会場は既に大盛り上がりであった。
一位通過の緑谷。一度は追い抜かれたが二位を勝ち取った狂夜。三位に終わったが終始一位をキープし独走していたエンヴァーの息子、轟と怒涛の接戦を繰り広げた四位の爆豪勝己。
「一位は緑谷君、二位は間桐君、三位は轟君、四位は爆豪君……それから四十二位までの結果はこんな感じね」
モニターに各順位が表示される。それを見て爆豪が額に青筋を走らせた。
「半分野郎や暴走野郎に……デクにまで負けるなんてっ!」
「お前に暴走野郎とか言われたくねーんだけど」
キレている爆豪に狂夜はツッコミを入れた。この状態の爆豪に普通に話しかける狂夜に周囲は驚いていた。
「次からが本戦よ!みんな、気張っていきなさい! そしてその内容はコレよ!」
ミッドナイトの叫びにモニターに次の種目が映し出される。モニターには『騎馬戦』と表示された。
そこで一同は少し考え込む。個性ありで騎馬戦とはどうやればいいのかと……しかし、その疑問は生徒達が勝手に想像してしまう。ポイント制で分けて、それぞれを奪い合うポイント稼ぎ方式である。次々に予想を口にしてミッドナイトの台詞を奪ってしまう。その事にミッドナイトは怒ってしまうが、おおよそのルールは合っていたらしく続いてポイントの説明に移った。
順位の下から低いポイントが与えられ、騎馬を組んだ段階で合計ポイントをハチマキにして、それらを奪い合う。そこまではまだ普通の騎馬戦とそう変わらないが、モニターに映し出された映像にピタリと生徒達の動きが止まる。そう、一位の選手にはポイントが1000万も振り込まれるからだ。
『さあ、狙ってください』と言わんばかりの点数に一瞬にして全員の視線が一位の緑谷に集中する。その視線を浴びた緑谷は冷や汗をダラダラと流し、視線は何処を見ているのか目が泳いでいた。
そして騎馬戦のメンバーを決めるためのタイムが設けられたのだが、狂夜は緑谷と組もうと思っていた。
「あちゃー……不運だな緑谷も」
それというのも緑谷が誰かに声をかけようとすればフイッとそっぽを向かれてはまた落ち込むを繰り返すという状況。
そんな光景を何回も繰り返していればさすがに緑谷も自身のポイントが障害になっているのは分かるというもの。
「しゃーない、組んでやるか……狙われる率が確実に上がるけど」
緑谷と狂夜が組むという事は一つの騎馬に一位と二位が固まっている事になる。それは他の騎馬からしてみれば、鴨が葱を背負ってきた……と言うよりは鴨が葱を背負って鍋とガスコンロまで持参している様なものだ。
狙われるリスクは高まるだろう。でも、組まれないのは寂しいよな、と狂夜が緑谷に声を掛けようと歩み寄ろうとした瞬間、狂夜は肩を叩かれる。振り返ると以前、A組の前を占拠していた男子生徒が狂夜の肩に手を置いていた。
「なあ、俺と組まないか?」
「ん、あれ……お前たしか……」
狂夜の意識はそこで途絶えた。