バーサーカーのヒーローアカデミア   作:残月

10 / 47
クラス委員長②

 

 

教室に慌ただしく入ってきた狂夜。ぜぇぜぇと息切れを起こしていると、相澤が教室に入ってきて朝のHRが始まる。

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ、VTRと成績見させてもらったが……爆豪。お前もうガキみたいな真似するな」

「………わかってる」

 

 

相澤から溜め息混じりの指摘をされた爆豪は、視線を逸らしながら返事を返す。

 

 

「で、緑谷は腕ぶっ壊して一件落着か?個性のコントロールが、いつまでも出来ないで通せねぇぞ。俺は同じことを2回言うのが嫌いだ、ソレさえクリアできればやれることは多い……焦れよ緑谷」

「はい!」

 

 

相澤からのお小言に身を震わせた緑谷だが、遠回しな激励に奮起する。

 

 

「さてHRだが……急で悪いが今日は君らに……」

 

 

相澤の言葉にA組全体がゴクリと息を飲んだ。なにせ入学初日にあれだけの事があったのだ。警戒するのも無理はない。

 

 

 

「学級委員を決めてもらう」

「「学校っぽいの来たぁぁぁぁっ!!」」

 

 

 

今まで学校っぽいことがあまり無かった反動なのか、クラスが一気に盛り上がる。思えば入学式やらガイダンスをすっ飛ばしてきたので、初めて学校行事らしい事をするのかもと狂夜はボンヤリと考えていた。

 

 

「委員長!やりたいですソレ俺!」

「リーダーやるやる!」

「ウチもやりたいス」

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm」

「俺にやらせろ!」

 

 

普通科なら義務って感じでやりたがらないであろう役職も、ヒーロー科ならば別となる。ヒーロー科では集団を導くトップヒーローとしての素地を鍛えられるため、はたまた目立ちたがりが多い為か、ほぼ全員が挙手していた。

 

 

「静粛にしたまえ!」

 

 

ザワザワと騒ぐ教室だがの事を飯田の叫びがそれを遮った。

 

 

「『多』を牽引する責任重大な仕事だ!『やりたい者』がやれるモノではないだろう!周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……!民主主義に則り、真のリーダーを皆で決めるというのなら……これは投票で決めるべき議案だ!」

「そびえ立ってんじゃねーか、なんで発言した!?」

「会ってまだ数日なんだから信頼も無いわ飯田ちゃん」

 

 

正論を述べた筈の飯田の手は綺麗にそびえ立っていた。その事を切島にツッコまれるわ、蛙吹に指摘されるわで散々だったが、このままでは決まらないだろうと飯田の案が採用された。

 

そして、その結果……

 

 

 

緑谷 四票

八百万 二票

他 各一票または0票

 

 

 

「わかってはいた……流石は聖職……」

「他に入れたのね……」

「お前もやりたがってたのに何がしたいんだ飯田……」

 

 

その結果を受け、飯田が膝を突き、八百万や砂藤に憐れまれていた。

そして投票結果の通り、委員長、緑谷。副委員長、八百万に決まった。

因みに狂夜は0票である。

 

 

そして昼休みになり、狂夜はよく話す上鳴や切島と食べようと思っていたのだが、食堂に向かう途中で拳藤とB組の小大唯に誘われて一緒に食事となった。

 

 

「じゃあA組でもクラス委員長決めてたんだ」

「B組は拳藤がクラス委員長だったよ」

「へぇ、こっちは緑谷がクラス委員長になったぞ」

 

 

隣に座った拳藤からB組もクラス委員長を決めていた事を教えてもらった狂夜。そして拳藤の向かい側に座った小大から、拳藤がクラス委員長になった事を告げられた。

 

 

「緑谷って……あの入試の時にコケそうになってた奴だよね?大丈夫なの?」

「確かに緑谷はちっと気弱な所があるけどアイツは誰かの為に真っ先に動くタイプだ。そういう奴は自然と周囲を引っ張っていくから問題ないだろ」

 

 

拳藤の心配を狂夜は否定しながら緑谷を肯定していた。狂夜がお茶をズズッと啜ると、後ろから声を掛けられた。

 

 

「ねぇねぇ、狂夜君。奇遇だねお昼ご飯?」

「あ、先輩」

 

 

狂夜が首だけ振り向かせると其処には食事を終えた、ねじれが居た。その隣には、ねじれの友人と思わしき女性徒も居た。

 

 

「あ、ねじれ。この子がねじれがいつも言ってる狂夜君?」

「そうなの、知ってた?この子が……」

 

 

ねじれが友人に何か言おうとした瞬間、校内に警報が鳴り響いた。

 

 

「警報!?」

「なんだろう!?」

 

 

『セキュリティ3が突破されました、生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください』

 

 

食堂に響き渡る警報とアナウンスにより、その場に居た者の半数が慌てて出口へと詰め寄る。

 

 

「先輩、セキュリティ3ってなんですか!?」

「不思議、学内に侵入者が出たんだよ。知ってた?セキュリティ3って事は校舎にまで来てるって事なの」

 

 

狂夜がねじれにセキュリティ3の事を聞くと、予想以上の事態だったらしい。

 

 

「って、何じゃこりゃ!?」「痛ぇよ!」

「押すなって!」「ちょっと倒れる!」

「落ち着けっ!」「痛いってば!」

 

 

パニックになった生徒達は、状況確認も出来ないまま出口に詰め寄るだけとなってしまう。

 

 

「不思議、人波に流されるの」

「ちょっと先輩!?」

 

 

何とか空いている空間に逃げようとしていた狂夜だが、ねじれが人波に拐われていく。思わず手を伸ばした狂夜だが、その手は空ぶった。ねじれはそのまま人波に流され続けた。ねじれを助けようとした狂夜、後を追っていた拳藤や小大も人波に一緒に流されてしまっていた。

そして……

 

 

「あっ……」

「ご、ごめん……」

 

 

人波に流され、壁際まで追いやられた。そしてそのままドンと壁に手を突かれる。

壁ドンと呼ばれる行為に至ったのは狂夜と拳藤だった。突然の事態に二人は固まったまま動けなくなってしまっていた。

 

 

「ねぇ……間桐君、拳藤。とってもラブコメなんだけど……普通、逆じゃない?」

 

 

小大は今の現状にコメントを出すが、その顔は非常に微妙な物を見る目だ。

何故ならば、壁ドンをしているのは拳藤で壁に押し付けられてるのが狂夜だからだ。

 

 

「あ、その……さ……」

「この場合、俺が顔を赤らめた方が絵になるか?」

 

 

恥ずかしそうにしている拳藤に狂夜は思った事を口にする。その直後、何かを叩きつけるような音が聞こえ、その場に居た者がそこに視線を向けると、出入り口の上の方に飯田が非常口のマークのような格好で張り付いていた。

 

 

「皆さん、大丈ー夫!ただのマスコミです!何もパニックになることはありません!ここは雄英、最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!」

 

 

飯田の叫びから、この騒ぎの原因はマスコミによるものだった事が判明した。

 

 

「飯田の奴……非常口みたいになってんな」

「単にマスコミが学校に侵入してたんだ……」

 

 

壁ドンの体勢のまま揃って飯田を見ていると突如、狂夜の耳が引っ張られた。

 

 

「痛だだっ!先輩!?」

「むぅ~」

 

 

ねじれは頬を膨らませて狂夜の耳を引っ張っていた。そして狂夜と拳藤の壁ドンの体勢を狂夜の耳を引っ張って無理やり解く。

 

 

「痛いッス先輩!」

「不思議、今とってもモヤモヤしてるの」

 

 

そのまま狂夜を連れていってしまう、ねじれ。突然の事態に拳藤と小大はポカンとしていた。

 

 

「なんだったんだろう?」

「うん……きっと、あの先輩の琴線に触れたんだと思うよ」

 

 

拳藤は何事だったのかとしているが、小大はねじれの行動に何かを察した様に笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

「ほら、委員長始めて」

「では他の委員決めを執り行って参ります!けど、その前に良いですか!?」

 

 

昼休みも終了して午後の授業となったが、未だに決まっていない他の委員を決める話になっていた。クラス委員長になった緑谷は八百万に促される。緑谷はガチガチに緊張していた。が、皆を見渡してから続きを話す。

 

 

「委員長はやっぱり飯田君が良いと思います。お昼の時、僕は何も出来なかったけど飯田君は皆を上手く纏めていたから、それが正しいと思うんだ」

「あ、良いんじゃね飯田、食堂で超活躍してたし!」

「非常口の標識みてえになってたよな」

「緑谷君……ふ、委員長の指名なら仕方あるまい!しっかりクラス委員長を務めさせて貰おう!」

 

 

緑谷に後を任され、皆の声援を受けて、飯田は委員長の交代を承諾した。

八百万は少し不満そうな顔をしていたがクラス委員長が飯田。副委員長に八百万が就任した。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇おまけ①◆◇

 

 

 

放課後となり、拳藤と小大は並んで下校していた。

 

 

「今日の昼の警報は驚いたね」

「ん……でも直ぐに静かになった」

 

 

話題は昼のマスコミが学内に侵入した事だった。

 

 

「でも……間桐、大丈夫だったかな?なんか先輩に連れていかれたけど」

「ねぇ拳藤……ううん、前からの知り合いなんでしょ、あの二人。だったら二人にしか分からない事があるんじゃない?」

 

 

拳藤は狂夜の事を話題に出したが小大は黙っていた方が面白くなりそうだと笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

◆◇おまけ②◆◇

 

 

 

 

「先輩……まだ食べるんスか?」

「ねぇねぇ、知ってた?女の子は甘いものが別腹なの」

 

 

狂夜は、ねじれと共に下校すると帰り道でねじれにクレープを奢っていた。昼間、不機嫌にさせた詫びとして帰りに甘いものを奢ると宣言したのだが、クレープの前に既に大判焼きを食べていたりする。

 

 

「兄さん、先輩。何をしてるんですか?」

「あ、桜ちゃんも食べる?」

「……もう好きにしてください」

 

 

更に中学校から下校途中の桜に見つかってしまった為に追加で甘いものが注文される事が決定され、ねじれから昼間の壁ドン(された)事件が桜に伝わり、桜も不機嫌になってしまうのだった。

 

ねじれと桜の機嫌が良くなる頃には、狂夜の財布の中身は当初の半分以下になってしまった事をここに記録する。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。