女子達はプールてサイドで準備体操をしていた。その間に男子達もゾロゾロと集まり始め、来ていないのは緑谷、上鳴、峰田、爆豪、切島となっていた。
「やっぱ皆、来てんだな」
「そりゃ夏休みに何処にも遊びに行けないってなればそうだろ。プールで訓練って言っても半分は遊びに来てる様なもんだし」
「って言うかなんでアロハ?」
瀬呂の発言に狂夜は同意し、尾白から地味に服装に関してのツッコミは貰った狂夜。確かに訓練の名目ではあるが、夏休みに学校でプールとなれば気持ち的には遊び心も出るだろう。事実、女子達は日光浴でプールの使用許可を得ているのだから。
そんな話をしていると上鳴と峰田がプールに走り込んできたと同時に崩れ落ちた。女子達を見て沈んでいる辺り、女子達の水着姿が目当てだったのは目に見えている。
「やあ、上鳴君、峰田君。夏休みに学校のプールで訓練とは盲点だったよ。さあ、訓練に勤しもう!」
「ちょ、待……飯田!?」
「ぎゃぁぁぁぁぁっ!めっちゃ筋肉質!?」
飯田は上鳴と峰田の提案に感銘しており、二人を抱き上げると訓練しようと連れて行ってしまう。当然ながら女子達の水着目当てだった上鳴と峰田の目論見は崩壊しており残念な気持ちのまま追い打ちをかける様に男の抱擁と救いがなかったりする。ある意味では自業自得ではあるが。
「さってと。俺達も訓練しますか」
「狂夜君は遊ばないの?」
アロハシャツを脱いで男子達と共に訓練に参加しようとした狂夜だったがねじれに袖を掴まれる。いっそこのまま女子達に混ざって遊びたいと言う気持ちはかなりあるがそれをしたら上鳴と峰田がヴィランよろしく襲ってくるのは目に見えていた。
「流石に最初は訓練してます。後で少しでも良いから遊びましょう先輩」
「むー……でも許したげる」
ねじれは狂夜の腕に身を寄せながら不満そうにしたがすぐに笑みに戻り、狂夜から離れてA組女子達と遊び始める。先程、女子達がフォローしたと言っていたのでその効果もあるのだろう、と狂夜は結論付けて男子達との訓練に勤しむのだった。
そして残り時間も少なくなってきたときに男子達がプールで一位を決めるとか話しだしたので、女子達は応援をする事となる。後から合流した爆豪や切島もレースに参加して三組に分かれてそれぞれ勝負が行われてたのだが爆豪は個性を使用し爆破で空を飛んで一位となった。「泳いでねーだろ!」とツッコミが入るものの個性の使用は有りとされていたのでルール違反とはならず一位となった。
二組目では轟が同じく氷を発生させて一気に滑り抜けようとしたが狂夜は狂化を発動させなんとプールの仕切りのコースロープの上を走り抜いたのだ。強化された脚力にコースロープの上を走る事で一瞬の浮力を利用して走ったのだ。水に片栗粉を混ぜたものの上を走る実験と同じ容量である。
しかし、そんな奇想天外な事でも轟の氷の速度には僅かに及ばす、狂夜は二位となってしまい脱落。
三組目では飯田が狂夜と同じ様にコースロープの上を走り、一気に一位に躍り出たが緑谷の猛追に最後は追い抜かれ、緑谷が一位となった。
「個性使うと50メートルの自由形も凄い事になるな」
「忍者みたいに水の上を走り抜けた奴が言う事かよ」
とんでも50メートル自由型に笑う狂夜だが砂藤の言う通り狂夜もビックリ人間側であったりする。
残ったのは最終戦に爆豪、轟、緑谷の三名。それぞれが『駆け抜ける』『滑り抜く』『泳ぎ切る』と気合が入り、いざスタート……のタイミングで三人の個性が解除され三人はプールに落とされた。
相澤がプールの使用指定時間の5時を過ぎたと告げに来た事で勝負はお預けになってしまい、A組全員が不満を口にしたのだが相澤の睨みで鎮圧され解散となってしまったのだった。
「先輩、今日は楽しめましたか?」
「んー……狂夜君とは少ししか遊べなかったからちょっと不満」
帰り道、狂夜とねじれは腕を組んだまま帰路についており、狂夜が今日の事をねじれにと問うとねじれは少しだけ不満そうにしたがニコリと笑みを浮かべた。
「でも、皆と仲良く出来たし狂夜君がカッコ良かったから満足」
「俺も先輩と過ごせて良かったです」
コツンと狂夜の肩に頭を乗せるねじれに狂夜はねじれと共に過ごせる夏休みに良かったと告げる。
来週からは狂夜は家族旅行だし、その後は林間合宿なのだから夏休みは実質的にねじれと過ごせる時間は無いだろう。その中で今日という日にねじれと共に過ごせて良かったと言うのは狂夜の偽りざる本音だった。
「えへへー」
その事をねじれも感じ取って狂夜に明るい笑みを溢す。
当然ながらその光景を見ていたA組一同は嫉妬に狂う者と羨ましそうに見る者に分かれるのだった。
次回からI•アイランド編です。