バーサーカーのヒーローアカデミア   作:残月

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個性把握テスト

 

 

 

「「「個性把握テスト?」」」

 

 

担任である相澤から体操服に着替えさせられグラウンドに出たA組の面々に告げられたのは、個性把握テストなるものだった。

 

 

「実技入試成績のトップは爆豪だったな。ボール投げの記録は覚えてるか?」

 

 

爆豪は相澤から個性なしのボール投げの記録を聞かれる。

 

 

「確か76」

「なら、個性ありでやってみろ。円から出なきゃ何してもいい」

 

 

相澤からボールを渡され爆豪はボールを持って円の中に入り、振りかぶった。

 

  

「んじゃま……死ねやぁ!!」

 

 

ボールを投げると同時に爆豪の怒号が響き渡る。瞬間、衝撃が増幅されボールがありえないほど飛んでいくが、A組の面々は爆豪の掛け声の方に気をとられていたりする。

 

 

「まずは自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 

相澤がスマホで記録したボール投げの飛距離を見せながら呟く。スマホには爆豪の記録が表示されていた。

各人が気になってスマホを覗いてみると、表示された記録は706メートル。

爆豪が個性を使って出した記録にA組生徒はテンションが上がり、面白そうと、個性思いっきり使えんのか、とかなり盛り上がっている。

しかし、相澤にはこの雰囲気が気に入らなかったらしい。目をギラリと光らせて睨み付けてきた。

 

 

「よし、8種目トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

「「「はぁぁぁぁっ!?」」」

 

 

 

相澤は口端をニヤリと上げてA組生徒に死刑宣告にも似た台詞を吐き出した。これにはA組生徒、全員が悲鳴をあげる。

 

 

「生徒のいかんは俺たちの自由。ようこそ、これが雄英高校ヒーロー科だ!」

「最下位除籍って入学初日ですよ!いや、初日じゃなくても理不尽すぎる!」

 

 

入学初日に除籍を受け入れらる筈もなく、茶髪の女の子が相澤に反論する。

だが、相澤は受け入れるつもりがないらしい。災害に事故に敵たち、日本は理不尽にまみれている。そして、それを覆すのがヒーローだ、とA組生徒に言って聞かせた。

 

 

「放課後、マックで談笑したかったならおあいにく、これから3年間雄英は君たちに全力で苦難を与え続ける。さらに向こうへ、Plus Ultraさ。全力で乗り越えてこい」

 

 

相澤の挑発じみた言葉にクラスメイトたちの表情も変わる。確かに最下位除籍はやり過ぎなような気もする。だが、ここでいきなり除籍は嫌だと全員が奮起した。

 

体力テストの内容はソフトボール投げ、立ち幅とび、50M走、持久走、握力、反復横とび、上体起こし、長座体前屈。

 

流石は雄英高校ヒーロー科に入学を果たした生徒達は、誰もが個性を使用し何か1つくらいはありえないような記録を打ち立てていく。

 

触手のようなものがある生徒、障子は腕を増やして500キロを超える握力を叩き出した。

反復横跳びでは頭に葡萄のようなものをつけた生徒、峰田が左右に謎のボールを設置して高速移動しながら反復横跳びをしていた。

そしてボール投げでは茶髪の女の子改め、麗日が無限という信じられないような記録を出して皆を驚かせた。

 

そんな中で狂夜は一番ではないにせよ良い記録を出し続け、ボール投げでは……

 

 

「っしゃおらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

『狂化』で強化した身体能力を駆使してボールを勢い良く投げ、ボールは飛距離を伸ばす。流石に無限とまではいかないがグングンと距離は延びていく。

 

 

「613メートル!?」

「こっちも凄い!」

 

 

麗日、爆豪には届かないもののボール投げでは好成績となった。そして、ボール投げの順番は緑谷の番となったが記録は40数メートル。

 

 

「アイツの個性ってパワー型じゃなかったか?なんで、あんな記録なんだ?」

 

 

狂夜の呟きに答える者は居なかった。緑谷は自身の手を見つめながら「なんで……」と呆然としている。

 

 

「ったく……入試の内容は合理的じゃないな。お前みたいなのが合格しちまうんだからな」

 

 

そこで言葉を発したのは相澤だった。先程までとは雰囲気が違い、目を見開いて緑谷を見つめていた。

 

 

「あのゴーグル……そうか、イレイザーヘッド!」

「誰それ?」

 

 

緑谷は相澤の瞳やゴーグルを見て、相澤のヒーロー名に辿り着いたらしい。他の者は狂夜を含めてイレイザーヘッドの名を知らなかった様だが。 

緑谷の解説から相澤/イレイザーヘッドの個性が対象者の個性を消す個性だということが判明した。

 

 

「緑谷、大丈夫かな?」

「んー……俺は入試の時に緑谷を見てるから分かるけど……多分、大丈夫だと思う」

 

 

個性を消された緑谷は相澤に何やら怒られていた。正しくは指導なのだろうが、狂夜や他の生徒からはただ怒られている様にしか見えなかった。

その後、指導が終わったらしく緑谷がボールを投げた。そのボールは凄まじい勢いで飛んでいく。だが、緑谷の指は真っ赤に腫れ上がっていた。

ボールの記録は700メートルを超える大記録となっていた。

 

 

「700メートル越えた!爆豪に並んだぞ!?」

「だから言ったろ大丈夫だって。むしろ大丈夫じゃなかったのは……」

 

 

緑谷の記録にはしゃぐ上鳴だが、狂夜が指を差した部分に視線が移り、青ざめた。緑谷の指は見るも無惨に赤く腫れ上がっていたのだ。

 

 

「な、なんなんだよ……あれ」

「多分、個性の反動だな。因みに入試の時は右腕と両足がバキボキだったぞ」

 

 

狂夜の言葉に、入試の時の緑谷の姿を想像した者達は顔を青くした。

そんな話をしていると、爆豪が緑谷に恨み節全快で殴りかかろうとしているのを相澤が止めた。相澤が身に纏っていた布は特殊な捕縛武器なのだと相澤の口から語られた。

 

 

「たく、何度も何度も個性使わせるなよ。俺はドライアイなんだ!」

 

 

爆豪の動きを止めた相澤は叫び、その時、クラスの全員の心が1つになった。

 

『個性、凄いのにもったいない!』

 

見たものの個性を消す。強力な個性なのに本当にもったいなかった。

その後、荒れていた爆豪も除籍にするぞ、と相澤に睨まれた為に大人しくなり、個性把握テストは続いた。そして結果の発表になった。

 

結果として狂夜は3位に食い込んだ。そして、除籍処分となる最下位は緑谷だった。記録らしい記録がボール投げのみ。更にボール投げで指を負傷した緑谷は、他のテストにもそれが影響して結果は散々なものとなってしまったからだった。

 

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

 

相澤がポツリと衝撃の一言を落とした。

理解が追い付かないA組全員が口を開けてポカンとしていた。

 

 

「君らの個性を最大限引き出す合理的虚偽」

「ええええぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

 

ニヤッとイタズラ成功した笑みを浮かべる相澤に緑谷は大袈裟に驚いていた。

 

 

「そんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えればわかりますわ」

「うーん、普通に騙されてたわ」

 

 

呆れた様子で八百万が呟き、上鳴が騙されたと嘆くと他のクラスメイトもうんうんと頷いていた。

 

 

「これにて、終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類があるから戻ったら目を通しておけ。後、緑谷は婆さんの所に行って指を治してもらえ」

 

 

相澤の一言で入学初日いきなり始まった個性把握テストは終わりを告げた。

緑谷は指の治療の為に帰りのHRは少し遅れて来たが、無事であることに狂夜は安堵していた。

 

 

 

そして帰り道。

 

 

「A組入学式にいなかったけど、何してたの?」

 

 

帰る間際に拳藤と会った狂夜は駅までの道のりを一緒に歩いていた。その際にA組が入学式に姿を現さなかった事を疑問に感じた拳藤は狂夜にその事を尋ねていた。

因みに、ねじれは用事がある為に帰りは別だったりする。

 

 

「個性把握テストしてた。しかも最下位は除籍処分」

「え、初日から?しかも除籍処分って!?何、入学初日からバイオレンスな事してんの!?」

 

 

狂夜の発言に驚く拳藤。そりゃ驚くよな、と狂夜は苦笑いだった。

 

 

「それは担任の相澤先生に言ってくれ。まあ、除籍は俺達の全力を出させる為の嘘だったんだけどな」

「A組とB組で内容が違いすぎるよ。B組は普通に入学式の後、ガイダンスだったけど……あ、B組の先生は体はゴツいけど、優しい先生で……」

 

 

A組とB組の違いを話し合う狂夜と拳藤。その姿はとても仲も睦まじく……

 

 

「やっぱプレイボーイじゃねーか、アイツ!」

「個性把握テストで上位で、別クラスの女の子と仲良くなってるって、羨まし過ぎるだろ!」

 

 

その光景を見ていた上鳴と峰田は血の涙を流していた。

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