それは急な感覚だった。
「………はっ!」
狂夜の意識が戻ったのは騎馬戦の最中だった。
気が付けば自身は騎馬の下に組み込まれていた。狂夜が前で後ろに尾白が右翼で左翼にはB組の庄田が組まれていた。
「な、なんで正気に戻ったんだ!?」
「なるほど……お前の個性か」
騎馬の上で驚いている心操の様子から狂夜は心操の個性で操られていたのだと判断した。
「取り敢えず……起きろ、二人とも!」
「ぐぼっ!?あれ、此処は!?」
「痛っ!?え、騎馬戦が始まってる!?」
狂夜は未だに操られている尾白と庄田に器用に蹴りを見舞う。すると蹴られたショックで二人の意識は洗脳の状態から解除された様だ。
「急な事で混乱してるだろうけど今は騎馬戦に集中してくれ、二人とも!心操、曲がりなりにもチーム組んでるんだから勝てる様に動け!」
「…………わかったよ」
狂夜は尾白と庄田に激を飛ばし、心操にも叫ぶ。心操も今は騎馬戦を優先させる為なのか大人しく狂夜に従い、騎馬戦を戦い抜いた。
他のチームが乱戦している最中の隙を突き、心操チームは他のチームのハチマキを静かに奪い去り、着実にポイントを獲得していった。
その結果、一位が轟チーム。二位が爆豪チーム。三位が心操チーム。四位が緑谷チームとなった。
騎馬戦が終わり、それぞれが最終種目に勝ち上がった事に喜ぶ者、敗北に嘆く者に分けられる。
そんな中、狂夜は尾白と庄田に事態の経緯を話していた。
「えっ、洗脳!?」
「多分……だけどな。心操の個性だと思うが……」
「それで意識が飛んでたのか……」
説明を聞いた尾白と庄田は衝撃を受ける。そして二人とも俯いてしまった。
「じゃあ……僕達は……」
「操られて……何も分からないまま最終種目に勝ち上がってしまったのか……しかも、間桐が起こしてくれなきゃ、それにも気付かなかった……」
「俺自身、何で洗脳が解けたのか分からないんだけどな」
心操に操られてしまった事にショックを受けていた尾白と庄田に狂夜自身も何故、洗脳が解けたのか謎である。
『一時間ほど昼休憩を挟んでから午後の部だぜ!じゃあなっ!おい、イレイザーヘッド、飯に行こうぜ!』
『俺は寝る』
プレゼントマイクの放送から一先ずは休憩となった。相澤は昼を食べずに寝るらしい。
「ま、勝ちは勝ちだ。取り敢えず飯に行こうや。腹が減ってれば気持ちも落ちこんじまう」
「ああ……」
「そうしよっか」
狂夜は落ち込んでいる尾白と庄田に気分転換をさせようと食事に誘うが二人の表情は曇ったままだった。