくれないので戦兎は仕方なくラインでメッセージを送る事にした。
みらいにメッセージを送った戦兎はさんごの部屋へと向かう。
さんごの部屋に入ると、部屋の中には黄緑色のうさぎのぬいぐるみを抱きながら窓の外に広がる星の無い夜空を眺めるさんごがいた。
「…戦兎さんって本当にみらいさんを愛しているんですよね?」
「あぁ、愛してるさ」
「じゃあ、なぜみらいさんは嫉妬を抑えきれずに暴走してしまうんですか?」
「分からない…みらいの隣を歩く時に顔を見るが、みらいはいつどの時も笑顔なんだ」
「そう…ですか。愛してるのに気付かないんですね」
「どういう意味だ?」
さんごは戦兎の答えを聞いて少しガッカリしたのか軽くため息をつく。そして部屋のカーテンを閉めて戦兎の方へ歩いてくる。
「戦兎さんのみらいさんに対する愛は自分的には"厚い"のかもしれません。けど、実際は"薄い"ですよ」
「そんな訳ないだろ‼︎」
「だったら‼︎…だったら何でみらいさんの心の状態に気づいてあげられないんですか⁉︎みらいさんは今、戦兎さんが思う以上に心に不安や悲しみを背負ってます。…だから、ちゃんとみらいさんと向き合ってあげてください。そうすればきっとみらいさんは暴走しなくなります」
「………」
戦兎は自分がちゃんとみらいと向き合えていないんだとここでようやく自覚する。
「戦兎さん、明日私と一緒にみらいさんの元へ行きましょう」
「…分かった」
戦兎は何かを決心したかのような表情でさんごの言葉に返事をする。そしてその後、部屋の床に敷かれた敷布団に入り、眠りにつくのだった…
そして次の日、みらいから"10時に津成木町外れの丘に集合しよう"というメッセージが送られてきていた。現在は午前9時ピッタリだ。今出れば余裕もって目的地に着くだろう。
「俺とみらいの手助けなんかして良かったのか?」
「良かったですよ。…私の戦兎さんに対する気持ちは変わりません。けど、戦兎さんとみらいさんの関係が少し悪くなっているその隙を突いて戦兎さんを盗ってしまうのは良くないと思ったんです」
「なるほど……」
「まぁ、あまり時間ないですし、そろそろ行きましょうか」
「そうだな」
そして戦兎とさんごは集合場所へ向けて歩き出した……