バーサーカーのヒーローアカデミア   作:残月

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思った異常にUSJ偏が長くなってしまいました。


USJ襲撃⑤

 

 

「さてと、ヴィラン。お互い早めに決着つけたいね」

「ふざけんなよ!俺の脳無が……オールマイトが衰えたって言うから殺しに来たんだぞ!それが、それが……どうしてこうなった!?」

「落ち着いてください……死柄木弔!」

 

 

脳無がオールマイトによって、吹っ飛ばされた事に苛立ちを隠せない死柄木。

狂夜達は砂埃の中に立つオールマイトと、ヴィラン達から視線をそらせないでいた。

 

 

「死柄木弔、落ち着いて下さい。よく見れば脳無に受けたダメージは確実に表れている。どうやら子どもらは棒立ちの様子……後、数分もしないうちに増援が来てしまうでしょうが、死柄木と私で連携すれば、まだ殺れるチャンスは充分にあるかと……」

「…うん…うんうん…そうだな…そうだよ…そうだ…やるっきゃないぜ…目の前にラスボスがいるんだもの」

 

 

黒霧の発言に死柄木ブツブツと呟き、動く様子は見られない。

 

 

「何より…脳無の仇だ」

 

 

オールマイトに迫り、ワープゲートを大きく広げて襲い掛かる黒霧と、随従する死柄木。

そしてそんな様子を見ても動く気配のないオールマイトを助けるべく、いつの間にか個性で跳んでオールマイトの前にワープして現れた黒霧に突撃する緑谷の姿があった。

 

 

「な、緑谷!?」

「オールマイトから、離れろ!」

「二度目はありませんよ!」

 

 

死柄木が黒霧のゲートに手を突っ込み、ワープ先にいる緑谷に手が迫る。

緑谷に死柄木の手が触れる……その瞬間、だった。

 

 

「……quick……」

「また、君ですか!」

「イライラさせるなぁ!」

 

 

素早く、緑谷と死柄木、黒霧の間に割り込んで死柄木の手を手刀で打ち払い、正面蹴りで黒霧を蹴り飛ばす狂夜。

そして、狂夜が割り込んだ事でオールマイトとヴィラン側との間に距離が空いたと同時に銃声が鳴り響き、死柄木の手が銃弾で撃たれていた。

 

 

「ごめんよ、遅くなったね。すぐ動けるものをかき集めて来た」

「A組クラス委員長、飯田天哉!ただいま戻りました!」

 

 

声のした方角に視線を移すと飯田が呼んだ救援、雄英が誇る教師陣プロヒーロー十数名が勢揃いしていた。

 

 

「あーあ、来ちゃったな……ゲームオーバーだ。帰って出直すか黒霧……」

 

 

教師陣を見て面白くなさそうな声を上げる死柄木は黒霧の名前を呼ぶ。その姿は、遊び飽きた玩具を投げ出す子供の様だった。

しかし、帰ろうとした敵を教師陣がそのまま逃がす筈もなく。教師のスナイプが弾丸の雨を降らせて、死柄木の両腕両足を撃ち抜いた。

 

 

「ぐ……くそが……」

「この距離で捕獲可能な『個性』は……」

 

 

スナイプの言葉に応えるかのようにして、モヤがUSJ入り口に向かって吸い込まれるように引っ張られる。

 

その現象に黒霧は驚きながらも、階段の上を見る。それを出来るヒーローは1人しかいない。黒霧が深手を負わせて行動不能にしたはずの13号が、地面に這いつくばりながら『個性』を使う姿だった。

 

 

「僕だ……!」

 

 

右腕を伸ばし、指先のブラックホールで死柄木と黒霧を捕らえようとする13号。しかし、黒霧のワープの方が強かったのか死柄木と黒霧は姿を消していく。

 

 

「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ。平和の象徴、オールマイト」

 

 

死柄木の呪いじみた言葉を残して、黒霧はその穴を閉じていった。

ヴィランが姿を消した事で漸く一息つけたA組生徒達は、深い深い溜め息を溢した。

 

 

「……何も…出来なかった…」

「そんなことないさ。あの数秒がなければ、私はやられていた。また、助けられちゃったな!」

 

 

砂埃が未だに互いの視界を塞ぐ中で言葉を交わすオールマイトと緑谷。

 

 

「……無事で…良かったです…!」

「…………GRRRR」

 

 

何も出来なかったと嘆く緑谷は、オールマイトの言葉に救われた心地だった。だが、その気持ちを遮る様に、獣のうなり声の様な物がその場にいた全員の耳に届く。

 

緑谷が振り返ると、其処に居たのは纏った黒い鎧から黒い靄を出して昂っている様子の狂夜だった。フルフェイスの兜の瞳の隙間からは赤い光が発行し、異常な状態だと感じ取れた。

 

 

「ま、間桐!?なんだそりゃ!お前の個性か!?」

「Fooooosh……」

 

 

切島は狂夜を心配して近づこうとするが轟が手で切島を遮った。

 

 

「何すんだよ、轟!間桐の様子が……」

「ああ……間桐はさっき、暴走しそうになっていた。そしてそのまま戦闘に突入して『個性』を発動し続けていた」

 

 

轟が狂夜の先程までの状態を告げると、A組生徒はバスの中での会話を思い出す。『下手すりゃ個性に飲まれて暴走しちまう』この台詞通り、狂夜は今まさに暴走しそうなのではとA組生徒に戦慄が走る。だが、その空気を変えたのは切島を止めた轟だった。轟は狂夜の方に右手を翳す。

 

 

「……頭は冷えたか?」

「cold!」

 

 

轟は狂夜を一瞬で氷漬けにすると、狂夜は悲鳴をあげながら自身を拘束した氷を砕いた。

 

 

「ぐ……はぁはぁ……サンキュー……確かに頭冷えたわ……頭つーか、全身冷えたけど……」

「そうか……よかった」

 

 

氷の拘束から抜け出した狂夜は、膝を突いて息を荒くしていたが、『狂化』に飲まれた理性は取り戻した様で正気に戻っていた。経緯はどうであれ、狂夜の無事を感じた轟は「よかった」と呟いた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

「16…17…18…19…20…両足重傷の彼を除いて…ほぼ全員無事か」

 

 

ヴィラン達が去ってからしばらくして、警察が到着した。刑事が状況確認をしていく中でオールマイトを助ける為に飛び出して両足を折った緑谷を除けばA組生徒全員が無事である。

USJの出入口から敵のチンピラが連行されていく。因みに土砂ゾーンに居たヴィラン達は狂夜、轟、葉隠を見付けると……

 

 

「すいまっせんした!」

「押忍、失礼します!」

「償ってきます!」

 

 

等と体育会系のノリの様に、狂夜達に頭を下げてから警察に連行されていた。

 

 

「お前等、あのヴィラン達に何をしたんだ?」

「なんか、尋常じゃない雰囲気だったけど」

 

 

当然なんでそんな事になったか聞いてくる狂夜、轟、葉隠以外の生徒達。そんな彼等にどう説明したものかと狂夜が頭を悩ませていると刑事が歩み寄ってきてA組生徒達に指示を出し始める。

 

 

「とりあえず君達、生徒は教室に戻ってもらおう。すぐ事情聴取ってわけにもいかんだろ」

「刑事さん、相澤先生は……」

 

 

指示を受けたものの蛙吹が刑事に相澤の安否を尋ねる。蛙吹と峰田は相澤を運んだから、余計に安否が気になるのだろう。

その刑事はスマホを取り出すと、一言置いてどこかに電話を掛け始めた。

刑事は、スマホの通話をスピーカーにして全員に通話が聞こえるよう操作する。

 

 

『左腕の粉砕骨折と顔面の軽い骨折……幸い、脳系の損傷は見受けられません。ただ、眼窩底骨の一部が粉々になってまして……眼に何らかの後遺症が残る可能性もあります。擦り傷などは傷口の洗浄がされていたので感染症もなさそうですし、腕もきちんと固定してあり適切な応急処置でした』

「だそうだ……」

「ケロ……」

 

 

相澤の個性の発動は目である。そこに後遺症が残る可能性を指摘され、蛙吹が悲しげな声を漏らす。

 

 

「13号の方は、背中から上腕にかけての裂傷が酷いが命に別状はなし、彼女もまた応急手当のお陰でそこまで酷くないそうだ。オールマイトも同じく命に別状なし。彼に関してはリカバリーガールの治癒で充分処置可能とのことで保健室へ」

「デクくん…」

「緑谷くんは…!?」

 

 

緑谷と仲のいい麗日と飯田が眉を下げて二人の安否を問う。名前に聞き覚えと搬送された生徒を思い出して刑事が説明を開始する。

 

 

「緑……ああ、彼も保健室で間に合うそうだ。私も保健室に用があるのでこれで失礼するよ。三茶!後頼んだぞ」

「了解」

 

 

三茶と呼ばれた猫頭の警察官に後を任せると刑事は行ってしまう。

教師陣に守られながらA組生徒は校舎に戻る事となるが、狂夜は自身の手を見詰めて立ち竦んでいた。

 

思い出すのは『狂化』に飲まれ掛けていた自分自身。轟に凍らせられて頭が冷えてなければどうなっていたかを想像し、狂夜は身を震わせていた。

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