「ねぇねぇ狂夜君、不思議。あれなんだろ?」
「なんか凄い人だかりですね」
戦闘訓練の次の日。いつもの様に、ねじれと登校していた狂夜だが、校門前に人だかりが出来ていた。
「不思議、今日ってなんかあったっけ?」
「特に学校行事があったとか聞いてないんスけど」
そんな話をしながら、歩いていると校門前の人だかりが移動し始め、狂夜とねじれの周りを囲む。
「はーい、ちょっといいかな?」
「オールマイトについて聞かせてもらえませんか!?」
「オールマイトが先生ってどんな感じですか!?」
「教師としてのオールマイトはどんな授業をしていますか?」
オールマイトが雄英の教師に就任したニュースは全国を驚かせ、連日マスコミが押し寄せる騒ぎになっていた。
どうやら朝からズッと校門の前に陣取って、生徒達にオールマイトの事を質問攻めにしているらしい。
「不思議。何でオールマイトのこと知りたいの?それで生徒達に迷惑をかけるのは、いけない事だと思うの。知ってた?」
「あー……俺達、学校に入りたいんでどいてくれます?」
ねじれはマスコミに注意をするが、質問攻めをやめないマスコミ陣。狂夜も学校に遅刻したくないから退いて欲しいと促すも、マスコミ陣は知ったことじゃないと更に捲し立てて来た。
恐らく今までも生徒達にインタビューしたが、スルーされ続けた為に強引に話を聞こうという気なのだろう。
退く気配のないマスコミ陣に狂夜は溜め息を吐くと、ねじれを抱き寄せた。
「悪いけど、失礼しまっす!」
「え?きゃあ!?」
狂夜はねじれを横抱き、すなわちお姫様抱っこをすると『狂化』を発動し、マスコミ陣に陣取られて通れない校門を飛び越えた。
ねじれは突如抱き上げられた事に小さく悲鳴を上げ、後はされるがままだった。
校門を飛び越えた狂夜はスタッと綺麗に着地した。
「見事な着地。10.00」
「着地は見事だが個性を使うのは0点だ」
狂夜が校門を飛び越え着地し自分のジャンプに点数を付けると、着地した先で点数を付けられた。視線を上げると其処には担任の相澤が立っていた。その瞳は個性が発動して赤くなり、ザワザワと拘束用の捕縛布が動いていた。
「マスコミが校門の前を陣取っていたから仕方ないとは言ってもやりようは他にもあっただろう。今回は見逃すが次はないぞ」
「あ……はい」
ギロリと睨まれた狂夜はコクコクと首を縦に振る。相澤はそのままマスコミの相手をしに校門の方へと歩いて行ってしまったが、狂夜は相澤の睨みにビビって固まっていた。
「ねぇねぇ、知ってた?これって、お姫様抱っこって言うの」
「と、とと……すいません」
ねじれが楽しそうに狂夜に話し掛けると、狂夜はねじれを抱き上げたままだった事に気づき、慌ててねじれを下ろした。
「あ、えと……相澤先生、マスコミの相手するみたいですけど、あの様子じゃマスコミも学校の中に入ってきそうですけど」
狂夜は顔を赤くしたまま誤魔化す為に、相澤の話題をねじれに振るがねじれはニッコリと笑みを浮かべた。
「知ってた?前に話した校門の秘密の話」
そう言って、ねじれは校門を指差した。狂夜が視線を移すと、相澤を追って一人のマスコミが学校に入ろうとしているが、それと同時に校門からシャッターが降りてマスコミの侵入を阻んだ。
「なんですかアレ!?」
「知ってた?雄英バリアー!」
狂夜が突然の事態に驚いていると、ねじれは待ってましたと答えた。
「凄まじくダサい名前なんスけど……なんですかそれ」
「学生証、通行許可IDを身に着けてない者が門をくぐるとセキュリティが働くの。不思議」
つまり校内のいたるところにセンサーがあって侵入者を阻むのか……と狂夜が考えた所で、ねじれが先を歩く。
「ねぇねぇ、知ってた?相澤先生が睨んでるから早く行った方が良いよ」
「うおっ!?んじゃ、先輩失礼します!」
ねじれの言葉に狂夜が振り返ると相澤が再び睨みを効かせていた。それに気付いた狂夜はダッシュで下駄箱から靴を取り出すと教室へと走った。
「ねぇねぇ、知ってた?私もドキドキしてたの……」
狂夜の背中を見送ってから、ねじれの頬は赤くなる。その呟きは狂夜には聞こえなかったが、ねじれは満足そうに呟いた。