バーサーカーのヒーローアカデミア   作:残月

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入試試験①

 

 

雄英高校一般入試会場。流石は雄英と言うだけあって数多くの人がいた。

 

 

「すっげー……倍率の高さは伊達じゃねーのな」

 

 

狂夜が凄い量の人の山に少し驚いていると、その中でも妙に震えてる頭がモサモサの少年が目についた。面白いくらいに膝がガクガク揺れている。

 

 

「ま、緊張は俺も……あ」

 

 

転びそうになったモサモサ頭の少年を茶髪の女の子がモサモサ頭の少年を浮かせていた。

 

 

「なんかの個性か?」

「何が?」

 

 

突如、隣から声が聞こえたので狂夜が首を右に動かすと、そこにはオレンジ髪のサイドテールの女の子が狂夜を見上げていた。

 

 

「ああ、いや……彼処に居る奴が転びそうだったからさ」

「ああ……なるほど」

 

 

 

狂夜が指を指す方には、宙に浮いているモサモサ頭の少年と茶髪の女の子。それを見たオレンジ髪の女の子は納得した様な表情を浮かべた。

 

 

「あのモサモサ頭の奴が転びそうになったのを茶髪の女の子を助けたみたいでな」

「ふーん、良い奴なんだな」

 

 

オレンジ髪の女の子は感心したと頷くと、そのままクールに去っていった。グレートだぜ、と狂夜はリーゼントヘヤーの学ラン主人公の様にオレンジ髪の女の子を見送った。

 

 

「っと……俺も行かないと」

 

 

自身も受験するのだからと狂夜も試験会場へと急ぐ。最初は筆記試験。狂夜からしてみれば此所が最大の障害だった。

なんとか筆記試験を終えた後、ホールに集められた。暫くするとホールにサングラスをかけた金髪の男、ボイスヒーローのプレゼント・マイクが入ってきた。

 

 

「今日は俺のライブにようこそー!エヴィバディセイヘイ!!」

 

 

プレゼント・マイクの声がホールに響く。が会場の誰一人としてリアクションをしなかった。

 

 

 

「こいつはシヴィー!受験生のリスナー!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?YEAHHH!!」

 

 

プレゼント・マイクだけが叫ぶ。凄ぇよ、あれで心が折れないなんて、と狂夜は一人、プレゼント・マイクを心の中で称賛していた。

 

 

「入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!演習場には仮想敵ヴィランを三種・多数配置しておりそれぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!」

 

 

同じ学校の友達同士の協力を防ぐ為って事か。……と狂夜は同じ中学校は友達が雄英を受験しないので、俺一人だけだなと、少し悲しくなっていた。

 

 

「各々なりの個性で仮想敵を行動不能にしポイントを稼ぐのが君達リスナーの目的だ!もちろん他人への攻撃等のアンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

「質問よろしいでしょうか!?」

 

 

マイクの説明の途中で眼鏡を掛けた背が高くガタイのいい真面目そうな男子が立ち上がった。

 

 

「プリントには四種の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

 

そして、転びそうになったモサモサ頭の少年を指差す。

 

 

「ついでにそこの縮毛の君、先程からボソボソと……気が散る!物見遊山のつもりなら即刻、雄英ここから去りたまえ!」

「……すみません」

 

 

そう言われたモサモサ頭の少年は小さくなり謝罪していた。狂夜からしてみれば、緊張してる奴にその言い草もどうなのよ?といった所である。

 

 

「オーケーオーケー受験番号7111くんナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!ソイツは言わばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?あれのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体!所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!」

 

 

それを聞いた、受験者はざわついた。戦っても意味がない部類の敵。避けるか素通りしなければならないと受験生はザワザワと話し合う。

 

 

「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の”校訓"をプレゼントしよう……かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていくもの』と!『Plus Ultra』それでは皆、良い受難を」

 

 

散々、冷えたリアクションをされていたプレゼント・マイクだが最後の一言には会場の誰もが震えていた。流石、ヒーローだと思わせるパフォーマンス。

 

筆記がヤバそうだし、実技試験で挽回しないと……狂夜は気合いを入れ直していた。

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

数分後…ジャージに着替え演習場に到着した狂夜。既に着替えを終えた連中で溢れかえっていたが、狂夜の視線はそちらではなく。

 

 

「うわー……」

 

 

目の前に広がる実技試験会場に向けられていた。会場に到着したのはいいが広い。とにかくこの一言に尽きるのだ。どんだけ敷地広いんだよ、ここは……と狂夜は実技試験会場を眺めていた。

 

 

「…すっご」

 

 

そんな中、キョロキョロと周囲を見渡してるモサモサ頭の少年を発見した狂夜。何処か地味だが妙な目立ち方をしているモサモサ頭の少年を狂夜は気にしてしまう。そして緊張してるのが丸わかり。そしてキョロキョロとしている間に何かを見つけたのか歩き始めた。

 

 

「そうだ。さっきのお礼言わなきゃ…」

 

 

ボソッと独り言が聞こえたので、狂夜はモサモサ頭の少年の歩く先に視線を向ける。と、先程の茶髪の女の子が胸をトントンと叩きながら深呼吸をしていた。

それを見た狂夜は助けられた礼でも言う気かな?と結論付けた。

だが、モサモサ頭の少年の行動は先程の眼鏡の男子によって阻まれてしまう。声を掛けようとしたモサモサ頭の肩を掴み、眼鏡の男子が物凄く睨んでいた。

 

 

「いっ!?」

 

 

モサモサ頭の少年は突然、掴まれたのでビビりながら振り返り……肩を掴んだ者の正体を見て更にビビっていた。

 

 

「あの人は精神統一を図ってるんじゃないのか?君は何だ?妨害目的で受験しているのか?」

「そ、そんな……僕は……」

 

 

睨まれ説教をされて萎縮するモサモサ頭の少年。正しい事なのだろうが狂夜としては、その言い方は間違ってると感じていた。

 

 

「あいつ校門前で転けそうになった奴じゃ…」

「注意されて萎縮しちゃったの」

「少なくともライバル1人は減ったんじゃね?」

 

 

そして周囲がクスクスと笑い始め、狂夜は我慢が出来なくなり説教を続ける眼鏡の男子とモサモサ頭の少年の所へと歩み寄る。

 

 

「だったら、お前の行動も妨害工作か?」

「なんだと?」

 

 

狂夜の発言に眼鏡はモサモサ頭の少年から狂夜に視線を移し、睨み始める。

 

 

「彼が先程から周囲に悪影響を与えているから注意しただけだ。それが間違ってると?」

「注意そのものは間違っちゃいないさ。だが言い方と相手の気持ちを無視しすぎだ」

 

 

睨み会う狂夜と眼鏡の男子。周囲で笑っていた受験生は静かになり、モサモサ頭の少年は慌てた様子で狂夜と眼鏡の男子を見ていた。

 

 

「ソイツは緊張して震えて受験していた。ガクガクに緊張して、不安でな。そんなコイツにお前は何を言った?先程助けて貰った事に対して礼を言おうとしたコイツの行動を止めたが人に助けられて礼を言うのが間違いか?」

「あ、いや……ちょっと待ちたまえ……」

 

 

狂夜が睨みながら言葉を繋げると眼鏡の男子は焦り始める。

 

 

「コイツの行動を妨害工作と言ったな?だったら、お前はコイツを萎縮させて受験から落とそうって妨害工作か?今、お前がコイツに言った発言で周囲がコイツをどういう目で見ていたか気にもしなかったんだろう?」

 

 

狂夜の言葉を聞いた眼鏡の男子はハッとしたように周囲を見渡す。先程まで笑っていた受験生はサッと視線を反らした。

 

 

「お前のした行動は正しかったのかもしれないが……」

「いや、もういい」

 

 

狂夜が言葉を繋げようとすると眼鏡の男子はスッと狂夜を手で制した。そしてモサモサ頭の少年の方に向き合うと頭を下げる。

 

 

「すまない。他の受験生の為にと思った行動は君の気持ちや感情を踏みにじったものだった。本当にすまない!」

「え、いえいえいえ!僕も周りに迷惑を掛けてばかりで!」

 

 

今まで自身を咎めていた眼鏡の男子に頭を下げられたモサモサ頭の少年は、却って慌てていた。

 

 

「それはそうと……キツい言い方になったのは俺も同じだ。すまない」

「いや、互いにそうだったんだ。この話は終わりにしよう。次は正々堂々と試験に望むとしよう」

 

 

狂夜が眼鏡に頭を下げると眼鏡の男子は話を打ち切った。

 

 

「あ、あの……すいませんでした」

「そこは、『ありがとう』だろ?気にしなくていーよ」

 

 

モサモサ頭の少年が狂夜に謝ってきた。狂夜は気が小さいけど良い奴なんだなとモサモサ頭の少年を認識していた。

 

 

「それに緊張してるのは俺も同じだしさ」

「そ、そうなんですか?あ、僕は緑……」

「んじゃスタート」

 

 

そしてモサモサ頭の少年が自己紹介をしようとした時、プレゼント・マイクの声が周囲に鳴り響く。

 

 

「今、スタートって言ったか?」

「えと……言ったね」

 

 

狂夜とモサモサ頭の少年が呆然としてると……

 

 

「何やってんだー!もう開始の合図したろ!?実戦じゃカウントもクソもねぇだろよ!賽はもう投げられてんぞ!?」

「……へ?」

「やべぇ、走るぞ!」

 

 

プレゼント・マイクの言葉に思考が追い付かなかった狂夜とモサモサ頭の少年だったが、試験は既に始まっていた。狂夜はモサモサ頭の少年の肩を叩き正気に戻すが、いち早く正気に戻った他の受験生は既に走り始めていた。

 

 

「す、すいませ……あ、いや、ありがとう!出遅れるかと思ったよ!」

「役に立てたなら何より!さて筆記の方が心配だからこっちで挽回しないとな!」

 

 

モサモサ頭の少年は狂夜の先程の発言を気にしてか謝罪から礼に言い直してきた。狂夜はモサモサ頭の少年に気にするなと叫んだ直後、1P仮想敵を見つけた。

 

 

「それじゃ……行くかっ!」

 

 

狂夜は個性を発動して1P仮想敵に飛びかかった。発動した個性は『狂化』。『狂化』の個性は狂夜の体に駆け巡り、力を増していく。狂夜は拳を振り上げて1P仮想敵を殴り飛ばした。

 

 

「せぁりゃぁぁぁぁっ!」

 

 

殴り飛ばした1P仮想敵を距離の離れた2P仮想敵にぶつけて破壊する。破壊された仮想敵に満足すると狂夜は周囲を見渡す。

 

 

「これで3P……よし、ドンドン行くか……」

 

 

気合いを入れた狂夜だがモサモサ頭の少年を見失っていた。気は小さいけど良い奴みたいだったから受かって欲しいものだと思うと同時に、まだ名前聞いてなかったな……と思っていた。

そんな事を思いながら狂夜は次々に仮想敵を破壊していくのだった。

 

自身の個性『狂化』に理性を食われないように調整をしながら……

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