『PSYクオリアって?』『ああ!』   作:ヤマシロ=サン

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アニメ見返してたら急に書きたくなったので書いてみたお話。
ネタが切れればそこで終了になるやもしれません()




第1話

20XX年、世界中で爆発的にカードゲームが流行りだし、カードゲーム人口は数億人を超えたという。そして、そのカードゲームの中でも一番人気があるのが……そう、『ヴァンガード』である。他のカードゲームとは違い、ルールが簡単で誰でも始められるという点から近年急激にヴァンガードを始める人が増えているとのことだ。

 

 

 

しかし、彼らは知らない。

 

 

 

 

カードゲーム内の設定で惑星『クレイ』に立った霊体とされているが、

 

 

 

 

それは()()()()ということを。

 

 

 

 

クレイには()()()()()()()()()()()()ということを。

 

 

 

 

そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということを。

 

 

 

 

そう、『PSY(サイ)クオリア』の存在を。

 

 

 

 

これはそんな素晴らしい(くそったれな)チカラに振り回される1人の男の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

朝日が起きろと言わんばかりに照らしてくるが、あいにく全く眠気が治らない。ふぁぁと俺は大きなあくびをしながら教室の扉を開ける。この眠気も全部『アレ』の所為なんだけどね。そして、教室の一番後ろの席、しかも窓際という内職やら何やらこっそり隠れながら行うには絶好の場所、そんな席に座っている男。窓から外を眺めているようだが、手元には黒いプラスチックケースのようなもの、一目でわかる、アレはデッキだ。すると、気づいたのかその緑色の鋭い眼光で俺を見てくる。

 

「おはよーさん、()()()。」

 

 

「……やっと来たか。早く始めるぞ()()()。」

 

 

因みに俺の名前は『木崎(きざき)ハルト』後江(しつえ)高校一年の普通の学生だ。流行りに便乗してヴァンガードを始めたわけだが、それの所為で色々面倒なことになっている。まぁ、その話は後でいいだろ。

 

そして、朝っぱら開口いきなり俺にファイトを申し出てきやがったキチガイ野郎の名前は『(かい)トシキ』、孤高のファイターなんて呼ばれており、その名の通りヴァンガードファイトがめちゃくちゃ強い。強いヤツにしか興味が無く、あまり周りと関係を持とうとしない。コイツが話すヤツって言ったら俺とタイシくらいしかいねえな。

 

 

「あのさぁ、会って開口一番ファイトってなんなの?俺眠いんだけど?」

 

 

「……今日は俺が勝つ。さぁ、始めるぞ。」

 

 

無視かよ。トシキは俺の発言なんぞ関係なくデッキを机に置く。

 

 

「はぁ……、一戦だけだからな?HRもあるし。」

 

 

トシキはこくりと頷く。

 

因みに、トシキの使うクランは『かげろう』だ。相手のユニットを退却させるスキルを持つユニットが多く、こいつのエースモンスターは『ドラゴニック・オーバーロード』で大体『黙示録の炎(笑)』相手を焼き尽くしている(精神的に)。

 

「今回俺はどっちを使おうかな。」

 

どっちというのは、俺はデッキを二つ持っている。ひとつは『ロイヤルパラディン』、もうひとつは『シャドウパラディン』のデッキだ。

 

「……シャドウパラディンを使え。」

 

 

「えぇ…、なんでアナタが決めるんですかねぇ?」

 

 

「お前のシャドウパラディンは()()を想定したいいシミュレーションになる。だから指定したんだ。」

 

 

「はぁ、お前って本当レンのこと好きだよなー、ホモかよ。」

 

 

「…ぶっとばすぞ?」

 

 

トシキの鋭い眼光がより鋭くなり殺気を帯びる。

 

 

「ゴメンナサイ」

 

ちなみにさっきから会話に上がる『レン』というのは、昔トシキが中学の頃のクラスメートだった『雀ヶ森(すずがもり)レン』のことである。なんか2人の間でいざこざがあったらしい。で、そいつを倒すべく俺相手に修行をしている、と言ったところだ。レンはシャドウパラディン使いというところから俺がいいシミュレーションになるとのことらしい。

 

 

「……それにお前はP()S()Y()()()()()を持ってるからな。」

 

 

「お、おう……。」

 

 

 

 

***

 

 

そう、俺はPSYクオリアを発現させている。さっき言った、『色々面倒なこと』とはこのことだ。

 

 

そもそもPSYクオリアとは何か、まずはそこから説明しますかね。

PSYクオリアってのはカードの声を聞き、カードによる導きを得られる能力のことだ。発現すれば、完璧なデッキ構築や最善のプレイングのイメージをカード自身が教えてくれるため、ファイトにおいてほぼ無敵と言える実力を持つようになる。例を挙げればファイトを行う前からフィニッシャーとなるカードを認識して、その通りにファイトを進めていってたら気づけば勝ってたみたいな感じだな。科学的にいうと共感覚っていうのが高まり、ファイトの流れがよく見えるようになるらしいのよ。まぁ、事実はこれって惑星クレイのユニットと繋がるためのチカラらしい。……まぁ、俺のユニットたちは絶対私欲のためにこの能力を俺に取り付けたんだろうけどな。

 

 

ごたごたしててよくわからなかったと思うから、結論をいうとだな、俺のデッキの『ブラスターブレード』と『ブラスターダーク』を始めとするユニット達の俺への愛?いや、依存心が強すぎてPSYクオリアが発現しちゃったってことです、はい。

 

 

はいそこ!絶対『なんだお前ホモかよ。』って思ったでしょ?まぁ待ちたまえ。この話には続きがあるんだよ。

 

 

俺がヴァンガードに触れたのは2年くらい前のことだ。ちまたでヴァンガードが人気になり始めてたからそれに便乗すべくスターターデッキを買うためにとあるカードショップに行ったんだけどそこに訳ありでデッキが売られてたんだよ。そう、それが例のロイヤルパラディンデッキとシャドウパラディンデッキだったわけ。ヴァンガードの人気は想像以上にすごくてスターターデッキも全部売り切れてたからさ、安値だったから二つとも買ったのよ。しっくり来る方使えばいいかなと思ってさ。まぁ、訳ありって時点で怪しむべきだったんだろうけど、ルールやら何やらいろんな基礎事項を覚えて何とかそのデッキを使いこなしてファイトを積み重ねていってたんだよ。訳ありだから一体どんなデッキなのかと思ったけど、デッキ自体はちゃんと回ってるのよ。コンボも出来るし、トリガーとかの枚数も適切だし、初心者にはわりと持ってこいなデッキだったんだよね、二つともさ。

 

 

そして、ある程度キャリアを積み重ねて、とあるショップの大会の決勝戦に望んだ時に起きたんだ。

 

 

決勝は今日比較的デッキ回りが良かったロイヤルパラディンを使ってたんだよね。3ターン目くらいかな、ブラスターブレードにライドしたあたりで急に目の前が真っ白になってさ、ブラスターブレードが敵を切り裂いてる場面が見えたのよ。敵を殲滅したあとソイツが俺の方を見たんだけど、なんか優しく微笑んでたんだよね。……目が怖かったけど。

 

で、今度は相手がグレード3にライドした瞬間に声が聞こえてきたんだよね。

 

 

 

『警戒せよ。』

 

 

 

 

ってさ、もうこれは流石に精神科行かないとなぁって思ったね。薬キメた覚えはないのに幻覚や幻聴が聞こえるんだもん。

 

 

 

 

まぁ、相手が『ドラゴニックオーバーロード』にライドした時点で察したけどさ、オーバーロードが攻撃してきた時だけガードを多めに付けてトリガー二枚引きでも通らないくらい固めたのよ。そしたら見事に相手はクリティカルトリガーの二枚引き、警告通りに警戒してたから守り切れたんだよね。従っててよかったよー……で済めば良かったんだけどさ、えげつなかったのはこっからなんすわ。

 

俺のターンで初手はリアガードのブラスターブレードでネハーレンを攻撃、インターセプトを封じたんだよ。でさ、ヴァンガードの騎士王アルフレッドの攻撃でとんでもないことが起きたんだよ。相手は不味いと思ったのか手札を一枚ドロップして完全ガードをしてきたんだけどさ、そのときのツインドライブでクリティカルトリガーとスタンドトリガーを連続で引いたんだよ。相手も面喰らった表情してたし、俺も多分同じ表情してたわ。効果は全部ブラスターブレードに振って、結局ブラスターブレードが試合を決めて見事初優勝したんだよね。

 

 

 

 

 

 

で、その夜眠ったかと思ったら、なんか変な場所にいたんだよ。

 

 

「……あれ、どこだここは?地球……じゃないよな。」

 

 

辺り一面は草原が広がってて、地球にどこか似てるんたがなんか違う感じがしたんだよね。

 

 

 

 

 

『……マイヴァンガード。』

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

 

なんか声をかけられた気がして振り向いたんだよ。

 

 

 

 

「…マイヴァンガード……なのか?」

 

 

 

 

 

白い鎧を纏い、その手には大剣が握られ、その鋭くも凛々しい瞳は俺を見つめていた。俺はそいつに見覚えがあった。

 

 

 

 

 

「……ブラスター…ブレードか?」

 

 

 

 

そこにいたのはヴァンガードのキャラクターのブラスターブレードだったんだ。

 

 

 

 

「やっと会えた……!マイヴァンガード……いや、はるとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

会うなりいきなり抱きしめられてさ、びっくりしたわ。

 

 

「おいおいおい!会うなりいきなり抱きしめてくるって何だよ!?」

 

 

「…お前は私のことが嫌いなのか?ハルト。」

 

 

「嫌いっていうか、カードのキャラクターに愛情抱くほど、脳内ピンクじゃないわ。てか、男同士のハグとかホモかよ。」

 

この世の中には同性愛者がいることにはいるし、俺はそういう人たちを卑下するつもりはないがなりたいとも思ってない。するとさ、ブラスターブレードは可愛く(←!?)頰を膨らませて不機嫌そうな表情をしたんだよ。

 

 

「むぅ……、だったらココ触ってみろ。」

 

 

 

 

何を思ったのか、鎧を外してインナー1枚になったブラスターブレードを俺の手をもち、胸に手を当てさせてきたのだ。

 

 

 

「ファッ!?」

 

 

 

 

 

その感触はマシュマロのように柔らかくふにゃりと手の圧に合わせて形を変えたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おま……おまえ……!()だったのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラスターブレードは顔を真っ赤にさせながら視線を逸らしていた。

 

 

 

 

よく彼女を見返してみるとさ、俺より背が低いんだよね。それに鎧を纏ってなかったら華奢な身体してるし、肌も白くて綺麗なんだよ。コイツ本当に女なんだわ。

 

 

「……わ、わかっただろう?私は立派な女なんだ。ほ、ホモなんかじゃないぞ……?」

 

 

再び俺に抱きついて来た。鎧付けてないからさ、どことは言わないけど柔らかい感触が直に伝わるんすよ。

 

 

「ずっと会いたかった……!ハルト……!」

 

 

「まさか、お前があの時、『警戒せよ』って言ったのか?」

 

 

 

「そうだよ。」

 

 

「ッ!?」

 

 

突然、後ろから似たような声が聞こえ、背中から抱きしめられた。恐る恐る振り返るとそこにいたのはブラスターブレードとそっくりだが、全くの真逆の黒い鎧を纏っている()()()が俺に抱きついていた。

 

「んっふふ〜、もう誰かわかるでしょ?」

 

 

「…ブラスターダークか。」

 

 

「あったりー!」

 

 

なんとブラスターダークもまさかの女の子だった。てゆうか、鎧の色が違うだけで2人ともそっくりなのに驚いたもんだ。

 

 

「なんで、お前ら俺に抱きついて来るんだ?身に覚えがないんだけども。」

 

 

「えぇ〜!?」

 

 

「そんなことないぞ。ハルトはずっとショーケースの中に閉じ込められてた()()()を貰ってくれて、そしてこんなにも強くしてくれたんだ。」

 

 

ショーケース…?貰ってくれた……?

 

この二つの言葉にどこか覚えがあった。

 

 

「お前ら……俺のデッキのユニットたちなのか?」

 

 

「ぴんぽーん!そうだよー、私たちはハルトの持ってるシャドウパラディンのデッキ(わたしたち)とロイヤルパラディンのユニットなんだー。」

 

 

「私が警戒を促したし、クリティカルトリガー(エポナ)スタンドトリガー(ふろうがる)を呼び寄せたんだ。」

 

 

「マジかよ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

「「スタンドアップ、(ザ)、ヴァンガード!」」

 

 

「……ハルト、PSYクオリアを使え。」

 

「え、やだよ(即答)」

 

「なんでだ?」

 

「お前それ何回言わせるんだよ?これ使って勝ったとしても勝った気がしねえんじゃボケ。」

 

「……レンを想定したファイトにならないんじゃ意味がないだろ。」

 

「はぁ、俺のPSYクオリアはある意味あてにならないだろ、強すぎて。」

 

「…構わない。」

 

「……まじすか。んじゃあ、使うけど。」

 

トシキは構わないと目つきを更に鋭くして言った。俺は溜め息混じりに発現させた。PSYクオリアを。

 

 

 

***

 

 

「ツインドライブ、1枚目、ゲット、クリティカルトリガー、効果は全部ファントムブラスタードラゴンへ。あ、2枚目もクリティカルトリガーね。はい、ゲット。これもファントムブラスターで。」

 

 

「………。」

 

 

結果はまぁ、お察しの通りだよ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだわ。

 

 

だってあれやぞ、ファントムブラスターのとなりにいるブラスターダークがニコニコしながらこっち見てんだから嫌でも察するわ。どうやったらこんなにトリガーが連続で出るのか逆に知りたいよ。(理論的に)

 

「……だから使いたくないんだよ。やっぱ自力で勝たないとなんか面白くないんだよな。」

 

 

運ゲー要素であるトリガーチェックで全部トリガー引き当てちゃうとかもうカードゲームじゃないやんかコレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惑星クレイとその住人たちと繋がることのできるチカラ、『PSYクオリア』

 

 

 

 

 

 

これはそんな素晴らしい(くそったれな)チカラを宿してしまった青年の物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

このファイトの流れを自在に操り、トリガーすら呼び寄せてしまうチカラ、確かに素晴らしいが、ヴァンガードをやっているのは自分だ。それに従ってファイトをするのは果たしてそれでいいのか?いや、いいわけがない。自分で戦略を立て、進め、自分の運でトリガーを引き当てる、それがヴァンガードの醍醐味のはずだ。だったらこのチカラは……

 

 

 

 

「なぁ……、このチカラって手放すことはできないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この発言は失言だったとすぐに気付かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さっきまでの朗らかな雰囲気は消え、氷河期のような冷たい視線が俺に集中する。

 

 

 

 

 

 

「ハルト……ハルトは私たちを捨てるのか……?」

 

 

 

 

「嫌だ……!またあんな場所に戻るなんて嫌だ……!やめてハルト、そんなこと言わないでよ…!ハルトに捨てられたら私は……!私たちは……!」

 

 

 

 

2人の抱きしめる力は更に強くなり、見つめる瞳は黒く濁る。その瞳には俺しか映していない。

 

 

「……大丈夫だ。お前たちを捨てるなんて絶対しないさ。だから安心しろ。」

 

 

 

 

俺は2人を抱きしめ返した。半分後悔しながら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ……ハルト……、私はハルトの為ならどんなことだってするさ、だから………ずっとそばに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ……、このチカラは手放せない、手放すことは許されないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハルト、あなたは私を、私たちをあそこから救い出してくれた……、刃向かう奴らは全員消してあげる……だから、離れちゃやだよ……ハルト……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故、訳ありで格安の値段で売られていたのか、今この瞬間わかったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




勝手にキャラクターをTSさせる、これが『ヤマシロ=サン』クオリティなのだッ!!

あ、twitterしてるのでなんか意見あったら適当にリプくださいw
リンクはプロフィールにあるのでお気軽にどうぞ^^

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