[安価]転生したらバスの中に居たんだけどどうしよう 作:原作未読マン
私はあまり自信の無い人間だと思う。
あまりとか思うとか使っている時点でそれが分かる。
引っ込み思案な性格で、それを直すことも出来ないから、友達も出来ない。
だから、友達を介しての情報、噂が入ってこない。
そのせいで入学式の始まる前に起こった騒動を知らなかった。緊張で視野が狭まっていたのもあるかもしれない。
自分の当たり障りの無い自己紹介が何事もなく終わったことにホッとする。
平田君や櫛田さんのようなしっかりした自己紹介出来る人には憧れと少しの嫉妬を持ってしまう。
流石に高円寺君のような自己中心的と言って良いほどの自信は、持ちたいとは思わないけれど。
次の人が自己紹介を始めるために立った瞬間、高円寺君が早足で教室から出ていく。これから同じクラスになるんだから、自己紹介くらい聴いてあげれば良いのに……
そんなことを思って次の人に目を向けた私は、衝撃を受けることになる。
もしかしたら、高円寺君の行動が正しかったのかなと思うくらいに。
屋内でなんで日傘さしてるのとか帽子何個着けてるのとかなんでカッパ羽織ってるのとか色々言いたいことはあるけど、それよりも目出し帽がすごい違和感を醸し出している。
私はとても混乱している。え、テロリストじゃないの?少なくとも不審者だよね。
でも、その第一印象すら押し流す自己紹介が始まってしまった。
「聖ブロント学園付属保育園からカカッっとバックステッポしながら駆け付けたホイ卒です」
この時点で???となり、思考が停止してしまう。保育園から、えっ?何、かかっと?ホイソツって何?
眼鏡の子が反応しているけど、意味が分かったのかな。
でも、私の混乱を余所に不審者は続けていく。
「名前は山田花子(♂)です。便所掃除界のメアリー・スーと呼んで下さい」
えっ、男の子じゃないの?中性的な声だし、男装した女の子なの?なんで山田花子なのにメアリー・スーなの?自分の名前が嫌いなのかな?確かに日本らしいと言えば聞こえは良いけど、古臭いとも言い換えられる名前だもんね。
「趣味はバスケで、特技は、……ど忘れしました」
赤い髪の男の子が反応している。流石にど忘れに共感した訳ではないと思うから、赤い髪の子もバスケ部なんだと思う。ようやく、理解可能な範囲に自己紹介がおさまってくれて油断した私は、不意をつかれてしまう。
「この学校にいる間にかめはめ波の習得を目指しています」
ええっ、なんで小学生みたいなことを平然と言えるの?!
「よ”ろ”し”く”お”ね”が”い”し”ま”~す”!」
無駄に元気の良い挨拶と共に不審者は勢い良く着席した。
教室がシーンとしている。えっ、どうするの、この空気。平田君や櫛田さんでも顔に苦笑を浮かべたまま固まっちゃってるよ。どうしよう。
そんな空気の中、救世主が現れた。
「なんだ、ネタか。法螺吹くの上手すぎだよ!」
「そうだよ」
そうだよね。さすがに真面目に自己紹介した訳ではないよね。ホッとした。
それにしても、山内君はあの空気の中で反応できるなんて、実はすごい人なのかな?それとも同類?
不審者もジーと山内君を見てる。やっぱり、同類の匂いを感じ取ったのかな?
不審者が山内君を見ながら口を開いた。
「同志山内君、君は卓球で全国区で、やきうでは背番号4番のエースでインターハイに出場したスタンド使いの土佐24万石藩主でレベル70越えのユグドラシル帰還者のラスボスで山内シリーズの盟主ですか?」
「おう、って、んん?なんだそれ?スタンド使い?ユグドラシル?山内シリーズって何だ?」
「あ、誤魔化す感じですか。分かります。アインズ様もモモンガ様の時は誤魔化そうとしてましたし、能有る鷹はってやつですね。でも、残念ながら、掲示板のリハクと言われた俺達の眼は誤魔化せません。少なくとも同志山内君は時間停止耐性を持っています」
「えっ、えっ?」
「あ、俺は日傘を持ってるんで、語尾をありんすにした方が良いですか、モモンガ様。ではなくて、同志山内君」
「え、別にそんなこと?」
「それは良かった。性転換しろとか種族変えろとか言われたら困りますからね。リセマラ凸になっちゃうし」
ワケわからない。
日本語で話して。
山内君に少し同情してしまう。
同志扱いはされたくないよね。
平田君や櫛田さんもフリーズから復帰して赤い髪の男の子に自己紹介を求めているけど、男の子は馴れ合うつもりは無いって出ていってしまった。何人かの学生も一緒に出ていく。
平田君はそれを止めようとしなかった。
でも、不審者が動いた。廊下で赤司君になれ、邪魔するなとか言い争う声と人が倒れたような音がする。平田君が様子を見に行って少し慌てていたけど、何事もなかったかのように不審者が教室に戻ってきた。格好も言動も不審者だけど根はいい人なのかな?
「赤髪君は、赤司君の台詞の半分を言いました。0.5赤司君といえます。四捨五入すれば1赤司君です。これは、完全に赤司君と言っても過言ではありません。ジンバブエ赤司君を適用するまでもありません。俺は嘘をつかずに赤髪バスケ部=赤司君説をスレ民に報告できます」
やっぱり、不審者だ。
何人かが出ていったせいで教室に残っている中で自己紹介していない人は残り一人になる。
こんな空気の中で自己紹介するなんて私なら嫌だなぁ。
ほら、緊張しちゃったのか、綾小路君の自己紹介滑っちゃったじゃない。
でも、あの後の自己紹介なら仕方ないよ。元気だして。
恐らく他のクラスメイトも同じ気持ちだと思う。綾小路君をフォローしてたから。
不審者は大袈裟なポーズで驚いている。
「同志権中納言殿、君もまた、スタンド使いだったのか」
「……何を言ってるか分からないが、違うということは分かる」
また意味不明なことを言ってる。でも、綾小路君の失敗は流されている。マッチポンプなんだけど、フォローするくらいの良心はあるのかな?
「そのやる気の無さそうな感じも擬態ですよね?隠しても無駄です。ブラインドと呼ばれた俺の眼は誤魔化せません」
「……それ節穴では?」
「ふっ、同志よ。照れ隠しはおやめなさい。白箱は良いですよ。みんなにも布教しましょう」
「……何のことだか……」
やっぱり、無いよね。本当に人間なのかな?エイリアンとかではないよね?
ちょっと疲れちゃったから、今日は家電量販店に行くつもりだったけど、部屋に戻ってぐっすり寝よう。
翌日から普通に授業が始まったのだけど、あの不審者はクラスに居なかった。
ええっ、一日目からサボリなの?みんな真面目に授業を受けてるのに……
その後も、不審者は良く教室に来ない日が有った。バーベキューセットを抱えて、便器を転がしている時も有った。何で便器?
他のクラスメイトもあまり真面目に授業を受けなくなったから出席しなくても良いのかな?
5月1日にとんでもないことになってしまうけど、この時の私には知るよしも無かった。
私は、クラスの半数くらいが行ったカラオケには行かなかった。
結局、内向的なこの性格を打ち破れなかった。
それもあって、まだ友達が居ない。
だから、家電量販店にも一人で行っている。
何回も足を運んでいる理由は、自分の目で良いカメラを選びたいから。
例え買わなくても、カメラを見て、どんな写真が撮れるだろうと想像する時間は楽しかった。
でも、最近、あまり家電量販店に行きたくない。
カメラを見て回るのは楽しいけど、帰り道で嫌な感じがする。
私は、内向的で目立ちたくないと思っている。
だから、人の目線には敏感な方だ。
その感覚が告げている。
ずっと誰かに見られていると。
幻覚ではない。
ごくわずかだが足音らしきものが聞こえる。
私は早足になった。
後ろの足音も早くなる。
足音はどんどん大きくなっていく。
怖い。
とても怖い。
恐怖に堪えられず私は走り出した。
後ろから聞こえる音は、もはや呼吸音すら聞こえるレベル。
運動が苦手な私は、もう走れない。
追い付かれるかも。
そう思った時、この状況を変える叫び声が聞こえた。
「同志ゆきっちゃ~ん。服貸して~」
気の抜けるような声と共に前方から足音が聞こえてくる。
私は思わず物陰に隠れた。
挟み撃ちにされた?
でも聴いたことのある声だった。
クラスメイトとストーカーに何か繋がりが?
やっぱり、不審者だった?
前方から来る足音が、というより叫び続けているから声か、声が少し前まで私のいた場所を通り過ぎる。
「同志ゆきっちゃん。しずしずたんの服貸して」
「え、こ、困るよ。そ、それにもう何着かあげてるじゃないか」
「何を言っているんだ、同志よ、まだ、しずしずたんのコスプレバージョン6くらい?を持ってるだろ?服は飾っていても意味がない。服は装備しないと」
「だ、だからってな。あれの特定には3週間もかかったし、値段だって……」
「シシトウ、サツマイモ、出ーた」
「ヒッ、や、やめて、わ、分かった、分かったから、渡すから、それに手を出さないで、ね、ね」
「良く分からないけどこの呪文まだ効くんだな。この独特な抑揚がコツなんだよな。ハリポタの浮遊呪文みたいに」
「ふ、服は渡すから、それは絶対ダメだよ、頼むから」
「うむ、委細承知した、案内せい」
「はぁ、分かったよ……クソイイトコロダッタノニ」
「何か言った?もしかして文句ある?」
「無いです無いです許してくださいどうぞ貸しますのではい」
「ところでひぐらし見た?後ろから足音が……」
というか、しずしずたんって何?名前からして女性だと思うけど女性のコスプレするの?意味が分からない。
混乱してどうでも良いことに思考が飛んでいた私は、いつの間にか、2人の声が聞こえなくなったことに気付いた。
周囲を見渡して誰もいないことを確認した私は、溜め息をついた後、とぼとぼと帰途についた。
助けられたのかな?でも、やけにストーカーとも仲良さそうだったし、どういう関係なんだろう?
それ以来、家電量販店には近付かなくなった。
その後、カメラの故障を修理するため、仕方なく家電量販店に行った時、あの嫌な視線を感じた。怖くなって店には入らず逃げ帰ろうとしたが、後ろから足音が聞こえる。やっぱり、来るんじゃなかった。
その時、また、前方から不審者の気の抜けるような声が聞こえた。
「同志ゆきっちゃ~ん、花火しよ~、ゆきっちゃん書き置き無視しちゃってたから、賠償させないと。何か言い訳したら、嘘だっ、て叫んでから、かなかな言わないと。あっ」
今回は隠れる場所が無かったため、見つかってしまった。
「ええっと、チャクラさんでしたよね」
「いえ、佐倉です」
「やっぱり、チャクラさんじゃないですか」
「佐倉なんですが」
「あんまり聞き分けないとあちゃくらさんになりますよ、チャクラさん。ゆきっちゃん知りませんか?」
「佐倉ですし、知りません」
「困ったな~……ゆきっちゃんに提督服着せて、俺は摩耶様のコスプレして対空カットインする予定なんですけど~、打ち上げ場所の下調べもしないといけないのになあ。
俺1人だと提督居ない艦娘は能力下がっちゃうし、足確保して対空カットインに集中したいし……
(これしないとテントの位置バレて、屋上ゆるきゃん凸出来なくなって、安価でつくられたルールを満たせなくなるんだよなぁ)」
「ええっと、じゃあ、これで……」
「あ、いるじゃん、隠れてないで出てこいよ、ゆきっちゃ~ん、出てこないと帳簿が分裂するぞ~。帳簿が2つ、来るぞ、税務署ってしちゃうぞ~」
全然話が通じない。会話が出来ない。
ずっとブツブツ喋ってたと思ったら、どこかへ行ってしまった。さっきまで不審者が居たところに一枚のチラシが落ちている。
拾ってみるとカメラ専門店が新しく近くにオープンするらしい。チラシの隅に落とし物採取ポイント候補地とか重点爆撃地点とか書かれているのはどういうことか分からないが、カメラ専門店か。
「ここに行こう」
もう、あの家電量販店に行かなくてもいいんだ。
肩の力が抜けた気がする。
さっきまでのやり取りで、足音が聞こえたときに感じていた恐怖も消えていた。
カメラ専門店にはどんなカメラが置いているのだろう。
私はワクワクした気持ちで帰途についた。
>>1の思考を理解する必要はないです
>>1は適当なことを言っているだけです
>>1の思考を理解する方法
>>1は拡大解釈します
あるいは独特(ガバガバ)な三段論法を使います
スタンド使い→サブカル好きみたいな感じで
>>1は安価スレ民に思考が汚染されています