[安価]転生したらバスの中に居たんだけどどうしよう   作:原作未読マン

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掲示板回7話で察していると思いますが、長いです
7話後書きの補足説明で満足という人は読まなくても問題ありません


橋本視点 7

廊下で坂柳派の数名と会話しながら、神室が坂柳の指示通り目標にぶつかり、メモを渡したことを確認する。

さりげなく周囲を確認するが、特に不審な人物は見当たらない。

いや、1年Dクラスの不審者以外の不審な人物は見当たらないと言った方がいいか。

 

だが、神室を俺が監視しているように俺も誰かに監視されているだろう。

1人に接触させるために複数人の手駒を使うのは効率が悪い。坂柳も分かっているだろうに随分と慎重なことだ。

 

不審者に目線を戻すと、立ち止まってポケットに手を突っ込んでいた。パラパラとメモ用紙を見ているが、神室の渡したメモ用紙以外をポケットに戻した。そして、1度頷くと玄関へと向かっていく。来ないつもりなら無理にでも誘導しなければならない。神室がメモ用紙を渡すことの確認および不審者と坂柳派の接触が俺の役目だからだ。

後ろからCクラスの伊吹が走ってくる。俺達を妨害するつもりか?いや、単に追われているだけだな。

俺は廊下にいる坂柳派のグループを解散させた。

現時点でCクラスと衝突する必要はない。

 

伊吹は不審者を追い越して行った。

特に接触した様子もみられない。

不審者は校舎の外の花壇で花を摘んでいる。アザミの花か。もし、これから行う勧誘に持っていくつもりだとしたら、随分と面白いことを考えていることになる。

不審者は頭のおかしい行動をとるだけでなく、突飛な発想力も持ち合わせることになる。

Dクラスに対する評価を考え直す必要があるかもしれない。

 

後ろから龍園と取り巻きが玄関へと向かってきた。やはり伊吹は追われていたのか。俺は近くのトイレに入ってやり過ごした。

 

不審に思われない程度に時間をおいてトイレから出る。

玄関へと向かうと龍園が空を飛んでいた。

いや、不審者に胴上げされていた。

一体何が起こったんだ。

不審者は、さらにアザミの花を龍園に押し付けている。

龍園が手を振ったと思ったら、また龍園が空を飛んだ。

もしかして、アザミの花を売り付けているのか?

なぜ?メリットは?考えても出てこない。

ずっと五体投地しているのも含めてやはり不審者は頭がおかしい。

龍園は面倒になったのか学生証を出してポイントのやり取りをしている。龍園に花が渡された。

不審者は、さらに、Cクラス山田アルベルトにも向かって話しかけて、アルベルトが胴上げされる。

不審者は物凄い勢いで口を動かしているが、アルベルトは首を横に振る。

しばらく見ていたが、3人を不審者が胴上げしているだけで進展が無さそうだ。

俺は彼らに近付き、仲裁を試みた。

 

『おーい、何してるんだ』

 

「胴上げですよ」

 

「違う。お前Aクラスの……誰だっけ。とにかくこいつを止めろ」

 

『通りすがりの橋本だ。Dクラスの山田は何をしたいんだ』

 

「ジャパネット山田です。この花を商品として売り付けたいだけです。あ、暴れん坊将軍、追加でもう1つ如何ですか」

 

「もう買ったしこれ以上買わないって言ってるだろうが」

 

『ええと、龍園だったか。その分のポイントは俺が払うから花を買ってはどうだ。そうしないと話が進まない。誰かを追っていたのだろう?時間は大切だと思うが?』

 

「チッ、それもそうだな。さっきから、こいつの声聞いてると頭が痛くなってくるから聞きたくないのもある。おい、石崎もアルベルトからそれを買え、後で1000ポイントを戻せば良いだけだ」

 

「はい、龍園さん」

 

どうやら話が纏まったようだ。4人がポイント交換をしている。ポイントの移動時に龍園と石崎にアルベルトが少しだけ睨まれていたようだが、俺の目的には影響がないので無視した。俺も龍園に花代を送金した。ついでに全員と連絡先を交換した。不審者が話しかけてくる。

 

「いやぁ、助かりました。名前を聞いてもよろしいですか」

 

『Aクラスの橋本正義だ』

 

「ジャスティス君ですか。交渉お上手ですね」

 

『この学校ではポイントこそ最強の手札なだけだ』

 

「それでも凄いですよ。この人達強情だったから、こんなにあっさり話が進むなんて思いませんでした。あ、今からこの人達とお花摘むんだけど一緒にします?」

 

『あー、分かった。しよう』

 

「おい、俺達はやらないぞ」

 

「まあ、そんな連れないこといわずに、ほらそこの花壇で花を摘むだけだから。駄々ばっかりこねていると、また高い高いしないといけないし、疲れるんだよねー」

 

「チッ、わかった。頭痛がするからお前は喋るな」

 

不審者にうんざりしていただろう龍園がすぐに同意し、不審者の指示通りに全員アザミの花を摘むことになった。これを誰かに見られたらどうするのだろうと思っていたら、花を摘みながら不審者が言った。

 

「あ、記念撮影するね。アザミ同盟万歳!パシャ」

 

「……」

 

これは弱みを握られたのか?いや、不審者も花を摘んでいるから共通の秘密をつくったのか。まだ、不審者は花を摘んでいる。花壇の花をすべて摘むつもりか?

手伝った方が早く終わりそうだ。

 

「あ、手伝ってくれるのですか、ありがとうございます」

 

『気にするな』

 

手伝っていると龍園が話かけてくる。

 

「おい、Aクラスはこいつを飼い慣らすつもりか?無理だと忠告しておいてやる」

 

『それは上が考えることだ』

 

「そうかよ。ならば、Aクラスはこいつと心中すればいい」

 

龍園は会話対象を不審者に切り換えた。

 

「おい、不審者。なぜ監視カメラが無くなったか知っているか。あるいは、監視カメラが本当に無くなったか知らないか」

 

「知るか、安価の邪魔すんな!ジャスティス君みたいに手伝え」

 

「チッ、今月のポイントで後者については分かるか」

 

入学当初は大量に存在していた監視カメラがいつのまにか姿を消していたことをCクラスも認識していたようだ。その話題はAクラスでも議論され、より巧妙にカメラが隠蔽されたか、別の形の監視システムになったのではないかという結論になっている。教師があからさまにカメラを持っているのは、もっと重要な情報を隠すための目眩ましだろうというわけだ。

ただ、真実は分からない。どんなに探っても教師のカメラ以外のカメラは見つからなかった。この学校に限って、まさか、予算不足になったなんてことは無いだろう。

不審者が目眩ましになっているせいで不審者以外に不審な行動を取る人物も見つかっていない。

不審者が学校側の監視システムの一部なのでは、という意見もあったが、今回の件で否定された。

いくらなんでも学校側なのに理由もなく花壇を荒らすことはしないだろう。

 

花を摘み終わった。花壇に咲いているすべての花を摘んだ。途中で龍園達が逃げようとしていたが、地に伏せたままの不審者にまわりこまれて逃げだせなかった。

とても動きが気持ち悪かった。

さらに、不審者は、ジャンプして空中で3回転し、地に伏せた。

何がしたいのか、と思っていると捨て台詞を吐き始めた。

 

「ジオダイン!

運が良かったな、今日はMPが足りないようだからこのくらいで許してやろう」

 

『これよりまだ上が有るのか』

 

龍園達もこれを捨て台詞と察したのかどこかへ行ってしまった。今回は不審者もそれを止めなかった。

俺と不審者は校舎に戻ったが、不審者は行く場所があるらしい。

 

『少し電話をしてもいいか。先に行っていてくれ』

 

「構いません。待ちますよ」

 

『すまないな』

 

俺は坂柳に電話をかける。

 

『目標は別の場所への移動を優先する。そちらに向かうのは、おそらく1時間ほど後になるだろうが構わないか?』

 

「問題ありません。その程度の誤差は許容範囲です」

 

『了解』

 

通話を切る。

 

『すまない。待たせたな』

 

「いえいえ、待っていませんよ」

 

俺が戻ると不審者は職員室へと歩き始めた。

さっき、勝手に花壇で花を摘んでおいて今度は何をする気だ。減点でもされたいのか?

そんな俺の考えは覆されることになる。

 

職員室にはBクラス担当の星の宮先生がいた。

星の宮先生は俺達を見ると楽しそうに笑い、俺達を生徒指導室に移動させた。

 

「良いタイミングだね」

 

「どういうことですか」

 

「ちょうど君達にお話したいことが出来たんだ」

 

『AクラスとDクラスにか?』

 

「坂柳ちゃんと山田君にだよ」

 

『なるほど』

 

「君達は入試でも抜き打ちテストでも全教科50点を取った人を知ってる?それにDクラスで一番下克上したがっている人も」

 

「さぁ、自分のクラスですが、知りません」

 

『そんな人がいるのか。後者はともかく前者は変わった人だな。とても興味深い』

 

「そうでしょう。前者はとても変わっているでしょう?何か隠してそうね。どうやってサエちゃんが手綱取るのか知らないけど、失敗しそうで心配なの~。ほら、私って友達思いだから」

 

『そうだな。そのサエちゃんも星の宮先生のような素敵な友達がいて幸せだと思う』

 

「お、先生を口説いているのかな?禁断の恋?ダメだよ~。先生は生徒に手を出さないよ~」

 

『いや、先生は友達思いだなと思っただけだ』

 

これ以上の情報は言わないか。まぁ、この先生にお世辞が効くはずもない。星の宮先生は会話相手を変えた。

 

「それは良かったよ。さっきから黙り込んでいる山田君は何をしているのかな?」

 

「押し花です。先生もお1つ如何ですか。栞代わりに使うと良いですよ」

 

「……これは……」

 

「あ、僕達も持っているのでお揃いですよ?その辺に生えていた雑草なんですけど、いい感じだと思いませんか?今なら無料!お買い得です」

 

「あ~、なら貰おうかな。ふーん、アザミね~。あ、山田君にもこの学校を撹乱してくれることを期待しているよ。凄く目立っている学生だし、先生方達の注目度は一番高いよ」

 

「そうなんですか。期待に応えられるよう頑張ります。そういえば、何か先生方の間で話題になっていることとか、お困りのこととかありませんか」

 

「特に耳にする話題は君が目立っていることかな。困っているのは、今年度に入ってから会議が多いことだよ。図書館のガラスが割れたり、カメラ専門店が男女2人組に襲撃されたり、頭痛を訴える学生が多かったりでその都度招集されるから大変なのよね。山田君、何か知らないかしら?」

 

「へぇー、そんなことが起きてたんですか?う~ん、ちょっと記憶を探ってみましたが、何も出てこないです」

 

「そっか~、残念だな~君なら何か知ってるかと思ってたんだけど」

 

「期待に応えられず、申し訳ございません。その辺に生えている一般人ですので」

 

「む~。一般人は地面に生えません。絶対何かやってると思ったんだけど」

 

「ここは法治主義かつ疑わしきは罰せずの国ですよ。何か証拠になりそうな情報は無いんですか?これからミステリー小説も読む予定なので自分も推理力を上げたいのですが」

 

「実は昨日発見されたんだよね」

 

「へぇー、どんなものですか」

 

「それを学生に教えることは出来ないかな」

 

「じゃあ、今の自分は警備員です」

 

「いや、学生でしょ。まあ、実は無いんだよね~」

 

「えー、そうなんですか。あったら推理しようと思っていたのに残念です」

 

「う~ん……嘘をついているかどうかまったく分からないなぁ」

 

「酷いですよ。何もやっていない無垢な学生の発言を疑うなんて」

 

「いや、君は4月サボり過ぎだし、無垢な人はそんな発言しないよ。参考までにこういう情報があるとすると君ならどう推理する?」

 

「ふむふむ、これなら神話生物が怪……」

 

星の宮先生と不審者がよく分からない話を始めた。

その間に情報を整理しよう。

得られた情報が多すぎる。

まず、教員のお墨付きの学生の情報が得られた。

少し調べれば誰が該当するか分かるだろう。

しかし、不審者はDクラスのはずだ。この情報をAクラスに流して良いのだろうか。

そして、不審者は随分と教員達に注目されているようだ。確実に悪い意味で。

星の宮先生の目利きがどれくらいか分からないが、最近の事件について不審者は知らないらしい。

星の宮先生と不審者が話終わったらしい。

星の宮先生は、私の観察力が衰えたのかな~と呟いている。

学生指導室を出て、星の宮先生と別れて考えていると不審者が話しかけてきた。

 

「君の部屋に寄っていいかな」

 

『大丈夫だ』

 

俺の部屋に向かう。龍園やアザミの件といい、不審者が何を考えているのか分からない。しかし、俺の部屋に来てくれれば、坂柳派と接触したという情報が学校中に認識されることとなる。もし、俺の部屋を出てから坂柳の所に行かずにバックレられても俺に課せられた目的は最低限達成出来る。

 

不審者は部屋全体を見回していた。

 

「普通だな」

 

『何を期待していたのかは知らないが、普通に決まっているだろう?』

 

「うーん、あ、あれなに?」

 

『どれだ、ただの本棚だろう。中身も教科書だ』

 

「まあ、そうか。あまり楽しくないし、喫茶店行くか」

 

『あぁ、それならついてきてくれ』

 

喫茶店についたが、不審者はすぐに入らずに被り物をつけ始めた。何をしているか訊ねても準備としか返ってこない。準備を終えた不審者が何かのBGMを流しながら扉を開けた。

 

「やあ、ようこそしっこくきっさへ。この押し花はサービスだから、まずは喰らってほしい。うん、絶対に勝てないんだ。済まない……」

 

喫茶店内の時間が止まった。坂柳も神室も喫茶店の店員も硬直している。俺も動けない。

坂柳が不審者の後ろの俺を認めた。この不審者が招待していた不審者だと気付いただろう。

 

「場所を変えましょう」

 

「あぁ、リセットしようか」

 

人の居ない別の部屋に移動した。

その間に不審者は被り物を脱いでいる。

坂柳が口を開いた。

 

「なぜ、あのようなことをしたのですか。場所を変えたかったにしては強引すぎます」

 

「ナイトらしく登場しただけです。押し花はあげます」

 

「この花は挑発のつもりですか」

 

後ろで神室が口角を吊り上げている。

 

「違います。ナイトらしく花を渡しただけです。ほら、お揃いです」

 

「あ、そうなんですか。それは良かったです」

 

上がっていた神室の口角が下がった。

坂柳が続ける。

 

「では、早速本題に入りましょうか。私の派閥に入っていただけませんか」

 

「え、何かゲームをやっているのですか?Aクラスの人は余裕がありますね。うーん、多分そのゲームをやったことがありません。今から始めるとしても初心者だからついていけるか不安ですね」

 

「まぁ、ゲームという表現も間違いではありません。初心者ならばなおのこと私の派閥に入っておくと良いですよ。お互い助け合えると思います」

 

「うーん、読書と裁縫と料理がありますから、ゲームする時間がないと思います」

 

「それならば、誰の派閥にも入らないということですか」

 

「そうですね。そのゲーム自体しないと思います」

 

「そうですか。それは良かったです」

 

「はい、学生の本分は勉強ですからね」

 

「もっともなご意見です。それなら勉強会ということで月に2回ほど集まりませんか?自慢したいわけではありませんが、私の成績はトップクラスですし、そこの2人も優秀な成績を修めています。だから、あなたにとってもメリットがある話だと思います」

 

「それは良いですね。是非とも参加させてください」

 

「ええ、勉強頑張ってください」

 

「はい、そちらこそゲームのし過ぎには注意してください」

 

傘下には入らなかったが、友好関係は築けたようだ。

俺は星の宮先生から聞いたことを坂柳に伝えた。

不審者も頷いているのでこの情報は開示していい情報だろう。龍園達とのことは話さなかった。この程度の手札くらいは持っておきたい。不審者も話さなかったので別に構わないだろう。

連絡先を交換した後、坂柳達と別れた。

俺は不審者に提案する。

 

『月に2回の勉強会では不安じゃないか?』

 

「そうですね。試験前とかはもう少し頻度が欲しいです」

 

『ならば週1回俺の部屋に来るのはどうだ?勉強したくない時は、ただ遊びに来れば良い』

 

「そうですね。息抜きも必要です。お邪魔させていただいても構いませんか」

 

『もちろん、俺から誘っているんだからな』

 

約束を取り付けた後、部屋に戻ると山田花子と書かれているメモが置かれていた。

 

裏切り者で有名な人物の名前がメモ用紙に連ねられている。

これはどういう意図だ。

今日、Dクラスの情報流出を許したように、Dクラスを裏切る用意があると言いたいのか。

それとも俺の内心を見抜いているのか。

 

メモには人物名だけでなく、よく分からない文章が書かれている。部活の勧誘文書か?しかし、俺はテニス部に入っている。今更誘わないだろう。

読んでいて不自然に文章が途切れているのに気付く。

何のため?まさか……縦読みか、いや、斜めか。

斜めに読むと意味の分かる文が浮かんでくる。

友達募集、と。

 

友達とはなんだ。

同盟者か。

なんにせよ面白い。

週1の約束を取り付けたのは正解だったようだ。




>>1は、はがないを見て新部創設の勉強をしていたようです
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