「よーっす。女子達は全員勢揃いか」
「男子達はこれからでしょ?」
「その人が間桐君の彼女?!お話、聞きたーい!」
「ケロ、先輩なのよね?」
「男子側のプールって上鳴と峰田が企画したんでしょ?あの二人が訓練を申し出るって怪しいんだけど……」
「デク君達も一緒らしいから本当に訓練ちゃうん?」
「波動先輩のプール申請も許可が下りました。ご一緒にどうぞ」
ねじれと共に雄英高校に対着した狂夜は既に揃っていたA組女子に挨拶をするとそれぞれに今回のプールに対する話が上がる。対するねじれは狂夜の服の裾を引く。
「皆、狂夜君のクラスメイト?」
「ええ、皆良い奴なんで安心して……先輩?痛いっス」
ねじれはA組の女子達の顔を見回した後に膨れっ面になり狂夜の背をパシパシと叩き続けた。その様子にA組女子達は全員が含みのある笑みを浮かべていた。
中でも芦戸がねじれの背後に回り込むと耳元で囁く。
「初めまして波動先輩……ご安心を。私達、本当にただのクラスメイトですから。先輩から間桐は取りませんよ」
「むー……」
「さぁ!行きましょ行きましょ!」
「先輩、なんか勘違いを……」
「む、もう来ていたのか間桐君!荷物を運ぶのを手伝ってくれたまえ!」
芦戸の囁きにねじれは狂夜を睨みながらも葉隠に背中を押されながら校内へと入って行った。狂夜はねじれがA組女子に対して何か誤解をしていると感じ誤解を解こうとしたがタイミング悪く荷物を抱えた飯田が狂夜を呼び止めた為に叶わなかった。
軽くため息を溢しながらも飯田の抱えていた荷物を受け取る。
「なんだよ、コレ?」
「スポーツドリンクやジュースの差し入れだ。熱中症の事も懸念しなければならないからな!俺達は皆が来る前に準備を済ませよう!」
大量のスポーツドリンクやジュースを折半して持ちながら狂夜と飯田も更衣室へと向かう。どうやら他の皆が来る前に準備万端にして集まり次第、即訓練しようと考えているのだろう。真面目ここに極まる。
「あの調子じゃ先輩、絶対誤解してんだろーなー。そして無駄に誤解されて不機嫌になって割を食うのは間違いなく俺っと。ったく……俺は先輩一筋だっての」
更衣室で着替えを済ませた狂夜は先程のねじれの不機嫌な様子を考えていた。あの様子では誤解され疑われて互いの関係に亀裂が入りかねない。
そんな不安を抱えていた狂夜の思いは……
「あ、狂夜君。あの子達、皆良い子だね」
「なんスか、その変わり身。お前等、先輩に何を話した。そして、そのニヤニヤはなんだ」
「べっつに〜?」
「いやぁ、間桐君も進んでるねぇ」
「ロックだね、間桐」
アッサリと許されたのだった。ねじれは嬉しそうに狂夜の手を取り、芦戸・葉隠・耳郎が超ニヤニヤしていた。葉隠の姿は見えないが声音からニヤニヤしていると察するのは容易かった。
「あの……私達の方でフォローさせていただきました。波動先輩が間桐さんと私達の事を疑っていた様でしたので訂正を……」
「ケロ……過激ね、間桐ちゃん」
「間桐君……やっぱり相談させて貰っても良い?」
モジモジとしながら八百万・蛙吹・麗日がコソッと話しかけてきた。この時点で狂夜はねじれが口を滑らせて言わなくても良い所まで話したな、と確信した。恐らく八百万達のフォローを受けた後に気を良くして口が軽くなったのだろう。
年頃の乙女に恋愛話は最高のアルコールとなった事だろう。話した側も聞いた側も浮かれているのが目に見えた。
「じゃあ先に行くね」
「男子達も揃ってきたみたいじゃん」
「後でねー」
「皆、準備運動を忘れるなよ!」
ねじれを含めたA組女子達は先にプールへと纏まって移動して行った。飯田が女子達にプール前の準備運動を促しながら更衣室から出てくる。
その出立は水着に水泳キャップにゴーグルとフル装備だった。
「真面目だな、飯田」
「水難事故等を考えれば当然の処置だ!」
「間桐、飯田。早いな」
「緑谷達はまだなのか?」
いざ、プールへ行こうと飯田が持参したクーラーボックスを担いだ狂夜だったが同時に後ろから声を掛けられる。振り返ると轟と瀬呂が来ていた。
「緑谷達はまだ来てないぞ。ま、言い出しっぺだし、そのうち来るだろ。女子達はもうプールへ向かったぞ。お前達も着替えたら早く来いよ。訓練なんだからな」
「その格好は明らかにツッコミ待ちだろうが!」
狂夜は水着に着替えたもののサングラスにアロハシャツを着ており、訓練に臨む者とは思えず明らかにバカンスに行く姿だった。クーラーボックスを持っているのもそれに拍車を掛けている。パラソルかスイカでも持っていたら役満状態だっただろう。
「間桐君!訓練なんだぞ、なんだその格好は!?」
「日差しで目を悪くしない為のサングラスと体が冷えない様に上着を用意したんだ。対策だよ」
当然ながら飯田からツッコミが入るが狂夜の言い分に「それは……確かに」とアッサリと言含められ、瀬呂から「論破されんなよ!」とツッコミが入ったのだった。