[安価]転生したらバスの中に居たんだけどどうしよう   作:原作未読マン

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[悲報]なめくじくらえ=アバダ・ケダブラ


南雲視点 9

生徒会メンバーに今夜この指定場所にくれば、消臭剤の売人がやって来ると伝えた。

普段は会長の陰に隠れがちな書記が他の生徒にも伝えるとやけに張り切っていた。

まあ、最近の会長は続発する事故・事件への対応に疲弊して精彩を欠いている。

もともと保守的な性格なので、こういうゲリラ的な展開には弱いのだ。

はっきり言って俺が指揮を取った方が良い。

 

 

そろそろ報告の時間だ。

今夜の不審者の様子を2年のB・C・Dクラスを使って監視させた。

Aクラスの人員を使わないのは、不審者が学内闘争どころか第三次世界大戦を狙っているのではないかと感じるくらい危険なためだ。

巻き込まれて減点や退学処分どころか、大戦争の引き金を引くことになるのはごめんである。

不審者は放置すると危険なため、他人を使って状況をコントロールするのが賢いやり方だ。

そもそも、顔を合わせたくない。

建物に入る度に2,30分も五体投地するような理解不能な人間の相手など誰がしたいものか!

 

それに高学年のAクラスは貯蓄も多い。

消臭剤に拘らなくても制服ごと買い換えればいいだけだ。

 

部屋がノックされた。

入れと言うと3人が部屋に入ってきた。

 

「俺が立ち去った後の不審者の行動は?」

 

俺はDクラスの生徒に目を向けた。

 

「はい。初めは不審者の五体投地の儀式のせいで苛立っていたのもあってざわついていました。

早く売れという罵声も飛び交って空気が悪かったです。

それを静めるためなのか、五体投地を終えた不審者の最初の一言は『フルーツバスケット』でした」

 

「フルーツバスケットか。不審者が稀に使う言葉だな」

 

「はい。

空気入れ換え呪文のようなことを言っていました。

それで、静かになった我々に対して、声が届くように集まらせた後、演説が始まりました」

 

「モノを売るのに売り文句や値段などではなく演説?」

 

「はい。これが演説を記録したものです」

 

そう言ってボイスレコーダーを再生した。

 

『私には夢があります。

それは、いつの日か、いじめや争いが無くなり、勉学やスポーツその他の成果によって差別されることなく、あらゆる頭に地毛が茂り、そして安価の祝福がもたらされ、全人類がその威光を共に見ることになるという夢です。

しかし、とても悲しいことに、この学校の現状は私の夢と大きくかけ離れています。

あなた達にもこの学校に対して何らかの不満を抱いているのではないでしょうか?

 

本来、学校とは、効率的に物事を学ぶための場所です。

知恵有るものに教わり、学生間で競い合い、時には協力し合う。それが、地力を上げるための効率良い方法ということは理解出来ます。

しかし、今の私達は競争の意味を履き違えていませんか。

互いに高め合うのではなく、互いに足を引き合っていませんか。

 

本当にそれで良いのでしょうか。

皆さんは三国志をご存知ですか。

三国志を終わらせた国は、三国のどれでもないことをご存知ですか。

私達が互いに争っている間にそういう末路になる可能性は考えられませんか。

 

かつて、この学校は、人材育成のために誕生しました。

そして今、私達はテロまで起きる未曾有の危機のさなかにあり、この逆境の中で私達の真価が試されています。

このような局面こそ、学生の学生による学生のための学校という、学校の未来に在るべき姿を議論し、行動していく必要がありませんか。

 

さて、面倒なことを言いましたが、もっと単純に言い換えましょう。

あなたたちは、この学校が好きですか。

大好きと躊躇なく、一点の曇りもなく言えますか。

ありとあらゆる全てが好きだと、一心不乱に答えられますか。

そうだと言える人は、幸福です。

しかし、そうではない人。

あなたは、幸福ではありません。

 

市民、幸福は義務です。

だから、幸福でない人は、今こそ立ち上がり、私と共にこの学校を変えていきましょう。

あらゆる人がこの学校を好きになれるように共に協力していきましょう。

 

退学の恐怖に怯えずにすむ、

弱みを握られることを警戒せずにすむ、

過度なポイント競争を行わずにすむ、

それでいて社会で活躍できる実力はつく、

そういう学校を創りませんか?

 

休日にプリキュアを応援するのも、全学生の制服を変更するのも、政治や経済の新しい仕組みを試みるのも、勉強やスポーツ、悩みの相談はもちろん、それ以外のどんな下らないことでもバカにされず、心に秘めたやってみたいことを行える仕組みを創り出していきませんか?

私達の辞書に不可能という文字はありません。

私達なら出来ます。

 

興味のある人は、奉仕部まで気軽に訪ねて下さい。

奉仕部はあらゆる人を歓迎します』

 

Bクラスの生徒がボイスレコーダーの再生を停止した。

 

「この演説の最中に、そうだそうだ、などといった相槌や賛同の声が絶えませんでした。サクラだと思われます」

 

「集団心理を利用したか」

 

「おそらく。自分も集団心理に呑まれないか不安だったため、ここまで聴いた後、その場を離れました」

 

「そうか。それで続きは?」

 

「消臭剤の販売と部活の勧誘については、こちらに記録してあります」

 

Cクラスの生徒が一歩前に出て、別のボイスレコーダーを再生しはじめた。

 

『それでは、お待ちかねの目玉商品の時間です。

本日ご紹介するのはこちらの消臭剤です。

どうぞ良くご覧下さい。

しっかりと見てください。

とても素敵な容器ですね。 

ですが、中身も素敵なんです。

生活のあらゆる場面のどんな臭いも、あなたの嫌いな動く粗大ごみもあら不思議、これ一本でその場から消してしまえるんです。

ほら、どうです、すごいでしょう?

まさに、人類の叡智の結晶です。

※個人の感想です

 

でも、お高いんでしょうと思ったそこのあなた、その通りです。

確かに本来なら3000ポイントとお高いのですが、なんとなんと、今なら奉仕部に入るだけで298ポイント、

にぃきゅっぱで買えてしまいます。

お値段9割引き!

いえ、9割以上引かれています。

物凄くお値打ち価格ですね。

さらに、今回限定で、芳香剤代わりにもなる、この青い造花をお付けします。

これ、全部まとめて298ポイント、298ポイントと大変お値打ち価格となっています。

お支払方法は、30ポイント×9回と28ポイント×1回の計10回の分割払い。

正直、ここまでやると経営が厳しいのですが……

なんと、金利・手数料共に無料で財布に優しくなっています。

さらに、ご入部いただけますと、これ以外にも多数の特典をご用意しています。

 

入部しない方には、定価での販売になるので、300ポイント×10回の分割払い、金利・手数料もご負担いただくことになります。

もちろん金利・手数料とも法定……』

 

Cクラスの生徒が一度再生を止めた。

商品を販売した後、部活働の勧誘が始まるらしい。

活動内容は広い上に一部は意味不明だ。

年会費(部費)は無料で活動義務もなし。

部内オークションや勉強会、プレゼント交換会など多種多様なイベントの開催を予定しているらしい。

勧誘をまとめると以下のようになる。

 

・ポイントカムバックキャンペーン

・フレンド招待ボーナス

・ログインボーナス

・ポイント積立保険制度

・相互扶助制度

 

ポイントカムバックキャンペーンは298ポイントで買えることだ。

 

フレンド招待ボーナスは、ある意味マルチ商法に近い。

入部者が非入部者を入部させると奉仕部の用意したガチャを回せるシステムだ。出現確率も明記されている。

レアリティに応じて景品を選べるらしく、実際に1年Dクラスの1人が高レアを引き、ゲーム機とゲームソフトをプレゼントされていた。

 

ログインボーナスは、奉仕部の活動に参加する度に貰える。

複数回参加するとガチャを回せるらしい。

参加の定義は指定時間に、指定場所に居るだけで良く、それ以外のことが必要な場合は、内容に応じた報酬や詫びガチャもあるとのこと。

現在の活動は、生徒会に責任を取らせようキャンペーンである。

傍迷惑な。

 

ポイント積立保険制度は保険制度そのままである。

事故を起こした時に一部の負担を肩代わりして貰える。

何事もなく卒業、あるいはポイント消費無く退学になれば、90%が返金されるらしい。

解約は何時でも可能だが、やはり90%しか返金されないので推奨されていない。

将来的に基金が貯まれば、100%返金を目指すと言っている。

 

相互扶助制度は、種類が多く、範囲も広すぎてはっきりしない。

希望を言えば新しい制度が創られている。

 

さらに、十一連ガチャとピックアップガチャが実装済みで、期間限定ガチャやステップアップガチャ、ボックスガチャなども実装予定らしい。

 

再生が終わり、奉仕部のことを考えているとDクラスの生徒が話し始めた。

 

「指示通り入部しました。

そこで目にしたことを報告します。

まず、相互扶助制度の1つであるポイント貸出制度です。

こちらがその時の音声です」

 

『おや、別荘地さん、どうしましたか。

あ、別荘地さんは筆談でお願いします。

安心してください。

本当に不味いことは言いませんから。

ほうほう、手持ちのポイントでは少々不安ですか。

確かに、最近は物騒ですから、いつでも利用可能な流動資産、その中でも一定の信頼があり、最も動かしやすいプライベートポイントを確保しておきたいですね。

そのお気持ちはよくわかります。

 

はい、その通りです。

ポイントはいくら持っていても足りませんからね。

それで、ポイント貸出制度を利用したいと。

しかし、手持ちも担保も無いから、きちんと返済出来るか不安ですか。

 

そういうあなたにはこのプランを推奨します。

リポ払いと言う天才的な制度です。

毎月の返済金額が低く、手持ちに余裕が無いときでも自己破産せず、返済を継続できます。

手持ちがあるならば、サブプライムローンも推奨できるのですが……

 

仮に返済出来なかった場合ですか?

2ヵ月連続で滞った場合は、体で払ってもらいます。

あ、そういう方面ではなく、返済金額に応じた回数、部活働やフレンド招待にボーナス無しで参加していただきます。

 

楽して稼ぐ方法?

自分の運に自信があれば、ガチャを回すと良いですよ。

フレンド招待ボーナスやログインボーナスを貯めなくても、ポイントを払えばガチャを回せます。

もちろん、敏腕生命保険勧誘員、いわゆる生保レディになれば、ポイントを払わずにガチャを回せる可能性が増えますよ。

ご興味がありましたら、この番号にお掛け下さい。

ああ、話が脱線しましたね。

良い景品が手に入れば、交換所の後ろにある取引所で売ると良いです。売却益をガチャに回せば、サイクルの完成です。

 

違法性?

いえいえ、合法なので安心して取引してください。

これが駄目ならパチ○コ業界も違法になってしまいます。

 

教育に悪いのでは?

そういう懸念もありますが、これはガチャを通して実社会、経済を擬似的に体感するのに良い手段だと思います。

家庭にタンス貯金されている様々な形の資産を運用できれば、もっと経済は成長するという話を聴いたことはありませんか?

ガチャを回すのは決して恥ずかしいことではありません。

むしろ、経済を成長させる誇らしいことなのです。

あなたはただ単にガチャを回しているのではありません。

経済を回しているのです。

 

契約書を見たい?

こちらが契約書です。

細かい文字に都合の悪いことを書いて、意図的に騙すようなことはしていないのでご安心を。

利率も法定基準を守っています。

法律上、元金すら支払う必要がなくなるような、トイチなんて馬鹿げたことはしませんよ。

利率15%、100万以下の借金ならお得な金利です。

商売は信頼第一ですから。

 

保健勧誘員の契約書はこちらです。

こちらの職業はノルマがあり、かつ完全歩合制なのですが、その分成功すれば、高額な報酬を得られます。

詳しくは契約書をよくお読み下さい。

病気や事故に対するみんなの悩みを軽くできる立派な仕事です。

みんなで協力し合ってより良い学校を造り上げていきましょう。

ええ、お友達もどんどんお誘いください。

 

この後、ガチャを回したい?

もちろんです。

ガチャを回す権利は、非入部者にすらあります。

人間には基本的人権と同列にガチャを回す権利があるといっても過言ではありません。

その権利を止められる者などいません。

どうぞ、存分に回して下さい。

 

あー、ここから先は個人情報になるので失礼……』

 

無音になった。俺はDクラスの生徒を睨む。

生徒の顔がひきつっている。

バレたのか?これだから、Dクラスはダメなんだ。

まあ、それを隠さないのは扱いやすくて良いことだ。

 

「これだけか?」

 

「いいえ、こちらの方はバレていません」

 

本当か?と思ったが、カメラを再生し始めたのでスルーした。

 

『山内君、おめでとうございます。これが、景品です。

 

「おお、スゲー、本当に当たったぞ~!」

 

とても素晴らしい幸運をお持ちですね。

とても幸運な彼に続くラッキーボーイやシンデレラガールに成りたい方は居ませんか?

このガチャは……』

 

一度止めて早送りしている。

 

「重要なのはこの後です。不審者が舞台裏で1年Aクラスだと思われる人に電話をかけます」

 

『J君はAクラスなので、残念ながら部員になるとまずいですが、部活働創立に多大な貢献をしてくれました。

そこで、名誉部員に認定し、特別に各種制度を利用可能としたいのですが、構いませんか。

 

はい、これが本題ではありません。

J君には勧誘活動、いわゆるプロデューサーをしていただこうと考えていますがどうですか。

ティンと来た人物の部活働への勧誘やフレンド招待のメリットの解説、アイドルの勧誘などを行って下さい。

報酬はポイントでお支払い致します。

ガチャが良いならそれでも構いませんが、推奨はしません。

 

アイドル?

生保レディの第二形態です。

冗談ですよ。

職業に貴賤はありません。

政治家も自宅警備員も等しい価値の立派な職業です。

 

貸しで良い?

そうですね。

予算は自転車操業なのでとてもありがたいです。

それでは、何か困ったことがあれば、お助けしますので……

 

はい、もちろんです。

そんな状況でも助けますのでご安心をしてください。

契約書も書きます。

私は悪魔ではありませんが、契約は必ず守ります。

 

それでは、最初の仕事です。

以前渡したプリントがありますね。その類いのアンケートとチェーンメールを作成し、不特定多数に送ってください。細かい部分はお任せします。

交遊関係の広いあなたなら出所を惚けられると思いますので、出来れば誤魔化してください。

 

目的? 

勉強だけでなく、こういう娯楽も大切です。

私は少しでもこの学校を盛り上げていきたいだけですよ。

それに、春は過ぎましたが、闘いの役に立つかも知れません。

所詮は、お遊びの範疇ですから見つかってもそこまで問題にはなりません。

 

勧誘していた赤髪くん?

あぁ、ケンジくんのことですか。

これからケ~ンジくん、あ~そび~ましょうって声をかけるといいですよ。

名前が違う?

ケンっていうのかい?貧相な名前だねぇ…!

今からお前の名はケンジだ!いいかい、ケンジだよ!

というやり取りがあったんです。

ジがどこから来たかですか?

俺の名前の一文字をつけてあげました。

戦国大名とかがよくやるやつです。

山田花子のどこにジがあるのかですか?

田を分解したら1+1=になりますよ。

バスケ仲間だから声をかけたのですが、結局勧誘は断られました。

暴れん坊将軍に取り込まれるか、どこかの同志が助け出すかのどちらかだと思います。

 

山内君?

彼はラッキーボーイであり、このことを知りません。

あなたのしていることも話さない方が良いです。

あなたの目的の妨げになるでしょう。

彼には欲も空気を無視した行動力もあります。

切り札の地元の風習もあるらしいです。

知らない方が都合よく動いてくれます。

彼は私より上のゾクセイパワーを持つ数少ない人物です。

決して油断しないでください。

 

ゾクセイパワー?

ツインテールとかそういう感じのやつです。

怪獣ではなくヘアスタイルの方の。

とにかく、彼は私が認めた人物で……』

 

「おそらく、この山内がガチャで当たりが出た人です。

やはり、裏が有ったようです。

それとチェーンメールの件は……」

 

「確かに、漏洩していい情報とは思えない。

生保レディの時の言葉は、ハッタリか状況に合わせた言葉だろう。

監視はバレて無いと考えてよさそうだ」

 

それにしても、不審者より上だと不審者が認めている人物か。

要注意人物だな。

アンケートとチェーンメールの確保もしなければならない。内容によっては弱みも握れるか。

 

「それと部活動の顧問だけでなく、副顧問まであっさりと見つかりました。

それぞれ、不審者に熱心に話しかけていました。

下手をすると教員とも協力関係に有るのかもしれません」

 

「本当だとすると面倒なことこの上ない」

 

やはり、退学させるか、何かしらの弱みを握らないといけない。

とはいえ、今回の相手の動きで相手の底がしれた。

奴には致命的な弱点がある。

 

「今回の策自体、底辺のDクラスだからこそ取れる作戦だ。

なにもしなくても、DクラスがCクラスに上がる直前には勝手に崩壊するだろう。

不審者が真面目にDクラスをAクラスに上げることを目指しているのなら」

 

「真面目でないとなると個人的にということですか?」

 

「そうだ。そもそも、Aクラスに興味があるのかすら分からないが……

 

ただ、奴の駒が増えるのはよろしくない。

しかし、奴の資金力は1年で、かつポイントの支給されない月もあったDクラスの割には高いが、学校全体で見れば低い。そこは明確な弱点だ。

 

人間は、将来手に入る大金よりも目先の小金を重視する。

ポイントをばらまくだけで、奴の話に乗る必要は無くなり、奴の計画は破綻する。

少なくとも、不審者はクラスポイントをばらまけない。

安心するといい。不審者が俺を越えることはあり得ない」

 

「はい」

 

「よし、引き続き監視を続けろ。

バレた可能性があるなら他に引き継げ」

 

三人が部屋を出ていこうとした時、Dクラスの生徒のスマホが鳴り始めた。着信番号を見て青ざめている。不審者か。

 

「ここで出ろ。スピーカーモードだ」

 

「はい。えー、もしもし『お前の秘密を知っている』ヒッ」

 

生徒は思わずスマホを取り落とした。

拾い直した時には既に通話が切れていた。

バレたのは確定か?

 

もう一度、Dクラスの生徒のスマホが鳴る。

恐る恐る出ている。

 

「もしもし『我が部は、同志を歓迎します。その内、将来のあなたの同志が接触することでしょう。現状に不満があるのなら是非、その件についてご考慮下さい』何を『どんな組織にもユダは居ます』え」

 

また、通話が切れた。

 

「安心しろ。ただ意味深な言葉を言っているだけだ」

 

「ですが、バレて……」

 

「あいまいな言葉や意味深な言葉を使うのは占い師がよくする方法だ。2年全員に電話がかかってきたか確認すればわかる」

 

そんな子供騙しは権力の前では無力だ。

やはり、1年ではこれが限界か。

放射性廃棄物だけは意味不明だが……

3人が部屋を出ていく。

ふと気になり扉を開けて様子を見た。

会話が聞こえる

 

「死んだかと思った」

 

「あのタイミングは怖すぎだよな」

 

「そうだな。当事者じゃないのに心拍上がった」

 

どうでもいい会話だ。

俺は扉を閉めたため、この後の会話は聴こえなかった。

 

 

「そういえば、入部者のほとんどがガチャをしている。

しないと浮くから、この後ガチャするんだけど一緒に行かないか?」

 

「俺はパス。嵌まる気がする。というか、あそこは常にお祭りみたいな雰囲気で怖いんだよ」

 

「行ってもいいが、俺も怖い。ガチャが怖いのは、ギャンブルより手軽に射幸心を刺激されるから……」

 

「分かるわ。

ガチャは理屈じゃなく本能に働きかけてくるところがあると思う。でも、引かないと浮くんだよ」

 

「ぶっちゃけ、ある程度の割合の人は、生徒会から貰ったポイントをガチャにつぎ込みそうだ。当たりが出たときの祝福と嫉妬心、爆死が出たときのメシウマ感のようなあの場の一体感はヤバすぎる」

 

「そうだな。ガチャ中毒にならないように気を付けないと。でも、噂のお宝写真集は欲しいな……」


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