バーサーカーのヒーローアカデミア   作:残月

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職場体験②

 

 

狂夜がシンリンカムイと共に解決した強盗事件の翌日。普通なら職場体験をした学生が事件解決などすれば、それなりにニュースになるのだが、それ以上のニュースが世間を飛び交っていた。

 

『ヒーロー殺しステインの逮捕』それにクラスメイトの緑谷、轟、飯田が関わっていると知ったのはシンリンカムイと共に警察に強盗のヴィラン二人を引き渡して事情聴取が終わってからだった。スマホのメッセージに緑谷から住所だけが送られて来ており、そこで狂夜の中で答えが繋がった。この住所が指し示す意味はヒーロー殺しがそこに居ると言う意味だったのだ。

 

 

「つまり、ヒーロー殺しに接敵してプロヒーローに通報をして欲しいって事だったんだな。すまなかったな気付かなくて」

『ううん、間桐君も他の事件に関わってたり、事情聴取があったんなら仕方ないよ』

 

 

狂夜は緑谷に電話をしてメッセージの意味と安否について聞いていた。怪我はしたものの無事だと言うので狂夜は安堵した。

 

 

『でも、凄いよ。シンリンカムイの下で職場体験して事件解決までするなんて』

「ヒーロー殺しに関わったお前達に比べれば大した事じゃねーよ。取り敢えず無事なら何よりだ。詳しくは話せないんだろうけど、学校でまた聞かせてくれ」

 

 

通話を終えた狂夜はシンリンカムイとパトロールに出る。昨日の事もあり、狂夜は街の人からヒーローの卵であると同時に凄い事をした学生と言う認識なのか挨拶をされたり、見られたりと落ち着かなかった。

 

 

「先程、電話していた様だが友人か?」

「ええ、昨晩のヒーロー殺しの件に関わってたみたいで」

 

 

歩きながらシンリンカムイから先程の通話の事を聞かれる狂夜。

 

 

「学生が事件に関わるか……」

「なんか思う所があるんですか?昨日、事件に関わった身としては複雑ですけど」

 

 

俯き気味になってしまったシンリンカムイ。狂夜はシンリンカムイは学生が事件に関わるのを嫌がっているのかと考えた。

 

 

「一年程前の話だが我はヒーロー活動をする最中で学生が事件に巻き込まれて人質になってしまった事がある。その時、我は爆炎が苦手と言う理由で助けに行けなかった……いや、行かなかった」

 

 

シンリンカムイはグッと拳を握りしめた。

 

 

「だが、その時……その学生の友人が助けに行ったのだ。他のヒーロー達が尻込みしていたのに、その少年は脇目も振らずに助けに入った。当然、その少年の力では助けられなかったが、オールマイトの助けにより、事件は解決して人質も解放された。その時、思ったよ……我はヒーローだったが、命懸けで戦うヒーローでは無かったとな。あの時の自分はオールマイトやあの少年の様な勇気が無かったと感じてしまってな」

「……その少年二人は雄英でヒーローを学んでますよ。まあ、片方はそのヒーロー殺しに関わった奴ですが」

 

 

シンリンカムイの告白に狂夜は何処かで聞いた話だと思っていたが最後まで聞いて確信が持てた。シンリンカムイが言っている事件の少年二人は間違いなく緑谷と爆豪である。

 

 

「な、本当か……まさか、あの時の少年がヒーロー殺しの件に関わっていたのか?」

「多分、そうですね。本人からも当時の話を聞きましたけど状況が同じですし。それに悔いる必要も無いですよ。緑谷は貴方を恨むなんてしてませんし……」

 

 

シンリンカムイは驚いた様子で狂夜に詰め寄る。狂夜はそれに少々驚きながらも緑谷から以前聞いたヘドロ事件の話をした。

 

 

「そうか……雄英の体育祭で見掛けて、まさかとは思っていたが……」

「シンリンカムイが俺にやけに親身に個性のコントロールを教えてくれたのって緑谷の事があったからですか?あの時の後悔を抱えていたから……」

 

 

狂夜は思った事をシンリンカムイに尋ねる。

 

 

「それもあるが……悩む若者を今度は正しく導きたいと思ってな。特に個性に悩む、君を……な」

「シンリンカムイ……」

 

 

若手ヒーローの中でも急成長をしていると言われているシンリンカムイに言われて狂夜は感謝を感じていた。

 

 

「俺がヒーローになろうと思ったのって……個性の事で悩んでる時に助けてくれた先輩が居たからなんですよ。それから、俺みたいな個性でもヒーローに成れるって証明したくて……シンリンカムイみたいなヒーローにアドバイス貰ってヒーローに成れませんでした、なんて言えませんよ」

「バーサーカー……俺を慰めよ『オホホホホホッ!』とう」

 

 

狂夜の言葉に何かを言おうとしたシンリンカムイだが、それを遮る様に何者かの声が駆け抜けて行く。巨大化したマウントレディが走り去って行き、シンリンカムイの言葉はかき消されてしまった。

 

 

「……事件の要請があったみたいですね」

「ああ……我のスマホにも要請の連絡が来た。どうやら車の多重事故らしい。被害が大きいからヒーローにも要請が来た様だ」

 

 

シンリンカムイが何か良い事を言ったのだろうが聞けなかった狂夜と言葉を遮られたシンリンカムイは微妙なテンションになっていた。

 

 

「行きましょうか。さっきのは今度、聞かせてください。俺がプロになったら」

「なら、早くプロになるんだな」

 

 

狂夜とシンリンカムイは揃って走り始めた。これから数日間大きな事件は起きず、パトロールばかりとなったが狂夜にとって職場体験は有意義な物となったのであった。

 

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